レビュー

“高音質”なWi-Fiルーター!? 1台3役のASUS「Lyra Voice」で豊かな新生活を

スマートスピーカーにもなる将来性抜群のメッシュWi-Fi対応機

「Wi-Fiルーター+スマートスピーカー+Bluetoothスピーカー」が合体「隠さないで使う」新しいスタイルのルーター!?

 ASUS「Lyra Voice」は、1台でWi-Fiルーターとスマートスピーカー、そしてBluetoothスピーカーの役割をまかなえる1台3役の製品。Wi-Fiルーター単体としてみても、IEEE 802.11acとトライバンドに対応している。

 ルーターだとは想像できない見た目で、隠すことなく部屋に置いておいても違和感がないので、4月から新たな環境で一人暮らしを始める学生、社会人が導入するにもピッタリだ。

 最近はスマートフォンだけでネット接続をまかなう人も多いようだが、通信量を気にせず動画を楽しんだり、IoT家電などを導入して部屋をスマートホーム化するのにも、Wi-Fiルーターは必須の存在と言える。

4月からの新生活に、固定ネット回線とWi-Fiルーターは必須だ

 さらに、家中くまなくWi-Fiの電波を届かせることができる“メッシュWi-Fi”に対応するので、将来をにらんだ拡張性も抜群だ。トライバンドへの対応は、ここでも生きてくる。

 一方、スマートスピーカーとしてみても、Amazon Alexaへの対応により豊富な機能が活用できる。部屋をスマートホーム化すれば、家電を音声でもコントロールできるようになる。

 そして、多くの競合製品とは異なり、ステレオスピーカーを備えていて、高音質で音楽を楽しめる点も本製品の魅力だ。単体のBluetoothスピーカーとしても動作するので、スマートフォンなどの対応機器とペアリングして高音質を楽しむこともできる。

 本記事では、Lyra Voiceについて、ルーター、スマートスピーカー、Bluetoothスピーカーそれぞれの機能についてレビューするほか、リンクジャパンのスマートリモコン「eRemote」を用いた部屋のスマートホーム化についても紹介していく。新生活の第1歩を、Lyra Voiceとともに始めてみてはいかがだろうか。

ルーター編:最大867Mbpsの11acに対応。クアッドコアCPUとMU-MIMOで十分すぎるWi-Fi性能

 Lyra Voiceは、ASUSの持つ重厚で角張ったイメージとは異なり、ファブリック素材を採用した柔らかな雰囲気でファッション性の高いデザインだ。横に細長い形状からは想像しにくいが、Wi-Fiルーター、Amazon Alexaデバイス、Bluetoothスピーカーそれぞれの機能を併せ持つ、1台3役の製品だ。

正面から見たLyra Voice。横に細長いサウンドバーのような見た目だ

 Wi-Fiルーターとしては、高性能なゲーミングルーターなどの製品を開発しているASUSだけあって、その性能は折り紙付き。IEEE 802.11acに対応しており、最大867Mbpsで通信可能だ。さらに、インターネット接続用のWANポートと、有線LANポートを各1基備える。スマートフォンなどの機器をWi-Fi接続できるのはもちろん、有線LANで使いたいデスクトップPCのような機器も接続できる。

Lyra Voiceの背面。WANとLANのポートを1つ用意

 Wi-FiルーターとしてのLyra Voiceは、クアッドコアCPUによる余裕あるパフォーマンスと、複数ユーザー(機器)が一度にWi-Fiでアクセスしても高速通信を維持できる「MU-MIMO」に対応。通信が高速なだけではなく、大量の通信を安定して処理できる。

Lyra Voiceの初期設定や動作モード変更などに利用する「ASUS Router」アプリ
ネットワークの使用状況もつぶさに確認できる
ルーターの動作状況などが確認できる。クアッドコアCPUの負荷も監視可能

 「1人暮らしなら、そんなに処理性能はいらない」との声もあるだろう。だが、ゲームをしながら動画配信し、同時にスマートフォンやタブレットでウェブアクセスして情報収集する、くらいのことは十分想像できる。

 さらに言えば、自分では意識していなくても、意外と多くのデバイスがネットワークに接続していたりするものだ。例えば、スマート家電がクラウドにアクセスする環境も当たり前になりつつある。それらデバイスの通信を互いに影響させない処理性能が、これからのWi-Fiルーターでは必須の条件だが、Lyra Voiceであれば不安はない。

