レビュー

PS5を購入、Wi-Fi 6ルーターにつないでみた!

接続は最大1201Mbps、WPS利用時にはちょっとした盲点も……

 「プレイステーション 5(PS5)」が11月12日に発売された。次世代ゲーム機としての高い性能が注目され、ネットワークまわりも旧機種となるプレイステーション 4(PS4)から進化している。最大の変更点は、最新規格であるWi-Fi 6こと「IEEE 802.11ax」に対応したことだ。

 Wi-Fi 6に対応するルーターには、最大1201Mbpsの通信速度で接続できる。PS4は初期型がWi-Fi 4(IEEE 802.11n、2.4GHz帯のみ)対応で最大144Mbps、小型化された後期型およびPS4 ProがWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)対応で最大866Mbpsだったので、順調に進化しているわけだ。

「プレイステーション 5」(右)とASUSのWi-Fi 6ルーター「RT-AX56U」(実売価格1万2000円前後)

プレステ初のWi-Fi 6、Wi-Fi 6は電波干渉や混線により強く

 一昔前まで「ゲームには高速で安定した通信が重要で、有線接続が必須」と言われてきたが、Wi-Fi 5登場の前後あたりでやや事情が変わってきた。5GHz帯を使うWi-Fi 5では、電子レンジなどからの電波干渉を受けにくいのと同時に、複数端末からの通信にも強くなった。

 そしてWi-Fi 6では、さらなる通信速度の向上に加え、複数端末からの通信がより効率的になり、ゲームへの適性がさらに高くなったと言える。

 ちなみに有線LAN接続については、PS5も最速1Gbpsの1000BASE-Tで据え置き。仕様上では、有線より無線の方が高速な通信ができる状態となっている。ただ、接続するインターネット回線が1Gbps超でなければ、PS5も実用上では1Gbps以上の通信はできない。Wi-Fiでも、有線LAN接続と同等の通信ができることが、目下のターゲットとなるだろう。

ASUSのWi-Fi 6ルーター「RT-AX56U」

 こうした事情も踏まえ、実際にPS5をセットアップし、Wi-Fi 6ルーターに接続してみよう。PS5のWi-Fi 6に関する詳しい仕様は、本体付属の仕様書にも記載がないが、おそらく1201Mbpsと思われる。

 今回は、ASUS製Wi-Fi 6対応ルーターでは1万円ちょっとと最も安価ながら、帯域幅は80MHzまで利用でき、最大転送速度は1201Mbps(5GHz帯接続時)または574Mbps(2.4GHz帯)。Wi-Fi 6の標準機能である「OFDMA」と「MU-MIMO」により、数多くのWi-Fi機器がある環境でも電波を効率的に利用し、速度遅延の小さいWi-Fi環境を利用できる「RT-AX56U」を選び、その辺りを検証してみた。

 ASUS独自の機能として、端末やアプリごとに通信帯域を制御できる「Adaptive QoS」や、セキュリティ対策ソフトをインストールできないネットワーク機器を保護できる「AiProtection」は、PS5とも相性がいいはずだ。

Wi-FiのセットアップはWPSなら簡単ただし設置環境によっては盲点も

 まずはPS5を箱から出してセッティングを行う。本体にベースを取り付け(縦置き、横置きどちらにも対応するが、いずれにもベースが必要)て設置し、付属の電源ケーブルとHDMIケーブルを接続。前面のUSB端子にUSBケーブルを接続し、ワイヤレスコントローラーを繋ぐ。これでセッティングは完了だ。

ベースは縦置き用かと思いきや……
横置きでも同じベースを使用する

 電源をオンにすると、最初に言語選択が表示される。日本語を選んで〇ボタン……ではなく、×ボタンで決定する。この辺の話は、僚紙AV Watch掲載の西田宗千佳氏による記事に任せ、先に進もう。

ここで〇ボタンを押すと「決定するときは×を押して」と教えてくれる親切なPS5

 次に進むと、早速ネットワーク接続の画面が表示される。有線LANケーブルを接続していないので、自動的にWi-Fiアクセスポイントを検索し、リストアップされる。

 そして、ここで「“WPSボタンを使って設定”を選べば簡単」………、と言いたいところだが、実はちょっとした盲点がある。

 以下は、筆者宅での設定画面だが、肝心の「WPSボタンを使って設定」が見当たらないのだ。

 ここであわててしまう人もいるかもしれないが、実は設定メニューはちゃんとある。リストアップされたアクセスポイントを一番下までスクロールすると、最下部に「WPSボタンを使って設定」が用意されているのだ。

