悪名高いtorrentサイトThe Pirate Bayが3Dデータの共有を開始

~3Dプリンターの著作権も議論対象になるか


違法ファイルtorrentを多数共有していることで悪名高い「The Pirate Bay」

 違法ファイルtorrentを多数共有しているサイトとして悪名高いThe Pirate Bayは24日、「物理的実態」を共有ファイルジャンルの1つに追加したことを公式ブログで発表した。

 音楽、映画、書籍等に加えられたこの新ジャンルは「Physibles」と呼ばれる。「Physical Objects」から作られた造語だ。このジャンルに登録された3Dデータをダウンロードし、3Dプリンターに読み込めば、「物理的実態」を「コピー」できることになる。

 従って、“海賊行為”の範囲が、データから物理的な実態にまで広がることになる。米国上院下院議会では海賊行為の防止法案SOPAやPIPAを巡って激しい議論が繰り広げられているさなか、3Dプリンターを巡って新たな議論の火種になりそうだ。

 現在、3Dプリンターや3Dスキャナーの発展が著しく進んでおり、デジタルデータの設計図(ファイル)を入力するだけで、その実態を入手できる時代が20年ほどで実現するのではないかと期待されている。

 現時点では特殊な樹脂やABS等の素材を使ってアクセサリーの作成、企業でプロトタイプ制作などに使用する製品が発売されている。また一部では、安全な素材を使用して医療外科手術で使用される人工骨を患者に合わせて作成したり、車の部品を手元で作成して修理に利用する等の応用まで実用化されている。

 将来、レシピデータを元に料理が手元に復元したり、衣服や靴などを家で「印刷」するといったことが可能になるとする識者も多く、世界的な輸送コストの激減、環境問題への好影響などを指摘する人もいる。

 特に悪名高いThe Pirate Bayがこのジャンルに進出したことが大きな議論を呼ぶことは間違いない。

 アクセサリーの3Dプリンターによる制作ビジネスを行っているShapewaysは「Shapewaysは何年もダウンロードできるモデルを公開しているし、(MakerBotの)ThingverseやGoogle Warehouseもある」として静観する模様。

 また、3Dプリンター老舗のMakerBot Industriesは議論が起こることは間違いないとしながらも、「共有する人々こそが、著しく革新し続ける21世紀に勝者として台頭する者たちだ」とし、共有に対するものの考え方を変えるよう勧めている。



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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/1/25 10:53