Twitterクライアント「Tweetbot」が「バグだらけ」のMac用アルファ版公開

未知のTwitter API制限予告が影響?


 米Tapbots社は11日、iOSで人気のTwitterクライアント「Tweetbot」のMac版を公開した。現在はアルファ版となっており、同社ウェブサイトからダウンロードできる。

「Tweetbot for Mac」パブリックアルファ版のダウンロードページ

 iOSで非常に人気があるだけに、Mac版に対する注目度は非常に高く、一時、同社ウェブサイトへのアクセスがしにくくなったほどである。

 しかしTapbotsは公式ブログにて、「Mac版の開発は簡単な仕事ではなく、特に完全な機能を持つTwitterクライアントであればなおのことだ。しかしながら、我々は完全ではないものの、使用できるレベルにまで達したと考えた。そこで、パブリックアルファ版としてリリースすることを決定した。その理由は、a)より早く仕事を終わらせるためのモチベーションを得るため、b)フィードバックにより、できる限り最良のMac版Tweetbotを開発するためだ」と説明している。

 そのため、このバージョンでは「バグが山ほど存在」しているだけでなく、機能もグラフィックパフォーマンスにも欠けており、サポートすらないとして、十分の注意を促している。

 また、将来的な計画として、バージョン1.0が完成すれば、Mac App Storeにて有料販売することも明らかにした。サポートするMac OS X のバージョンは、現時点で公開されているアルファ版は10.7以降だが、最終製品版では10.8(OS X Mountain Lion)のみをサポートするとしている。

 この段階で人気Twitterクライアントがアルファ版を公開したことについては、公式ブログのコメントを超えてさまざまな憶測もある。何よりも多くの人が考えているのは、6月29日に米TwitterがサードパーティによるAPI利用に制約を加える方針を明らかにしたことがある。これによって米LinkedInはツイートを表示できなくなった。

 TwitterはサードパーティのAPI利用に制限を加えることのみを発表しているが、具体的な方法は未だ不明である上、その時期も「今後数週間以内」として明確でない。

 Twitter APIを使用した製品開発に魂を込め、コミュニティを丹念に育て上げてきた開発者たちにとって、その内容が明確になるまでのやきもきする気持ちは容易に想像できる。それだけでなく、自分好みのTwitterサービスやクライアントを探し求めて熱心に利用しているユーザーにとっても重大な出来事といえる。

 このタイミングで、熱心なユーザーコミュニティを持つTweetbotがアルファ版として未完成の製品を公開したことは、同社に対するユーザーの支持を得、またTwitterに対する態度表明の一環として見られないこともない。

 米Twitterは近年、Twitterクライアントを複数買収し、その結果、この分野から撤退したアプリやサービスも多い。その一方、収益化を急ぐ必要があるTwitterがあらゆるプラットフォームで一貫した広告表示や、ツイートの表示利用体験をスポンサーに提供する必要に迫られていることも理解できる。

 いずれにせよ、Twitterがどのような発表を行うのか、注目を集めている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/7/12 12:37