スマホ楽曲同期の特許訴訟、アップルの主張退けサムスンに軍配


 東京地方裁判所は8月31日、米アップルがサムスン電子の日本法人を相手取り、1億円の損害賠償を求めた特許関連裁判について、アップル側の訴えを退ける判断を下した。

 米アップルは昨年9月、サムスンの日本法人数社を相手取り、サムスンのスマートフォン「GALAXY」シリーズの8モデルが、アップルが保有するパソコンと端末を接続して楽曲の同期をとる特許技術を侵害しているとして、1億円の損害賠償請求を行った。

 8月31日、東京地裁はこの請求を棄却するとともに、販売差し止めを求める仮処分命令も却下した。サムスン電子ジャパンでは、今回の判決について「サムスンは米アップルの特許権に抵触するものではなく、全く別の技術であると強く主張していた。判決は、サムスンの主張の正当性を認めたもので、きわめて妥当」とコメントしている。一方、アップルの日本法人では、今回の判決についてノー・コメントとしており、控訴するかどうかは不明だ。

 また国内では、アップルが画面を下までスクロールさせると弾むように表現する技術の特許について、サムスンを訴えているほか、サムスン側もiPhoneやiPadが特許侵害しているとして、販売差し止めを求めている。これらの争いについては今回、判断は下されていない。

 共にグローバル企業であるアップルとサムスン電子は、世界各国で50件以上に及ぶ訴訟を行っている。8月24日には、アップルのお膝元である米カリフォルニアの連邦地裁において、陪審団による評決が決まり、サムスンに対して10億5100万ドル(約827億円)の支払い命令が下された。この裁判では、アップル側の7件、サムスン側の5件の特許について審議され、最終的にマルチタッチなどアップル側の7件の特許が認められたと伝えられている。

 なお、GALAXYシリーズをフラッグシップモデルにスマートフォンを積極的に展開するNTTドコモでは、各国で法律が異なり、企業の保有する知的財産の内容も異なっているとしている。アップルとサムスンの訴訟についても、国ごとに争点が異なっている点を指摘している。


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(津田 啓夢)

2012/8/31 18:11