レビュー

デジタルカメラをWebカメラとしてMacで使おう!HDMIキャプチャなしで!

オンラインソフトで試してみた

デジタルカメラをWebカメラとして使おう!HDMIキャプチャなしで!

 ビデオ会議が増えたことで、Webカメラ特需が起きている。低価格帯になるほど入荷時期が不透明であり、ハイエンドよりのWebカメラについても見かけなくなった。

 入手までの回避策としては、スマホをWebカメラの代替にするアプリ、たとえばEpocCamであれば、WindowsとmacOSに対応し、かつAndroid版とiOS版がある。

条件付きながら、追加投資ゼロでデジカメをWebカメラとして運用できる

 その一方で、デジタルカメラ(一眼レフ、ミラーレス)をWebカメラ的に運用する例も目立ち始めた。

 HDMIキャプチャーを利用することもあるし、SIGMA fpユーザーであれば、同機はUVC(USB Video Class)に対応しているため、PCと接続するだけでビデオソース扱いになる。

「キャプチャー機器レス」でWebカメラとして運用する方法

 だが、実はHDMIキャプチャーを使わずに、Webカメラ的に運用できる方法もある。

 それなりの工夫が必要で、今回のやり方はmacOSユーザー限定、さらにカメラボディも選ぶが、そのやり方を紹介したい。

 用意する機材は、

・カメラボディ
・USBケーブル
・macOS搭載機

だ。

【ご注意】

本記事で紹介している手順は、カメラメーカーが保証する使い方ではありません。カメラや使用ソフトの更新で、手順が変わったり、使用できなくなる場合などがあります。

用意するアプリケーション

 そして用意するアプリケーションは

・Camera Live v002
・CamTwist 3.4.3

のふたつだ。

 Camera Liveは、USB接続したカメラにSyphonサーバー(後述)としての振るまいを与えるもので、ライブビデオカメラのような扱いになる。SyphonはmacOS上の対応アプリケーション間で映像をやりとりするための規格だ。

 CamTwistは、macOS向けのカメラユーティリティで、OSからは仮想カメラとして認識される。リアルタイムに物理Webカメラからのソースにフィルターをかけたり、クロマキー合成をしたり、画面キャプチャーをしたりと多機能で圧倒的に便利だ。

 最近、Macを買ったのならインストールしておくと何かと捗るアプリケーションなのだが、すでに開発が終了しており、macOSのメジャーアップデートごとにお別れを覚悟する人も多いようだ。ともあれ、macOS 10.15.4で動作しているので、しばらくは使用できるだろう。

先にデータの流れを見ておくと、上記のようになる
α7RIVでテストした。レンズは手元にあったMACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Asphericalを使用した

 Camera Liveの対応機器を見ると、キヤノンのボディばかりだが、異なるメーカーのボディでも動作することがある。条件などは不明なので、手持ちのボディで試してもらうしかないのだが、筆者環境下においてソニー「α7R III/IV」での動作を確認した。

 よってボディ側の設定は「α7R IV」で記していくが、異なるメーカーのボディであっても似たような項目はあるハズなので、適宜、置換してほしい。

手順1:ボディ側でPCリモートをON
PCリモートをONにし、接続方式をUSBにする

 まずボディ側でPCリモートをオンにする。α7R IVの場合は接続方式をUSBにしておく。それから側面のUSBポートからMacと接続する。ケーブルはUSB 3.1 Gen1に対応したUSB Type-C - Type-Aのものであれば問題なさそうだ。

手順2:Camera Liveを立ち上げる
この状態になればOK
撮影モードはなんでもOK

 macOSに接続した状態でCamera Liveを立ち上げる。とくに操作は必要なく、Activeと表示されればOK。

 接続テストとしてシャッターが2回ほど自動で降りるが、ドライブモードがそのまま反映されることが多いため、シングルショットにしておくといい。

 また撮影モードはどれでも構わないのだが、上手く行かない場合は、動画撮影モードにすると解決できることがある(のだが、認識しなくなるパターンが不明すぎなのでおまじないレベルだ)。なおマイクソースは取得されない。

手順3:CamTwistを立ち上げる
CamTwist。スクリーンショットのように設定すればいい

 次にCamTwistを立ち上げて、

Step1:「Syphon」を選択
Step2:スキップ
Step3:表示された「Syphon」のSettingから「Camera Live」を選ぶ

以上で設定は終わりだ。

 あとはSkypeなどのアプリケーションの設定からビデオデバイスとしてCamTwistを選ぶだけだ。

 ただ仮想ビデオデバイスを認識しないアプリケーションもあった。これを書いている時点で、分かりやすいものではZoomとDiscordだ。Zoomは直近のアップデート以降、仮想ビデオデバイスが表示されなくなった。今後どうなるかはわからないが、「今はこうなっている」と覚えておこう。

CamTwistのプレビューで確認しているところ。またCamera Live側でエラーが出ているが、問題なく動作している不思議な状況でもある
SkypeでビデオデバイスとしてCamTwistを設定したところ
音声取得にはHyper-X QuadCastを使用した

 また取得されるソースの最大サイズはボディごとに異なると思われるが、CamTwistの設定でフレームレートやビデオサイズを変更できる。以下のサンプルは、1280×720、60フレームに設定してQuickTimeで録画してみたもの。遅延の検証を兼ねてキーボードを叩いているが、ビデオチャットくらいならば問題なさそうだ。

【ソニー α7R IVをWebカメラとして使って撮影した動画】
CamTwistの設定画面

 フレームレートについては、α7R IVはファインダーフレームレートを60fpsか120fpsから選べるが、その設定は影響していないようで、おおよそ60fpsまでのようだ。これはボディごとに異なるだろう。

 またビデオサイズについては、3840×2160に設定してもコマ落ちすることはなかったが、テレビ会議している分には「その分、画質がよい」とはいえなかった。よって、1280×720か1920×1080を上限にするといいだろう。Webカメラレベルでの運用であれば、それらで十分なハズだ。

純正アプリが欲しいなぁ……

 実用的であるかとなると、ひどく条件付き、という感じにはなる。個人的な希望としては、例えば各社の純正デザー撮影アプリケーションでもボディからの映像を取得しているわけで、カメラメーカーからWebカメラ的に運用できるアプリケーションが登場してもよさそうだが、とは思っているが、どうか……。

(編注:という原稿をいただいたのちの4月29日、キヤノンの米国法人がWebカメラ化ユーティリティのベータ版を公開した(Windows版のみ)。国内での発表はなく、国内モデルでの挙動などは不明)