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アジア太平洋地域のネットワーク技術者・研究者らが福岡に集う、国際会議「APRICOT-APAN 2015」2月24日~3月6日開催
(2015/1/16 06:00)
2月24日から3月6日までの11日間にわたり、福岡において国際会議「APRICOT-APAN 2015」が開催される。これに先立ち1月13日、同会議を主催する「APRICOT-APAN 2015日本実行委員会」が報道関係者向けの説明会を開催し、会議の趣旨などを説明した。
APRICOT-APAN 2015はその名の通り、APRICOTとAPANがそれぞれに行っている国際会議を共同で開催するというもの。APRICOT(Asia Pacific Regional Internet Conference on Operational Technologies)は、アジア地域におけるインターネットの発展のために、技術者に必要な知識や技術を向上させることを目的として開催される非営利のフォーラム。もう一方のAPAN(Asia-Pacific Advanced Network)は、アジア太平洋地域における学術ネットワークプロジェクトの相互接続を実現する活動と、基盤技術や応用技術の研究の場としての面を持つ国際的な非営利組織である。
会議のイメージとしては、APRICOTについては、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が主催している「Internet Week」を思い浮かべるといいだろう。APRICOTは、Internet Weekのより国際的なものとなる。BGPルーティング、ネットワーク運用、セキュリティに関するワークショップ、IPv6、DNS/DNSSEC、Wi-Fi、MPLS、DoS対策、IPアドレスの資源管理といったチュートリアルや、最近の研究や標準化の動向、運用や計測、サービスの提供状況といった内容のカンファレンスなど、技術的なセッションが数多く含まれる。
APANについては、研究活動の発表がその主体である。説明会では、農業や医療への応用がその事例として紹介された。農業においては、作物を育成させるために耕地の状態を把握しなければならない。そのためにセンサーネットワーク技術を活用していることや、穀物開発のためのゲノム技術、市場動向を把握するためのビッグデータ解析といった話題があるほか、医療分野においては、医療の現場で活躍している現役の医療関係者による研究活動が扱われる見込みだ。
会議への参加者として考えられているのは、ネットワーク運用に携わる技術者、アジア各国のインターネットインフラに興味を持っている人、アドレスポリシー策定・資源管理に興味を持つ人々が中心となるということだが、説明会の質疑応答では、複数の委員が「アジアでプレゼンスを上げたい企業や個人」も対象であると語っていた。
これは、会議に単に話を聞きに行くというよりも、自らが発表することで他の組織や人とのコネクション作りをする有用な機会と捉えてほしいということだ。発表することでプレゼンスを上げ、よりいっそうの情報収集につなげるということはよく行われている。
他の組織や人とのコネクションを作ることのメリットとして、ピアリングフォーラムの場で個々のピアリング(相互接続)の話が決まったということも珍しくないという。お互いがお互いを理解していれば、話がまとまりやすいという好例だろう。IX(インターネットエクスチェンジ)ばかりでなく、CDNなどの事業者やヨーロッパの事業者なども参加し、マネージャー以上のクラスが参加することも多いとことから、そこでビジネスが動くこともあるようだ。他の事業者との協業などを目論んでいる人にとっても絶好の機会になりそうだ。
会場は、JR博多シティと福岡国際会議場。ワークショップ、チュートリアル、カンファレンス、ワーキンググループセッション、併設展示・デモ、レセプション、ソーシャルイベントで構成され、参加費は、ワークショップが2月24日から28日までで500ドル、カンファレンスが3月2日から5日までで600ドル。
なお、会議の公用語は英語で、同時通訳サービスは提供されないとのことだが、参加者の多くはノンネイティブであるため、ネイティブだけの会話についていけないといったことにはなりにくい模様だ。参加者数は約1000人を見込んでいる。
現在、APAN側ではプログラムがほぼ決まっているようだが、APRICOT側ではプログラムを検討中であり、2月上旬には大枠が示される予定だという。
APRICOT-APANの共同開催は、2011年の香港に続き2度目。4年ぶりのことになる。APRICOT-APAN 2015 日本実行委員会は、その香港での共同開催の時の熱気を再び実現しようと、主要協賛5社と関連団体によって組織された。
説明会では、委員の一人である国立大学法人九州大学の岡村耕二氏が「若い大学の先生に積極的に参加してほしい」とコメント。また、JPNICの前村昌紀氏は「インターネット基盤と日々格闘しているエンジニアが、地域だけでなく世界各国から集うイベントが久し振りに日本で開催されることになった。IPv6、セキュリティ、DNSなどのグローバルな最新動向が分かり、第一線のエンジニアをはじめとして各国の人々と交流する絶好の機会。ぜひ、グローバルなインターネットを肌で感じて下さい。福岡でお待ちしています!」と述べ、参加を呼び掛けた。
インターネットの運用現場は、セキュリティ上の脅威や、日々増加するトラフィックとの戦いだ。APRICOT-APANは、最新技術だけではなく、インターネットの基盤を最前線で支えるエンジニアが集結する。基盤運用最前線の「息遣い」を体感したい人にも好適だろう。日本で開かれるインターネットの国際会議としてAPRICOT-APAN 2015に注目してみたい。
APRICOT-APAN2015 日本実行委員会
委員長
- 細谷僚一氏(インターネットマルチフィード株式会社 代表取締役副社長)
委員
- 石田慶樹氏(日本インターネットエクスチェンジ株式会社 代表取締役)
- 岡村耕二氏(国立大学法人九州大学 サイバーセキュリティセンターセンター長)
- 北村泰一氏(独立行政法人情報通信研究機構)
- 鶴巻悟氏(BBIX株式会社)
- 松崎吉伸氏(株式会社インターネットイニシアティブ)
- 前村昌紀氏(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター インターネット推進部部長)
- 山下達也氏(NTTコミュニケーションズ株式会社 技術開発部部長)