「Mashup Awards 6」授賞式~勝間和代、小飼弾氏も特別審査員で参加


 ウェブ上のサービスが提供するAPIを組み合わせる“マッシュアップ”によりアプリケーションを開発するコンテスト「Mashup Awards 6」の授賞式が12月4日に開催された。

 応募作品数は計544作品と、前回の346作品から一気に5割増の盛況となった。最優秀賞を含む優秀賞5作品のほか、特別審査員賞として経済評論家の勝間和代氏・ミュージシャンの広瀬香美氏・ブロガーの小飼弾氏がそれぞれ1作品を選出。さらに、テーマ賞に12作品、各協力企業が選ぶ協力企業賞に66作品が選ばれた(同時受賞含む)。

授賞式に全国から受賞者が集まった

“子煩悩の力”でユーザー目線のサービスを開発

「育児日記EmiriSystem」

 事前に選出された優秀賞5作品の中から、上田哲郎氏による「育児日記EmiriSystem」が最優秀賞の栄冠に輝いた。

 「育児日記EmiriSystem」は、ウェブ上で育児日記をつけられるシステム。写真や動画を毎日の日記に記録して、成長をふり返ることができる。非公開が原則で、おじいちゃんおばあちゃんにアクセスキーを渡して見せたり、アルバムをCDイメージとしてダウンロードしたりといった機能もある。上田氏自身の長女が産まれたときから開発者であると同時にユーザーとして開発を続けてきたという。

 マッシュアップとしては、SONYブラビアやAdobeAIRのガジェットへの写真表示、Picasaとの連携、OpenIDによるログイン、PayPalによる寄付などに対応している。なお、「育児日記EmiriSystem」は、テーマ賞や協力企業賞でも同時受賞した。

 最終審査会の講評として、審査員を代表してグーグル株式会社の藤井彰人氏は「技術を組み合わせるだけではなく、本人の“子煩悩の力”によりユーザーの本当に欲しい機能を実現している」とコメントした。それを受けて上田氏も、「受賞は娘のおかげであり、その母のおかげであり、私の母のおかげでもある。子育ては人類永遠のもの」と喜びを語った。

最優秀賞に選ばれた「育児日記EmiriSystem」の上田哲郎氏
賞金の授与グーグル株式会社の藤井彰人氏による最終審査会の講評

優秀賞5作品が鎬を削る

 惜しくも最優秀賞を逃がしたが、優秀賞を獲得した4作品も、会場の注目を浴びた。

 テリトリチームの「テリトリ」は、スマートフォンの位置情報を使った陣取り型コミュニケーションサービス。株式会社クロスフェーダーの「Twiccha」は、Twitterアカウントでチャットできるサービス。面白法人カヤックの「安心レーダー」は、相手の居場所を知ることができるiPhoneアプリ。tsuka_pan & sgssの「Tag Tansu」は、洋服をフックに掛けるだけでデータベース化できる箪笥。それぞれ、巧みなプレゼンで参加者を感心させていた。

優秀賞受賞者5組「テリトリ」のテリトリチーム
「Twiccha」の株式会社クロスフェーダー「安心レーダー」の面白法人カヤック
「Tag Tansu」のtsuka_pan & sgssデモではサーバー接続のトラブルも…

広瀬香美氏が生演奏を披露

 3人の特別審査員により、それぞれ1作品ずつ特別審査員賞が選出された。勝間和代氏の「勝間和代の人生戦略賞」には、Open Innovation LabによるソーシャルTODOサービス「YARUKIDAS」が選ばれた。勝間氏は「人に言うと実行しちゃうという、理にかなったサービス」と評価した。

 小飼弾氏の「404 API Not Found賞」には、横山彰子氏によるオンラインコード共有ツール「Codetype」が選ばれた。小飼弾氏は「マッシュアップはブログのようなもの。気軽にどんどん作ればいい」とエールを送った。

 広瀬香美氏の「Smile music Application賞」には、伊藤淳一氏によるWebデスクトップアプリ「gadgetOS」が選ばれた。広瀬氏は、その場で2曲生演奏を披露するというサプライズで会場を沸かせた。

「勝間和代の人生戦略賞」を受賞したOpen Innovation Labの二人(左)。副賞として勝間氏の3年分の著書がプレゼントされた小飼弾氏の「404 API Not Found賞」を受賞した横山彰子氏(左)
広瀬香美氏の「Smile music Application賞」を受賞した伊藤淳一氏(左)。広瀬香美氏が生演奏を披露するというサプライズで会場を沸かせた

テーマ賞や協力企業賞も発表

 リーディングパートナーが設定したそれぞれのテーマごとに作品を選ぶ「テーマ賞」も12部門で表彰された。

Design Oriented Development賞の「Saezuri」(株式会社プレイウェル)。出席できなかったため、代理で事務局が受け取ったMashup on Android賞の「防犯ブザーネットワーク」(英吉氏)
Cloud Innovation賞の「Questetra BPM Suite」(株式会社クエステトラ)Share! Everything on Android賞の「横浜観光ガイド(ローカル)」(A2Y-designs)
Collaborative Application賞の「Crowy」(木村篤彦氏)Beyond Web賞の「育児日記EmiriSystem」(上田哲郎氏)
Communication Entertainment賞の「イマイチ」(天問堂)Social Game賞の「英雄になりたい!」(面白法人カヤック)
Barrier free on Web賞の「地図から〇〇検索(けっこう高速)シリーズ」(株式会社フジミック丸山貴史氏)Safer Online賞の「防犯ブザーネットワーク」(英吉氏)
Geo Hack賞の「GeoIME(位置連携日本語入力システム)」(荒川豊氏)U-23賞の「あっ! いいもの見つけったー」(ただっち氏)

 また、協力企業各社の選んだ協力企業賞66作品もそれぞれ表彰。ユニークな賞品などもあり、会場を盛り上げた。

 最後に、運営事務局のリクルートメディアテクノロジーラボ局長の木村稔氏は、「今回は“サービスからツールへ”という傾向が見られた。日常のツールとして使えるようなものが増えた」と講評を語った。


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(高橋 正和)

2010/12/6 06:00