「Twitter成功の要因は口コミとテレビ」、米MIT研究者らが論文を発表


 Twitterが成功を収めるきっかけとなったのは、リアルな友人関係による口コミと、テレビメディアの影響によるところが大きいとする論文を、米MITの研究者らが発表した。

 この論文「Modeling the adoption of innovations in the presence of geographic and media influuences」は今月、オンライン科学誌の「PLoS ONE」で発表される。執筆者はMITのJameson L. Toole氏、韓国KAIST所属のMeeyoung Cha氏、MITのMarta C. Gonzalezの3人だ。

 研究は、Twitter APIを使用して、まだ数百ユーザーしかいなかった2006年5月ごろから2009年8月ごろまでのデータをもとに行われた。米国内の1万6000都市で、特にTwitterユーザーが多かった408都市を抽出し、どのように情報が拡散し、新しいテクノロジーが受け入れられるのかを調査した。特に、Twitterユーザーが人口の13.5%を占めるようになる「臨界点」に注意が向けられた。

 調査の結果、広がり方はごく近距離でしかなかった。もしネットで広がっていたら、こうした広がり方には見えないだろうと考えられる。特に都市間の広がり方の関連を見ていく時に、顔と顔を合わせて、会話の中でTwitterが広がっていた様子が推察できる。

 また、これまでの類似調査ではメディアの役割は定数として扱われていたが、今回の調査ではGoogle NewsでTwitterが現れる頻度を調査することで、メディアの役割も明らかにできた。その結果、Twitterがテレビに現れるたびに、Twitterのユーザー数が急増する様子が見てとれた。つまり、Twitterは当初は口コミによって広がり、そしてテレビメディアによって一気に2倍から4倍へとユーザー数を拡大していった様子が明らかになったという。

 これまで、高価な商品に関して類似の研究はあったが、Toole氏は「リスクのない無料、または低コスト商品で、他の人々の使用が自分にもメリットをもたらす種類の商品については、どのように拡散していくかをしっかりと観察した人は誰もいなかった」と主張している。

 インターネットの世界はフラットで、顔を合わせなくてもメールやソーシャルネットワークによってサービスがバイラルに広がっていく、という考え方がある。それゆえに、新サービスやアプリを広げるためには、ハブとなる人物を見つける必要があるといった考え方が存在するようになった。しかし今回の研究は、友人関係と地理的な距離、そして既存メディアの活用がサービスの成功に重要であることを示唆している。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/12/22 12:45