レビュー
2402Mbpsに増速で1万円強!の高コスパWi-Fiルータ「RT-AX57」を試す
「当たればもう一台」キャンペーンの対象モデル
2023年8月31日 06:55
ASUSからWi-Fi 6対応ルーター「RT-AX57」が発売された。本機は実売価格1万円強というエントリー機ながら、Wi-Fiの5GHz帯の速度が2402Mbpsとなり、従来機種から倍増しているのが特徴だ。
ただ安いだけでなく、安全で便利なWi-Fi環境を整えるのに一役買ってくれるのもポイントで、ASUSならではの多機能さも受け継いでいる。
同社が推している「拡張できるルーター」こと「Extendable Router」にも対応した製品で、10月22日までの間、この製品を含む対象製品を買うと、もう一台、Extendable Router対応製品が抽選であたるという「Extendable Router購入キャンペーン」も開催されており、ASUSの力の入れようがうかがえる。
今回はASUSから試用機をお借りし、通信速度の測定に加え、機能面の確認もしていきたい。
通信速度とCPU性能が順当に向上
まずはスペックの確認から。
同社のWi-Fi 6対応エントリー機としては「RT-AX55」という近い型番の製品があるので、そちらと比較もしておこう。
RT-AX57 | RT-AX55 | |
CPU | Broadcom BCM6756(クアッドコア、1.7GHz) | Broadcom BCM6755(クアッドコア、1.5GHz) |
メモリ | 256MB | ← |
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6 | ← |
最大速度(2.4GHz帯) | 574Mbps | ← |
最大速度(5GHz帯) | 2402Mbps | 1201Mbps |
Wi-Fiストリーム数 | 2×2(5GHz帯)、2×2(2.4GHz帯) | ← |
WAN | 1000BASE-T×1 | ← |
LAN | 1000BASE-T×4 | ← |
USB | なし | ← |
Wi-Fi 6の5GHz帯は最大2402Mbps。エントリー機は同社も含めて1201Mbpsのものが多い中、本機は倍増している。WAN側が最大1Gbpsの1000BASE-Tなので、2402Mbpsでインターネット接続ができるわけではないが、最大1201Mbpsでは実測1Gbpsを大きく下回ることが多いので、通信速度で若干有利になるはずだ。後ほど実測値をお見せしたい。
LAN側は1000BASE-Tの4ポートで、USBポートは非搭載。Wi-Fi 5など旧規格からの置き換えや、同社が展開するメッシュネットワークを主体としたWi-Fi拡張技術「Extendable Router」としての活用などが考えられる。
「RT-AX55」との比較だと、CPUがやや高速化したことと、Wi-Fiの5GHz帯が倍速化した以外は、ほぼ同じスペックとなっている。筐体のデザインも、薄い平置き型で4本のアンテナを装備した外見は共通で、色味が若干異なるだけのように見える。
ということは、やはり通信速度の実測値がどうなるかが最も注目されるポイントだろう。
シンプルながら質感は良好
次は外見をチェックしていく。色はブラックを基調に、2本のゴールドのラインが入っている。光沢のある表面加工で安っぽさはなく、デザイン的にはエントリー機という雰囲気ではない。それでも同社のWi-Fiルーターの中ではおとなしい外見だが。
設置は平置きが基本だが、底面には壁付け用と思われる穴もある。筐体サイズは実測で、約16×23cmで、高さはアンテナ直立時で約20.5㎝。外部アンテナは4本あり、向きはそれぞれ自由に調整できるので、直立にしなければ高さはある程度下げることも可能だ。
端子類は全て背面に集められており、WAN/LANの有線ポートのほか、電源ボタンやWPSボタン、リセットボタンもある。構成としてはシンプルで、端子部の色分けもされており、初心者にも扱いやすいと思う。
有線LANの限界値に近いWi-Fi通信速度を記録
続いてはWi-Fiの速度を測定する。
計測にはiperf3を使い、子機となるPCは160MHz幅の2402Mbpsに対応したもの。通信相手は有線接続されたPC。同室内での近距離通信のほか、筆者宅である3LDKのマンションで、通路側の部屋に本機、ベランダ側の部屋の端にPCを置き、間にある3枚の木製扉を閉じた状態で通信した。5GHz帯の制御チャンネルは120に設定。アンテナは全て直立で使用した。
上り | 下り | |
近距離 | 945.4 | 946.9 |
遠距離 | 10.49 | 56.22 |
※単位はMbps。iPerf3はパラメーター「-i1 -t10 -P10」で10回実施し、平均値を掲載
