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1GbpsのISP事業「Google Fiber」、ユタ州第3の都市へ~全米展開が本格化か

 米Googleは17日、GoogleのISP事業「Google Fiber」をユタ州第3の都市Provoにて開始する計画であることを発表した。

 サービスが開始されれば、住民は1Gbps回線を月額70ドル、5Mbps回線を無料で、テレビ付き1Gbps回線を月額120ドルで利用できるようになる。

 Google Fiber事業は実験的プロジェクトとして2年前に発表された。しかし提供場所がカンザス州のカンザスシティという地方都市だったために、Googleがどこまで本気なのかを疑問視する声もあった。

 しかし、ここへきて4月9日にテキサスの州都で大都市のAustin、その8日後の17日にユタ州第3の都市Provoでも展開する計画を発表した。

 カンザスシティで事業開始した際には、即座に米大手ケーブル事業Time Warner Cableが価格設定を改定し話題を呼んだ。今月9日に進出を発表したAustinでは、発表後即座に米通信最大手AT&TがGoogle Fiberに匹敵する1Gbpsサービス提供計画を発表するなど、米国大手の通信会社戦略にも大きな影響を与えているように見える。

 Google会長Eric Schmidt氏は、かつてGoogle Fiberが実験的プロジェクトではない旨の発言をしたと報道されたこともあり、この一連の急激な動きに注目が集まっている。

 今回サービスを提供するProvoはこれまでの2都市とは計画内容が若干異なっている。Googleは、Provo市が2004年以来敷設してきた市のインターネットネットワーク事業iProvo社を買収して引き継ぐ。そのためにKansas Cityで行ったような自前の光ファイバー敷設作業はほとんど必要なく、利用者の初期費用も30ドルと非常に安価な価格設定だ。

 テキサス州Austin市やユタ州Provo市はKansas Cityとは都市の規模や意味合いも大きく異なる。Austin市は米Dell社の本拠地であり、Apple、Microsoft、Samsungなどハイテク大企業の集積地。それ以外にも数多くのベンチャー企業が存在する。

 また、Provo市も人口は約11万人と少ないものの、ユタ州有数の私立大学Brigham Young Universityを擁し、数々のベンチャー企業が存在するハイテク都市だ。Googleの発表によれば、Provoは特許取得件数成長率で米国第2位で、米国内で生活しビジネスを行う場所として継続的に上位にランクインされる都市であると説明している。

 GoogleによるiProvo買収は、4月23日にProvo市議会による投票を経て決定、了承され次第、Google Fiberによるネットワークアップグレード作業を行うとしている。

 今回の発表で、Googleがお試し段階を終えて、1GbpsのGoogle Fiberを全米諸都市で急速に展開を始めるのではないかとの推測がなされ、期待と注目が集まっている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)