レビュー
教育向けもOK、耐落下・防塵 2in1 PCなのに5万9800円、「MousePro P116A」レビュー
筆圧ペン&持ち運びハンドル付き
2018年3月7日 06:01
株式会社マウスコンピューターから登場した「MousePro P116A」は、5万9800円(税別)という低価格ながら、高さ75cmからの落下に耐える耐衝撃性とIP5X準拠の防塵機能を備えた2in1 PCだ。
MouseProは、マウスコンピューターの製品ラインアップの中でも主に法人向けのブランドだが、低価格かつ頑丈、さらに筆圧感知対応のスタイラスペンも利用できるMouse Pro P116Aは、子どもの教育用途にも適している。そこで今回、子どもに使わせるPCとしての観点から、MousePro P116Aをレビューしていきたい。
なお、今回は、中学校1年生の娘と小学校4年生の息子にも協力してもらい、マインクラフトや「かんじドリル」「Scratch」「中学英単語帳」さらには(お絵描きアプリとしての)OneNoteなどの使い勝手も検証してみた。ペンやキーボードがどうなのか、という視点もあるので、ぜひ参考にしてほしい。
引き出し式ハンドルを搭載し、持ち運びにも便利
まずは、外観から見ていこう。
MousePro P116Aは、11.6型液晶を搭載した2in1 PCで、本体サイズは298.5×207.3×20.0mm(幅×奥行×高さ)、重量は約1.39kg。11.6型PCとしてはやや重めだが、気軽に携帯できる範囲に収まっている。天板表面には、細かな凹凸のテクスチャ加工が施されており、安っぽさは感じられない。また、キーボード側のヒンジに引き出し式ハンドルが搭載されているのもユニーク。持ち運びの際はハンドルを持って移動することで、滑って落とす心配がなくなる。
MousePro P116Aは、高さ75cmからの落下に耐える高い耐衝撃性が売りの1つ。そこで実際の動作中に高さ約68cmの机の上からスライドさせて、フローリングの上にホットカーペットを敷いた床面に落下させてみた。2回行ってみたが、動作は問題なく、ケースなどの破損も見られなかった。
もちろん、あくまで落下テストをクリアしたというだけであり、高さ75cmから落下しても壊れないことを保証しているわけではないのだが、一般的な2in1 PCやノートPCに比べて頑丈なことは事実だろう。子どもに使わせると、うっかりケーブルに足をひっかけたりして落としてしまうこともありそうだが、MousePro P116Aなら安心して使わせることができる。中1の娘に、MousePro P116Aのハンドルを持って歩かせてみたが、「これくらいなら十分持ち運べる」との感想だった。
ちなみに、試用機の重量(スタイラスペン込み)を実測してみたところ1319g。公称通りとなっていた。
クアッドコアのCeleron N3450と4GBメモリ、64GB eMMCを搭載
今度は、PCとしての基本性能を見ていこう。MousePro P116Aは、「Microsoft Office Personal 2016」が付属するモデルと付属しないモデルがあるが、ハードウェアは同一。CPUは、クアッドコアのCeleron N3450(1.10GHz)を搭載する。Celeron N3450は、開発コードネームApollo Lakeと呼ばれていたCPUであり、TDPが6Wと非常に低いことが特徴だ。バースト時は最大2.20GHzまでクロックが向上するので、Core iシリーズに比べると性能は低いものの、Officeアプリケーションやウェブブラウズなどの比較的処理の軽い作業なら、十分なパフォーマンスを実現している。メモリは4GBで増設はできない。また、ストレージとしてはeMMCを64GB搭載している。OSは、Windows 10 Pro 64ビット版である。メモリ、ストレージともメインマシンとして使うにはやや物足りないが、セカンドマシン的に使ったり、オンラインストレージを併用するなどすれば、実用的に利用できるスペックだ。
ワイヤレス機能も充実しており、IEEE 802.11ac/a/n/g/b対応無線LANとBluetooth 4.2+LEをサポート。また、センサー類も充実しており、3軸磁気センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸加速度センサー、GPSを搭載している。
液晶を360度回転可能で、タブレットとしても利用できる
