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自炊代行にスキャン許諾で著作権料、「Myブック変換協議会」ルール検討へ

 裁断機やスキャナーを用いて書籍を電子化する、いわゆる“自炊”に関するルールを策定し、これを守る自炊代行業者に対して、電子化を許諾することを検討する「Myブック変換協議会(正式名称:蔵書電子化事業連絡協議会)」が26日、発足した。幹事団体は日本文藝家協会、日本写真著作権協会、日本漫画家協会、ヤフー。

Myブック変換協議会のウェブサイト

 ユーザー自身が個人的な目的で行う“自炊”は、著作権法の「私的複製」として認められている。しかし、私的複製の範囲を規定する著作権法30条1項では、「『使用する者が』複製することができる」と書かれていることから、出版社や作家は、自炊の代行サービスは著作権侵害だとして、代行業者にスキャンの差し止めを求める訴えを起こしてきた。

 協議会では、自炊代行業者がスキャン済みの蔵書を処分したり、電子ファイルの厳重管理を行うことなどを盛り込んだルールを策定し、これに従う代行業者に対して電子化の許諾を与えるほか、スキャン行為を許諾する代わりに代行業者から著作権使用料を取ることも検討する。ルール策定後は、日本文藝家協会加盟の作家を中心に、協議会に賛同する作家が代行業者のスキャンを許諾することになる。

 協議会のウェブサイトでは、蔵書を電子ファイルに変換することでユーザーが便利に使えるようにするとともに、違法流通対策を行うことによって、日本の読書習慣をデジタル化時代にふさわしい形で維持発展させていくことにつなげていきたいとコメントしている。

 幹事団体のヤフーによれば、協議会は同社の私的な研究会がきっかけとなって発足したものだという。研究会を立ち上げた理由としては、インターネット上の技術や電子書籍の展望を検討するためと説明。協議会の検討事項としては、電子化したPDFファイルに著作権情報を埋め込むことも含まれており、ヤフーは技術的なアドバイスを行っていく。

(増田 覚)