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ネットバンキングの不正送金、信金で被害急増、農協や労金でも被害確認

 警察庁は3日、2015年上半期のインターネットバンキングにかかわる不正送金事犯発生状況についてとりまとめた。

 被害件数は前年同期比503件減の754件、被害額は同3億700万円減の約15億4400万円と、被害はやや減少した。ただし、2014年下半期の被害件数619件・被害額約10億5800万円と比較すると多く、いったん被害が減少したあとで増加に転じた。法人の被害額は変動がなく、個人の被害額が2014年下半期からほぼ倍になっている。

不正送金被害発生件数および被害額

 被害金融機関は年々増加しており、2015年上半期は都市銀行やインターネット専業銀行、信託銀行など11行、地方銀行34行、信用金庫77金庫、信用組合5組合のほか、新たに農業協同組合14組合、労働金庫3金庫で被害に遭っている。

被害金融機関数の推移

 都市銀行や地方銀行、農業協同組合・労働金庫では個人の被害がほとんどなのに対し、信用金庫は法人口座で被害が多い。被害額ベースでは、信用金庫・信用組合の場合で、個人が1億5000万円だったのに対し、法人向けでは3億8100万円に上る。なお、不正送金先になっている一時送金先口座名義人の国籍は、全体の54.5%が中国人名義だという。

不正送金被害の内訳
不正送金などの現金化態様
一時送金先口座名義人の国籍

 警察庁では、不正送金に対する取り組みとして、口座売買などの関連事件58件で88人を検挙。また、外国捜査機関と連携したウイルス通信先サーバーの停止や、ウイルス無害化措置による被害拡大防止対策の実施に取り組んだほか、信用金庫に対して当日送金の停止といった被害防止対策を要請しているという。

不正送金関連事件の検挙状況

 今後は、事件の徹底検挙および関連機関などと連携した被害防止対策の継続実施、一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)との連携強化、外国捜査機関との一層の連携強化を図るとしている。

(山川 晶之)