 この画面では近隣のアクセスポイントをすべて拾うため、筆者宅ではリストが長大になり、気付きにくかった。同じような環境の人は注意して欲しい。

Wi-Fiアクセスポイントの一覧が表示される
一番下までスクロールすると、WPSの設定が用意されている

 さて、そのWPSだが、これは「Wi-Fi Protected Setup」の略で、親機と子機の双方で同時にボタンを押すことで、子機側のWi-Fi設定を自動で行うもの。パスワードを手動で入力する必要がないため、必ずしもキーボードが接続されているとは限らないゲーム機などでは、特に重宝する。

 これを選択すると、「アクセスポイントのWPSボタンを押してください」という指示が表示される。「RT-AX56U」の場合、本体背面の右端にあるWPSと書かれたボタンを押す。

WPSボタン押下の待機画面
「RT-AX56U」では、背面にWPSボタンがある

 数秒待つと、PS5の画面が「しばらくお待ちください……」という表示に切り替わるので、そのまま待つと、画面にはアクセスポイント、続いてインターネットへの接続のインフォメーションが表示される。

「しばらくお待ちください……」の画面に切り替わったら、WPSによる自動設定が実行されている証拠だ
アクセスポイントに接続中
インターネットに接続中

 Wi-Fiやインターネットの接続に問題がなければ、表示エリアの調整に関する設定へと移る。つまり、Wi-Fiの接続設定はこれで終了だ。あとは画面の指示に従って、そのほかの設定を続けていく。

表示エリアの調整に移る。この時点でWi-Fi接続設定は完了だが、この後も本体設定が続く
ルーターの設定画面からでも、WPSボタンを押したときと同じ動作ができる

 WPSボタンの位置はWi-Fiルーターの機種によって異なるが、現在販売されているほぼ全てのWi-Fiルーターに搭載されているので、使用をおすすめしたい。

 なお、ルーターを直接触りにくい場所に設置している場合は、WPSボタンを押しにくいこともあるが、今回検証したRT-AX56Uなど、いくつかの製品では、WPS機能をルーターの設定画面でソフトウェア的に動かせるものもある。

 RT-AX56Uでの操作画面は右写真の通りだが、そのほかの製品の場合は各製品のマニュアルを読んで確認していただきたい。

もちろん手動設定も可能

 もちろん手動での設定も可能だ。Wi-Fiアクセスポイントの一覧が表示されたら、RT-AX56UにSSIDとして設定されている「ASUS_00」を選べば、続いてパスワードの入力が求められる。「RT-AX56U」に設定してあるパスワードを入力して、OKを選ぶ。

Wi-Fiアクセスポイントが一覧表示されるので、RT-AX56UのSSIDに設定された「ASUS_00」を選ぶ
パスワードを入力

 WPSでの接続後と同様に、画面がアクセスポイントへの接続、インターネットへの接続と切り替わり、Wi-Fiでのインターネット接続が完了する。

 なお、手動による設定とWPSによる設定で、通信速度に差が出ることはない。どちらを使うかは、自分の好みで選んで構わない。

リンク速度は最大1201Mbps、Wi-Fi 5のおよそ1.4倍

ASUSのスマートフォンアプリ「Router App」で接続状況を確認したが、リンク速度は1201Mbps。これはWi-Fi 6でないと出てこない値。最大4804MbpsのWi-Fi 6ルーターを接続してもやはり1201Mbpsでリンクしていた

 ASUSルーター向けのスマートフォンアプリ「Router App」では、Wi-Fi接続した各機器の状況を確認できる。ここからPS5のリンク速度を確認したところ、1201Mbpsとなっていた。Wi-Fi 5であれば最大でも866Mbpsとなるのでおよそ1.4倍程度高速で、Wi-Fi 6でないと出てこない値と言える。念のため、最大4804MbpsのWi-Fi 6ルーターに接続してみても、リンク速度はやはり1201Mbpsだった。

 Wi-Fi 6では、ほかの機器が増えて混雑しても速度低下を抑え、安定した通信速度を保つことができるし、Wi-Fi 5同様に、5GHz帯を使うことで電子レンジからのノイズを回避することも可能だ。さらに、前述したASUSルーターの独自機能「Adaptive QoS」を使えば、「PS5が使う通信帯域」を確保することもできる。

 最近はスマートフォンやPCでも、新モデルのほとんどがWi-Fi 6対応になっている。PS5を導入するタイミングでWi-Fi 6環境を構築し、機器の裏を這う有線LANケーブルを1本減らすことができるのも、有意義な選択肢と言えるだろう。