メッシュWi-Fi機能「AiMesh」に対応、広い部屋に引っ越しても2台目として活用できる

 Lyra Voiceにおけるもう1つの重要なポイントが、ASUS独自のメッシュWi-Fi機能である「AiMesh」への対応だ。

 AiMeshは、複数のWi-Fiルーターを組み合わせ、より広い範囲にWi-Fiの電波を届かせることができるメッシュネットワークを構築できるもの。アクセスポイント名であるSSIDを1つに統一でき、ユーザーが接続先を意識することなく、最も電波状況のいいアクセスポイントへと自動的に接続できるようになっている。

 広い部屋や2階建て以上の一軒家だと、1台のWi-Fiルーターでは家の中にカバーし切れない場所が出てくる。リビングは快適に通信できても、寝室やトイレではWi-Fiが途切れたり通信速度が低下する、電波の弱いところができてしまう。メッシュネットワークなら、隅々まで電波を行き渡らせることが可能なのだ。

 メッシュWi-Fiは「1人暮らしのワンルームや1DKくらいなら不要なのでは」と思うかもしれない。もちろんそうだ。1台のWi-Fiルーターで十分まかなえる広さの部屋に住んでいるなら、メッシュWi-Fiを構築したところで、快適さは変わらない。あくまでも“今”は。

 そう、“今”は必要ないかもしれないが、いずれはメッシュWi-Fiが必要になる可能性がある。これから新生活だ!……という状況で、さらに先を見通しすことは難しいかもしれない。ただ、最初のWi-Fiルーター選びが、今後の数年間、場合によってはそれ以上を左右する分水嶺となるかもしれない。

いずれ広い部屋へ引っ越したとき、メッシュWi-Fiが欲しくなる可能性は高い

 例えば、最初にメッシュWi-Fi非対応のWi-Fiルーターを購入したとしよう。しばらく経って再び引っ越しが必要になり、広い部屋に移り住めば、それまでのWi-Fiルーターで電波を届かせる距離は基本的には変わらないため、確実に快適な通信ができなくなってしまう。

 障害物の有無や間取りにも左右されるが、広くなった分のエリアには、単純に電波が届きにくくなる。Wi-Fiに接続しにくい場所が少しでもあると、以前の環境より電波状況が「悪化している」と感じてしまうもの。元の快適さを取り戻したければ、より高性能な製品に買い替えるしかない。

最初にメッシュWi-Fiに非対応のルーターを導入してしまうと、引っ越し先では広さに対応できず、性能が不足しがちになる

 一方、最初にメッシュWi-Fi対応ルーターを購入していれば、広い部屋へ引っ越しても、必要に応じてもう1台メッシュWi-Fi対応機を買い足せば、通信の快適さが損なわれることはなく、以前より改善する可能性すらある。

 メッシュWi-Fi対応製品を最初に購入することは、長い目で見れば、最小限の投資で最大の効果を得られることにつながるのだ。

最初からメッシュWi-Fi対応ルーターを選んでおけば、引っ越し先の広さに応じて容易に性能を向上させられる

メッシュWi-Fiでは速度が低下しないトライバンドを選ぶのが鉄則

 Lyra Voiceが「トライバンド」であることもアドバンテージの1つだ。これは、5GHz帯が2本、2.4GHz帯が1本の計3本の通信経路があるという意味。メッシュWi-Fiの構築時には、Wi-Fiルーター同士が通信する経路が必要になるが、これに5GHz帯の1本を割り当てられる。スマートフォンやPCなどの通信には、もう一方の5GHz帯と2.4GHz帯の2本を使えるので、ネットワーク自体の性能をそのまま発揮できる。

トライバンドでは、メッシュWi-Fi用の通信経路を用意できるため、Wi-Fi子機の通信が妨げられることがない

 通信経路が2本のデュアルバンドだと、スマートフォンやPCの通信と、Wi-Fiルーター同士の通信を、2本のまかなわねばならず、経路が共有される可能性が高い。そうなると、ネットワーク性能の低下は避けられない。メッシュWi-Fiのポテンシャルを生かすなら、トライバンドを選ぶのは鉄則と言ってもいいだろう。

デュアルバンドでは、経路を共有することになりかねず、通信速度の低下が避けられない

他社ルーターと組み合わせても、中継機として利用可能

 もう1点、Lyra Voiceのうれしい機能が、他社のWi-Fiルーターと組み合わせて、中継機としても電波の範囲を拡大できること。メッシュWi-Fiとは異なり、1つのSSIDとはいかないが、すでにWi-Fiルーターを持っていても、これならLyra Voiceを導入する理由になる。