液晶は11.6型で、解像度は1366×768ドットである。液晶周囲の額縁部分がやや大きいことが残念だが、輝度や発色は十分だ。ただし、表面が光沢仕上げになっているため、外光の映り込みが気になることがある。液晶は10点マルチタッチ対応であり、指などでのタッチ操作が可能だ。また、液晶は360度回転できるようになっているので、液晶を反対側に折り返すことで、タブレットとして利用できる(キーボードが反対側に剥き出しになるが、タブレットとして利用する際にはキーボードは自動的に無効となる)。また、任意の角度で液晶が固定されるので、液晶を180度以上広げて、キーボードを下にして置いて使うこともできる。
液晶の上部には、100万画素ウェブカメラが搭載されており、ビデオチャットなどに利用できる。このウェブカメラは、180度回転できるようになっているので、ノートPCスタイルでの利用時に、インカメラとしてもアウトカメラとしても活用できる。
キーボードの使い勝手も良好、指紋センサーも搭載
キーボードは、日本語配列の全84キーで、主要部のキーピッチは約16.9mmである。キーストロークは約1.5mmで、キーボードの剛性感は高く、キータッチも良好だ。ただし、「¥」キーが左下に配置されているなど、キー配列には一部変則的なところがあり、「む」や「め」などのキーのピッチも狭くなっている。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドが採用されている。このタッチパッドは、クリックボタンが一体化したタイプであり、パッドサイズは106×63mm(幅×奥行)とかなり大きい。また、本体全体は防水仕様ではないのだが、キーボード部分はIPX2準拠の防滴試験に合格しているので、キーボードにうっかり水などをこぼした場合も安心だ。
キーボードの左上に、電源ボタンと一体化したWindows Hello対応指紋センサーが搭載されているのもうれしい。Windowsのログオンなどを指先ひとつで素早く行え、セキュリティも確保できる。
1024段階筆圧感知のスタイラスペンが付属、紛失防止用ストラップもあり
MousePro P116Aは、1024段階の筆圧感知に対応したスタイラスペンが付属していることも魅力だ。ペンでのメモや入力が自由にできることは、教育用途にも役立つ。
スタイラスペンにはボタンが2つ用意されており、消しゴム機能などを割り当てることが可能だ。スタイラスペンは紛失しがちだが、MousePro P116Aのスタイラスペンにはストラップが付いており、本体右側面にはスタイラスペンを収納するためのスタイラスペンホルダーとストラップフックが用意されているので、スタイラスペンを紛失する恐れはない。スタイラスペンホルダーが単なる布のタブでちょっと安っぽく見えるが、実用的ではある。スタイラスペンは、単6乾電池1本で動作する。単6乾電池は一般的な単4乾電池よりも細いので、注意が必要だ(単6乾電池は1本付属している)。
スタイラスペンの反応や書き味もなかなか良好であり、筆圧感知対応アプリを使えば、絵を描くのも快適だ。もちろん、ビジネス用途でも手書きメモを素早くとれるのは便利だ。
USB 3.0はType-AとType-Cを各1ポート装備
インターフェースとしては、USB 3.0 Type-AポートとUSB 3.0 Type-Cポートを1基ずつとヘッドホン/マイクロホン端子が用意されている。USB 3.0 Type-Cポートは給電兼用となっているほか、Altモードに対応しており、DisplayPort Altモード対応ケーブルを接続することで、DisplayPortとしても利用できる。また、microSDカードスロットも搭載している。
ACアダプターは40W仕様で、比較的小さくて軽い。電源端子は前述の通りUSB 3.0 Type-Cとなっている。バッテリーは3セル仕様で、公称最大約10.3時間の動作が可能だとされている。そこで、実際にバッテリベンチマークソフトの「BBench」を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのウェブアクセス(IEを利用)、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリー駆動時間を計測したところ(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)、9時間17分という結果になった。無線LAN常時オンで、9時間以上持てば十分であろう。