テスト結果を見ると、近距離は上り下りともに950Mbpsに迫る値が出ている。結果を細かく見ても安定したデータが出ており、有線側の1Gbpsがボトルネックになっている状況が見て取れる。2402Mbpsに増速した効果がはっきり出ている。
遠距離では速度は大きく落ちるものの、通信が途切れることはなく安定していた。同社の上位機種と比べてもそう見劣りはせず、エントリー機だからといって電波の飛びが悪いということはなさそうだ。設置場所を家の中心付近にするなど条件を良くすれば、本機だけで我が家は全域をカバーできるだろう。
アプリで簡単設定、かつ多機能
次は本機の機能面をチェックしていく。本機はエントリーモデルなので、同社のゲーミング向けモデルなどと比べると機能は少ないものの、それでも全てを紹介しきれないほど多機能だ。
まず設定はスマートフォンアプリ「ASUS Router」を使用している。本アプリは無料で提供されており、初期設定を含めたさまざまな機能を設定できる。このほかにもWebインターフェイスも使用できるが、今回はアプリのみで設定している。
初期設定の際には、本機のWANポートにインターネット回線を接続し、電源を入れてから「ASUS Router」を起動する。アプリが初期設定待ちの本体を自動で検索するので、見つかったら選択した上、本体裏やパッケージに同封されたセットアップカードを確認するなどしてWi-Fiパスワードをスマートフォンに入力。
後はアプリの指示に従って設定すれば、数ステップでインターネット接続準備が完了する。筆者宅はルーター一体型のホームゲートウェイが提供されているNURO光なので、ISPのIDやパスワードの入力は不要だったが、仮に必要な場合でもそのステップが増えるだけのはずだ。
PCでWebブラウザを開いて、ルーターのIPアドレスを入力して、ルーターの初期IDとパスワードを入力して、必要な設定を探して入力して……という手間を考えると、格段に楽だ(ちなみにWebインターフェイスからの初期設定も同等のガイドが用意されている)。初心者から上級者まで安心して使える。
それ以外の設定項目では、ルーターモードとアクセスポイントモードの切り替えや、ポートフォワーディング、ファームウェアアップデートといった一般的なルーターに装備されている機能は当然持っている。またWAN接続タイプの設定では、フレッツ光のIPv6 IPoE接続の1つであるv6プラスの項目も選べる。
ウイルスや悪質なサイトへの対策となる「AiProtection」も搭載。不適切なサイトへのアクセスをDNSベースでフィルタリングし、デバイス単位での設定が可能なセーフブラウジング機能も利用できる。さらに年齢に応じたプリセットも用意されたペアレンタルコントロール機能で、デバイスごとに利用時間を制限でき、子供のインターネット利用への対策を立てられる。
また接続トラブル時に問題がどこにあるかをセルフチェックできる「ネットワーク診断」や、CPU・メモリの使用状況を確認できる「システムモニター」を搭載。初心者にも問題の切り分けができるし、上級者ならより細かい分析も可能だ。
ほかにも友人が来た時などに家庭内LANとは別のネットワークでWi-Fi接続を提供できる「ゲストネットワーク」機能や、同社のWi-Fiルーター同士でメッシュWi-Fiを構築できる「AiMesh」にも対応している。
上記の設定は全てアプリで完結できる。なおWeb設定画面ではより多くの設定項目が用意されているが、わざわざWebブラウザを立ち上げてIPアドレスを入力する必要はなく、アプリから開けられるようになっている。
ちなみにアプリのデザインも変更可能。カラーリングの異なる4つのデザインが用意されている。
5GHz帯の増速でコストパフォーマンスはより高くなった
Wi-Fi 6対応のエントリー機は、5GHz帯の通信速度が1201Mbpsなのが一般的だ。本機は2402Mbpsに増速したことで、1Gbpsの1000BASE-Tと同等の通信速度を安定して得られるようになった。
その上で現在の実売価格は11,592円(税込み)で、従来機種と比べてもコストパフォーマンスは高い。他社の製品と比べれば、もしかするとより安価なものもあるかもしれないが、そこは充実した機能や優秀なスマートフォンアプリの必要性を評価していただきたい。
速度だけで言えばミドルクラスに匹敵するもので、有線が1Gbpsでいいのであればこれで十分と言える環境は多そうだ。むしろ本機の登場によって、これまでのミドルクラス機が食われてしまわないかと心配になる。
ミドルクラス機と厳密に比較すれば、メモリ容量やUSB端子などコストカットされている部分はある。ラインナップが異様に豊富になったASUS製品群の中にあっても、立ち位置は切り分けされているので、近いスペックの製品と比較検討してみるといいだろう。いずれにしても本機が競争力の高い製品であることは間違いない。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)