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「sとhsyぴ」→「ありがとう」、「9w32q」→「お世話」……「ATOK 2016」ではホームポジションずれて打っても変換可能、“入力疲れ”対策も
(2015/12/3 14:23)
株式会社ジャストシステムは3日、Windows用日本語入力ソフトの新バージョン「ATOK 2016 for Windows」を発表した。2016年2月5日に発売する。参照している文書に応じて変換候補を切り換えて提示する機能「ATOKインサイト」、入力ミスの強力な補正機能「ATOKタイプコレクト」を新たに搭載。「ユーザーの意図をくみ取り、本来行いたかった入力を効率的に行えるよう強化した」という。
希望小売価格は、「ATOK 2016 for Windows[ベーシック]」が8000円(税別)。連携電子辞典などを同梱した上位版の「ATOK 2016 for Windows[プレミアム]」が1万2000円(税別)。Windows 10/ 8.1/7/Vistaに対応する。
ATOKインサイトは、ウェブページや他の文書を参照しながら文字入力する際に、自動的にそれらの文書内の言葉やフレーズを、ATOKの変換候補や推測候補として優先的に提示する機能。参照している間のみ、一時的にATOKの学習情報として保持して切り替わる仕組みのため、参照文書の内容に応じて効率的な入力が行えるとしている。同時に発表された同社ワープロソフトの新バージョン「一太郎2016」のほか、Word、Excel、Outlook、ウェブブラウザーで表示しているページなどを参照先文書として利用できる。
ATOKタイプコレクトでは、“人間が見てもどう間違ったのか想像できないような打ち間違い”でも訂正候補を提示してくれるという。例えば、キーボードのホームポジションから手の位置がずれた状態で打鍵し、「sとhsyぴ」「9w32q」になっても、それぞれ訂正候補として「ありがとう」「お世話」を提示する。また、従来から提供していた母音の押し損ねなどのさまざまなパターンの補正も大幅強化。前バージョンのATOK 2015と比較し、約2倍の入力補正を実現したとしている。
このほかの新機能としては「ATOKイミクル」がある。従来、ATOK連携電子辞典での検索は入力・変換中の言葉に対して可能だったが、確定後の言葉やウェブページなどで閲覧している文書内の言葉に対しても辞典検索を行えるようにした。
“入力疲れ”への対策も行っており、候補ウィンドウや辞典ウィンドウのデザインをすっきりと見やすく再設計するとともに、文字サイズを好みに合わせて拡大設定できるようにした。「リフレッシュナビ」も新たに搭載。連続入力時間や入力文字数、入力ミス回数などからATOKが疲労度合いを判断し、休憩が必要なタイミングにポップアップ表示を出すという。
ジャストシステム代表取締役社長の福良伴昭氏は、同日行われた記者発表会で、一太郎2016とATOK 2016に関して、「一太郎は2015年で発売30周年を迎えることができた。それを節目として、今回発表した一太郎はこれからも使い続けてもらいたいという思いを込めて取り組んできた。インターネット環境、さまざまな情報端末などユーザーの取り巻く環境が進化していく中で、一太郎とATOKは人の思考と表現を支援できるソフトウェアとして進化し続けていく。今後も個人向けから法人向けまで、さまざまなユーザーに大きな価値を感じてもらえるような新しい商品、サービスを立ち上げていく」とコメントした。
ATOK 2016の特徴について、ジャストシステムCPS事業部開発部の下岡美由紀氏は、「利用シーンに合わせて言葉をピックアップしたり、着目した部分の言葉をスピーディーに理解できるようにするなど、PCで日本語入力を続けるユーザーの力になるために進化した」とアピール。文字でのコミュニケーションにおいて、ATOKのような日本語入力システムは、書くこと、入力して正確に伝える役割を担うものと捉えており、いかに正確にユーザーの意図を表すかを追究したという。「コミュニケーションはただ書くだけでなく、相手からの言葉を受け取って読んで理解して自分の思いを伝え返すといった繰り返しを行っている。今回はATOKの入力にとどまらず、読むこと、閲覧中に正確に理解する支援を行う」と述べ、ユーザーの「知りたいに応える」ものとして、ATOKイクミルで利用できる電子辞典との連携を強みとして挙げた。また、ATOK使用者自身の入力ミス防止や作業の効率化のために新たに導入したリフレッシュナビなど、新視点からユーザーをサポートすると述べた。
このほか、無料の日本語入力ソフト「Google日本語入力」など他社のサービスとの違いとして、ジャストシステムCPS事業部開発部の吉住康弘氏は、「ウェブで収集したデータを活用する予測変換機能の進化の早さには一歩譲るものの、専門用語にも対応できる電子辞書を搭載することで、ユーザーは効率的な入力を行えるメリットがある」と述べた。