パフォーマンスも通常の利用には十分
参考のためにいくつかベンチマークテストを行ってみた。総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 8」の結果は、下の表にまとめた通りだ。Core i5+SSD搭載ノートPCと比べると6~7割程度のスコアだが、ウェブブラウズやOfficeアプリケーションを使う上では、それほど性能に不満はないレベルだ。
PCMark 8 | |
Home conventional | 1691 |
Home accelerated | 1836 |
Creative conventional | 1411 |
Creative accelerated | 2042 |
Work conventional | 1953 |
Work accelerated | 2677 |
ストレージの速度を計測する「CrytalDiskMark 6.0.0」の結果は以下のキャプチャの通りだ。高速SSDは及ばないが、2.5インチHDDに比べるとシーケンシャルリードやランダムアクセスは速い。
また、「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」の結果は以下のキャプチャの通りだ。640×480ドット標準品質のスコアは4050で、評価は「普通」であり、1280×720ドット標準品質のスコアは2421で評価は「やや重い」となった。ドラゴンクエストXの場合、解像度と表示品質を下げればなんとか遊べそうだ。
学習アプリやプログラミングにも向いており、子ども達の反応も上々
筆者には中学校1年生の娘と小学校4年生の息子がいるので、それぞれMousePro P116Aを使ってもらい、感想を聞いてみた。
小学校4年生の息子編:「マインクラフト」「学習パズル」「かんじドリル」「Scratch」
まず、息子が大好きなマインクラフト(Windows 10版)をプレーしてもらったが、タブレットスタイルや液晶を300度回転させてスタンド状態で使うスタイルで、サクサク遊んでいた。Windows 10版のMinecraftは、オリジナルのJava版よりも軽いため、MousePro P116Aでも快適に動作する。タッチパネルでの操作にも対応しているので、自由なスタイルで遊べることが気に入ったようだ。
また、アルゴリズム学習パズルゲーム「アルゴロジック」や、手書き対応の漢字練習アプリ「かんじドリル」もやらせてみた。アルゴロジックはウェブブラウザー上で動作するアプリだが、こちらも快適に遊べていた。また、かんじドリルは、スタイラスペン対応のMousePro P116Aでこそ、その真価を発揮するアプリだ。息子は漢字が苦手なのだが、かんじドリルのアプリで1文字ずつ練習するのは分かりやすいようだ。また、プログラミング入門用として人気の「Scratch」も、解像度がやや足りない感はあったが、動作そのものは問題なかった。
中学校1年生の娘編:「お絵描き」「中学英語単語帳」
娘には、スタイラスペンを使って、お絵描きをしてもらった。
使ったアプリは標準でインストールされている「OneNote」だが、すぐにアプリの操作にも慣れ、絵を自由に描けるようになったようだ。あまり絵は上手ではない娘だが、アプリならアンドゥができるので、気に入らないところは何度でもやり直せるので、描きやすいとのことだ。本格的に絵を描くのなら、もっと高機能なお絵描きソフトを使えばよい。
また、英単語を学習できる「中学英語単語帳」も試してみたが、正しい意味や綴りを選択していくアプリなので、タッチパネルに対応したMousePro P116Aにはぴったりだろう。
娘はほぼキーボードを見ないでタイピングができるのだが、MousePro P116Aのキーボードは、キーピッチも広すぎず、入力もしやすかったとのことだ。
このように、タッチパネルとスタイラスペンを備え、液晶が360度回転するMousePro P116Aは、教育用アプリやプラグラミングとも非常に相性がよい。
MousePro P116Aは、頑丈で携帯性も優れ、バッテリー駆動時間も長いという、三拍子そろった2in1 PCであり、さらに価格も手頃という、完成度の高い製品だ。本来は、学校などの教育現場や法人向けの製品だが、子どもに使わせるPCとしてもお勧めできる。