Lyra Voiceはルーター単体としても、メッシュWi-Fiの2台目としても、他社製ルーターは以下の中継機としても利用可能

 スマートスピーカーなどの機能を併せ持つことを考えると、むしろ、2台目のWi-Fiルーターとして導入する方が、使いやすい場所に置けて便利に感じるシーンが多そうだ。

Lyra Voiceを2台目のルーターとすることで、ダイニングやキッチンなど好きな場所に置くことができ、スマートスピーカーとしての使い勝手がより高まる

Wi-Fiルーターとしての豊富なネットワーク機能も活用しよう

 Lyra Voiceは、ほかにもさまざまなネットワーク機能を搭載している。トレンドマイクロの技術を採用したセキュリティ機能「AiProtection」は、悪質なウェブコンテンツへのアクセスを自動でブロックしたり、万が一ウイルスに感染したデバイスがあっても外部への通信をブロックしてくれたりする。これは忘れずにオンにしておきたい。また、友人を部屋に招いたときは、ゲストネットワーク機能でWi-Fiの接続情報を簡単に共有して使ってもらうこともできる。

ゲストネットワークを一時的に作成して、家に招いた友人らにWi-Fiを使ってもらえる
Wi-Fiの接続設定をQRコード化できるので、友人らにAndroidやiPhoneのカメラアプリで読み取ってもらえば、Wi-Fiへの接続が完了する

 もし、オンラインゲームをプレーすなら、通信のラグはできるだけ抑えたい。そうした場合は「トラフィックマネージャー」で、ゲーム機への通信の優先度を上げ、ほかのデバイスの通信は優先度を下げておくことで、より快適に遊べるようになる。

 このほか、家族のいる家庭でネットを利用するときには、「ファミリーメンバー」の機能では、家族の使うデバイスごとに、通信を許可するコンテンツや通信可能な曜日を制限することもできる。

通信の種類ごとに優先度を決めることができる「トラフィックマネージャー」
家族1人1人が使うデバイスに利用制限を加えられる「ファミリーメンバー」アクセス可能なコンテンツタイプも設定可能

スマートスピーカー編:Alexa対応で豊富なサービスに対応スキルを追加して機能拡張も

 ここまでは、メッシュWi-Fi対応ルーターとしての機能に注目してきたが、Lyra Voiceは、Amazon Alexa対応のスマートスピーカーと、Bluetooth接続スピーカーとしての機能も有している。つまり、Amazon Echoシリーズとほぼ同等の機能を持つということだ。

Lyraシリーズ用アプリ「ASUS Lyra」に、Amazonアカウントを入力して、Amazon Alexaの利用設定が行える

 「アレクサ、今日の天気を教えて」と話し掛ければ、近隣の最新の天気情報が分かるし、「アレクサ、○○が聞きたい」と曲名を言えば音楽が流れる。さらに「アレクサ、○○が欲しい」のように商品を指定すれば、Amazon.co.jpの商品をカートに入れたり、直接購入できたりする。

 Alexa対応スマートスピーカーとしては、定額音楽配信サービスの「Amazon Prime Music」や「Spotify」、ラジオ配信サービス「radiko.jp」などに対応しており、これらの音声コンテンツを話し掛けるだけで再生できる。

 Amazon Echoシリーズと同様に、Alexaスキルを追加して機能を拡張するのもアリだし、Amazon Alexaアプリを通じてスマートフォンとBluetoothペアリングする設定を行えば、すぐにBluetoothスピーカーとして、音楽を気軽に再生できる。

Bluetoothスピーカーとしても使用可能。「+」と「ー」ボタンを同時にしばらく押し続けるか、「アレクサ、スマートフォンのペアリング」と話し掛けると、Bluetoothスピーカーとしてスマートフォンと接続できる
もしくはAmazon Alexaアプリ内からBluetoothペアリングを実行する方法もある

Bluetoothスピーカー編:ステレオ再生に対応、音楽や動画音声も遅延なく、高音質で思う存分楽しめる

 しかも、見た目から想像できる通り、スピーカーとしての性能もかなり高い。そもそも多くのスマートスピーカーの音声出力はモノラル1チャンネルだが、Lyra Voiceは8W出力のスピーカーを2本備え、ステレオ2チャンネルの再生ができ、圧倒的な音の広がりが楽しめる。

8W×2のステレオスピーカーを搭載。両サイドにあるパッシブラジエーターで、小型にもかかわらずキレのある低音を奏でる

 スマートフォン内の音楽ファイルや定額音楽配信サービスの音楽を再生すると、これまでのスマートスピーカーでは感じたことのなかった澄み切ったサウンド、重厚な低音が響く。筆者はAmazon Echoシリーズの中でスピーカーの品質が最も高いとされる「Echo Plus」を所有しているが、それと比べても、Lyra Voiceは段違いの高音質と思えた。

スマートフォン内の音楽ファイルをBluetooth再生。ステレオの広がりのあるサウンドは、モノラルのスマートスピーカーでは決して得られないもの

 Prime VideoやNetflixのような定額動画配信サービスも試してみたが、大きな音声の遅延はなかった。スマートフォンで動画再生しながら、音声はLyra Voiceから聞くというスタイルも面白い。

