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中国のネットユーザーは6億6800万人、株取引やオンラインペイメントなどの利用者増加が顕著

 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は26日、2015年6月末における中国のインターネット利用状況をまとめた「第36次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。

 中国における2015年6月末時点のインターネット利用者は6億6800万人。半年で1894万人、年間で3569万人増加した。総人口に対するインターネット利用者の割合は48.8%であり、5割には達していない。学生のインターネット利用者の割合は24.6%。

 利用者のうち72.1%が都市部の利用者で、27.9%が農村部の利用者だ。普及率は都市部が64.2%、農村部が30.1%。都市部と農村部のネット普及率における格差は、スマートフォンが本格的に普及し始めたこの2年間を見ても変化はない。2015年上半期には、あらゆるジャンルの業界にインターネットを普及させる政策「互聯網+(インターネットプラス)」や、農村からの出稼ぎ労働者に対する農村での起業支援を国務院が発表するなど、政府は農村部でのインターネット普及に力を入れているが、どうなるか。

都市農村別と年齢別のインターネット普及率

 スマートフォンなどモバイルインターネットの利用者は5億9400万人。半年で3679万人、年間で6627万人増加と、インターネット利用者全体よりも増加が顕著。インターネット利用者全体におけるモバイルインターネット利用者の利用率は88.9%となった。

モバイルインターネット利用者数の推移

 インターネットを利用する場所は、家庭内が90.4%、企業が33.7%、ネットカフェが18.6%、公共施設が18.8%、学校が14.9%。また、83.2%は家庭内ないしは外出先で無線LAN経由でインターネットに接続している(このうち家庭が88.9%)。

 インターネットデバイスは、携帯電話・スマートフォンが88.9%(このうち3G/4G利用率は85.7%)、デスクトップPCが68.4%、ノートPCが42.5%、タブレット端末が33.7%、テレビが16.0%。スマートフォンと3G/4Gの利用者が多くなり、インターネットはより身近になってきている。インターネットに接触する時間は毎週平均25.6時間。この5年間のインターネット利用時間の傾向としては、モバイルインターネットの普及に比例して2013年以降利用時間は長くなっていたが、2014年末をピークに、2015年上半期の利用時間は短くなった。

インターネット利用者の収入別構成

 インターネットの利用用途を多い順から挙げると、「チャット」(6億626万人、利用率は90.8%)で約9割が利用。次いで「ニュース」(5億5467万人、同83.1%)、「検索」(5億3615万人、同80.3%)が約8割。続いて「音楽視聴」(4億8046万人、同72.0%)、「ブログ」(4億7457万人、同71.1%)、「動画視聴」(4億6121万人、同69.1%)の利用率が高い。

 利用率が5割台のサービスは、「オンラインゲーム」(3億8021万人、同56.9%)、「オンラインショッピング」(3億7391万人、同56.0%)、「オンラインペイメント」(3億5886万人、同53.7%)。

 4割台のサービスは、「オンラインバンキング」(3億696万人、同46.0%)、「ネット小説」(2億8467万人、同42.6%)。

 3割台以下のサービスは、「メール」(2億4511万人、同36.7%)、「オンライン旅行予約」(2億2903万人、同34.3%)、「微博・マイクロブログ」(2億432万人、同30.6%)、「クーポンサイト」(1億7639万人、同26.4%)、「掲示板・BBS」(1億2007万人、同18.0%)、「投資(7849万人、11.8%)」、「株・投資信託(5628万人、同8.4%)」。

 目立って増加したのが、株バブルにともなう株・投資信託で、2014年末時点の3819万人から今回は5628万人と、半年で1800万人ほど増加した。そのほか、騰訊(Tencent)の本格参入や、騰訊と阿里巴巴(Alibaba)の競争過程で紅包での小金バラマキがあり、オンラインペイメントが2014年末時点の3億431万人から3億5886万人と半年で5400万人ほど増加したのが目立った。

 一方、減少が目立ったのが、半年で4000万人、年間で7000万人利用者が減少した微博・マイクロブログを筆頭に、掲示板は半年で900万人、メールは600万人利用者が減少するなど、SNSは微信(WeChat)などのメッセンジャー系に集中してきているようだ。また、ネット小説も900万人ほど減少した。

 モバイルインターネットの利用用途においては、3G/4Gの普及から、微博を除くすべてのサービスがプラス成長になり、ニュース、動画、EC系の利用では昨年末比で利用者は2けた増となった。前述の紅包ばらまきの影響で、オンラインペイメントの利用が目立った。

 最も多かったのが「チャット」(5億4018万人、利用率は91.0%)で、以下、「情報検索」(4億5434万人、同76.5%)、「ニュース」(4億5959万人、同77.4%)、「音楽視聴」(3億8556万人、同65.0%)、「動画視聴」(3億5434万人、同59.7%)。以上が利用率5割以上のサービスだ。

 利用率が5割以下のサービスは、「オンラインショッピング」(2億7041万人、同45.6%)、「オンラインゲーム」(2億6699万人、同45.0%)、「オンラインペイメント」(2億7579万人、同46.5%)、「ネット小説」(2億2626万人、同40.6%)、「オンラインバンキング」(2億1471万人、同36.2%)、「微博」(1億6227万、同27.3%)、「メール」(1億4228万人、同24.0%)、「オンライン旅行予約」(1億6772万人、同28.3%)、「クーポンサイト」(1億2906万人、同21.7%)、「BBS」(7662万人、同12.9%)、「株・投資信託(3695万人、同6.2%)」。

ウェブサイト数の推移(単位は万ページ)
IPv6アドレス数の推移
海外バックボーンの総容量の推移

(山谷 剛史)