Prime Videoをスマートフォンで再生し、音声だけLyra Voiceで聞く、という使い方もアリ

 新生活を始まりとともに、スマートスピーカーの導入を考えている人もいるはずだ。Lyra Voiceを購入するだけで、別途スマートスピーカーを購入する必要はなくなり、余計な出費を避けられる上、本来ルーターとスピーカーの2台必要だったところが1台のスペースで済むので、狭い新居で家財道具をできるだけ減らしたいという場合も、都合がいい。

応用編:eRemoteシリーズとあわせれば、自宅をスマートホームに話しかけて、そして外出先からも、家電を思い通りに操作

 せっかく新居に引っ越すなら、家電を声で操れる“スマートホーム化”にも取り組みたい。「eRemote」や「eRemote mini」のような赤外線リモコンユニットを導入するのが早道だ。

「eRemote」(左)と「eRemote mini」(中央)

 eRemoteシリーズは、テレビやエアコン、オーディオ機器、照明など、赤外線リモコンで操作できる多くの家電製品を、専用スマートフォンアプリや、スマートスピーカーへの音声命令を通じて操作できるようにするもの。例えば「アレクサ、エアコンを付けて」と言えばエアコンがオンになり、「アレクサ、照明を明るくして」と言えば部屋の明かりが点く。

eRemoteシリーズ専用アプリ「eHome
簡単な初期設定だけで、テレビのリモコン操作をアプリから再現可能

 クラウドサーバーを介して通信しているので、家の外からでもスマートフォンアプリで操作が可能だ。日中は出掛け、帰宅前にエアコンをオンにしておけば、家に到着する頃には快適な部屋が待っている。また、夕方に部屋の明かりを灯けておけば防犯にも役立つ。

 eRemote独自の「シーン」設定を活用すれば、帰宅時にスマートスピーカーに話し掛けて家電を一斉にオンにしたり、複数の操作をまとめて実行したりするカスタマイズまでが可能だ。

エアコンも同じようにアプリからリモコン操作
夜間、寝ている間にエアコンを自動でリモコン操作して快適に保つ仕組みもある

 家電を思い通りに制御できるeRemoteのようなアイテムが使えるのも、固定回線とWi-Fiルーターがあればこそ。スマートフォンさえあれば固定回線は不要と判断する人も、最近では少なくないと聞く。固定回線のメリットとして「スマートフォンの“ギガ”が減りにくい」ことが挙げられがちだが、こうした充実の新生活環境を構築できないことの方が、よほど影響が大きいのでは、と個人的には思ってしまう。

複数の家電を一度に操作したりできる「シーン」設定。Amazon AlexaアプリでeHomeのスキルを有効にしておけば、話し掛けるだけでそのシーンを実行できる

まとめ:スマートスピーカーらしからぬ高音質が最大の魅力ルーターらしからぬ見た目で隠さず使えるのも斬新

 1台3役のLyra Voiceは、一人暮らしにはぴったりな上、将来的な拡張性も併せ持つ多彩な製品だ。中でも、これまでのスマートスピーカーで不満だった音質の問題をクリアしているのが、やはり最大の魅力だ。

 背が低いコンパクトな筐体のおかげで設置場所にあまり気を使わずとも、身近なところで使えるのも斬新。できるだけ“隠す”のが主流だったこれまでのWi-Fiルーターには、あり得なかったスタイルだろう。

 さらに、メッシュWi-Fi対応ルーターと組み合わせれば、もはやLyra VoiceをWi-Fiルーターとして意識することは完全になくなる。Lyra Voiceを好きな場所に置けば、それだけで最適化されたメッシュWi-Fiが構築され、Wi-Fiでのインターネットが快適になる。そんな中で家電をコントロールしたり、サウンドバーっぽく音楽再生したりと、さまざまな用途にフル活用できる。なんて贅沢なんだろう……。

移動させやすいコンパクトサイズ。この中にメッシュネットワーク対応のWi-Fiルーターやスマートスピーカーなどの機能が詰まっているなんて、とても思えない

 何度も言うが、最初に選ぶWi-Fiルーターをどれにするかで新生活の快適さ、ライフスタイルは大きく変わってくる。少しでもリラックスして過ごせる家にしたいなら、いつでもいい音で音楽を聞けることと、自宅のスマート化は重要だ。

 そのスマート化を実現するにはスマートスピーカーも必要で、将来広い部屋に移り住む可能性も考えればメッシュネットワーク対応機にしておいて損はない。その全てを1台でカバーするLyra Voice、間違いなくおすすめできる。

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(協力:ASUS JAPAN)