特別企画

思い出写真をカンタンに掘り出せる! “写真クラウド”3選

大型連休に撮りまくり? 写真保存法を今一度考えてみよう

 先週はゴールデンウィーク。行楽先・帰省先で写真を撮りまくった……なんて方も多いのではないでしょうか? 特に最近はスマホのカメラが普及していますから、それほど写真に興味がなくてもついついシャッターを切ってしまい、気付いたら数百~数千枚の写真があったなんてこともザラでしょう。

 ただ、スマホ内の写真の枚数が増えてくると面倒事が多いのも事実。ストレージ容量が少なくなってその他のアプリをインストールできなくなったり、あるいは機種変更の際に元の写真を新端末へ移行したいとなると、途端に面倒になってきます。

 そんな困り事を一気に解決してくれるのが、画像保存のクラウドサービスです。端末に保存された写真をスマホアプリ経由でクラウド(オンライン)へ一括アップロードしておき、さまざまなかたちで活用することができます。本稿は、これらのサービスを便宜的に“写真クラウド”と呼称します。

残念ながら、筆者は連休のほぼすべてを原稿執筆に捧げました……。とはいえ連休直前にはいろいろ行ったんですよ!  写真クラウドを使えばこんなコラージュもチョチョイと作れますよ、えぇ!(逆ギレ)

機種変更時の手間が恐ろしいほど軽減、ストレージの節約にも有効

 写真クラウドを実際に使ってみて、特に便利だなーと感じるのが「複数台同時持ち」との相性の良さ。例えば、スマホとタブレットを1台ずつ持っていたとします。実際に撮影を行うのは大抵スマホで、画像ファイルも当然そのスマホの中。しかし写真クラウドにアップロードしておけば、家でちょっと落ち着いたときにタブレットで写真をカンタンに見られる……というわけです。

スマホとタブレットを持っている方なら、写真クラウドは本当に便利。撮影はスマホで、閲覧はタブレットで……という使い分けが見事にハマります。これは、タブレットで「Google フォト」を利用しているところ。サムネイルの表示数がスマホに比べて多くなっています

 このテの機能はそれこそiPhone/iPadの「フォトストリーム」がありましたが、写真共有の期限があったり、Android端末では利用できないなど、制限も多くありました。しかし2017年時点ではこのあたりの問題がクリアされ、グッと実用的になっています。

 また、設定にもよりますが、端末内に保存されている写真はほぼ全自動でクラウドへアップロードされるので、手間もほとんどなし。アプリによっては、Wi-Fiに接続したときだけ、あるいは充電中にだけ、自動アップロードを有効化することも可能です。

「OneDrive」アプリにおける、画像自動アップロードの設定画面。大概の写真クラウドアプリでは、画像を自動アップロードしてくれます
「Amazon プライム・フォト」では充電中にだけ自動アップロードすることも可能

 タブレットを持っていない人でも、スマホの機種変更の際には写真クラウドが大きな効果を発揮します。microSDを差し替えて1枚1枚写真を転送する手間は当然不要。過去の写真はクラウドにだけ保存しておき、必要になったら実体をダウンロードするようにすれば、端末のストレージ容量節約に効果があります。このほか、iPhoneからAndroidへの機種変更のようなケース、つまりOS乗り換えでも、利便を実感できるはずです。

 それともう1つ、「写真の楽しみ方が多角的になる」という効果もあるのですが……これはまた後半でご説明します。

写真クラウド3種を紹介! 選び方のコツは?

 では、ここからは写真クラウドを3つご紹介しましょう。細かく見ていくとアプリの仕様・挙動などに違いがあり、当然好みも分かれるかと思います。ただ、結局のところ写真クラウドの優劣を競う要素は……

「容量と価格のバランス」

これに尽きます。無料プランでどれだけの写真を保存できるかチェックし、その上で「今後写真が増え続けるとして、どの程度までお金を払えるか」を決めておけば、どのサービスがピッタリか、自然に決まってくるかと思います。また、今回紹介する3サービスはAndroid/iOSいずれの端末からでも利用できます。

Google フォト

https://photos.google.com/
無料プラン容量:最大15GB、ただし圧縮保存時は枚数無制限
有料プランの最低価格:月額250円/100GB

 2015年5月にサービスを開始。GmailなどのGoogleサービスを使っていれば、そのアカウントを使ってすぐ利用を開始できます。敷居はかなり低いと言えるでしょう。

「Google フォト」。端末に標準でインストールされているケースも多いです

 今回紹介する3サービスの中では、無料ユーザー向けの仕様・機能が最も最も充実しています。まず、容量が15GB。これはGmaiiやGoogle ドライブと共用するものではありますが、それでも破格の量です。

 これに加え、「1600万画素」以下の写真であればアップロード容量にカウントしないというモードがあり、こちらを利用すれば写真保存枚数が無制限になります。これは他社サービスと比べても非常に大きなアドバンテージです。

画像を被写体別に整理してくれる機能も完備
撮った写真をスライドショー表示したり、編集することもアプリで直接できます

 アプリ内でもさまざまな機能が用意されています。絵画調のエフェクトを自動的にかけて提示してくれたり、GPS情報を元に旅行先の写真だけをひとまとめにしたり……。撮った写真をどのように活用するか、色々なアイデアも見つかることでしょう。

 また、スマホに限らず、一般的なデジカメで撮った写真もGoogle フォトに保存できるよう、専用のアップローダーがWindowsとMac向けに公開されています。

OneDrive

https://onedrive.live.com/about/ja-jp/
無料プラン容量:5GB
有料プランの最低価格:月額170円/50GB(Office 365付きのプランは1TBで月額1274円)

 Windowsユーザーにはおなじみのクラウドストレージサービス。無料ウェブメール「Outlook.com」などで使うMicrosoftアカウントでログインできます。

「OneDrive」

 OneDriveでは、文書ファイルを筆頭に、さまざまなデータを保存できますが、写真の保存先としてもなかなか便利。スマホだけでなく、デジカメで撮影した画像をWindows端末に一旦保存し、そこからOneDriveへアップロードするのも非常にカンタンです。

 また、アップロード画像は分析され、「タグ」を自動で付けてくれます。「#グルメ」「#スタジアム」「#people」といった具合で、そのタグをクリックすると該当する写真だけが絞り込まれます。時系列とはまた違った切り口で写真を眺められます。これはなかなか新鮮。

画像の詳細情報を確認しているところ
タグによる自動整理機能も充実しています

 惜しむらくは、無料プランの容量が5GBと少ないこと。スマホ画像を5~6年分まるごと保存したいとなると、無理があるかもしれません。お金はかかるものの、Office 365のサブスクリプションプランを仕事の都合で契約している方であれば、1TBへと一気に増強されるのですが……。

Amazon プライム・フォト

https://www.amazon.co.jp/clouddrive/prime
無料プラン容量:無料プランなし
有料プランの最低価格:年額3900円(Amazonプライムの年間料金、追加料金なし)

 今回紹介するサービスの中では唯一、無料プランが用意されていません。ただ、国内で圧倒的知名度を誇るAmazonの有料プライム会員制度に自動付帯し、かつAndroid/iOSから利用できるなど、比較的利用しやすいと考え、今回は取り上げています。

「Amazon プライム・フォト」
設定画面の例

 最大の特徴は、なんといっても容量制限がないこと。Google フォトのような圧縮のデメリットもなし。デジカメの大容量RAWファイルについては一部非対応ですが、スマホで撮影した通常の写真であれば、何の問題もありません。

 スマホからアップロードした画像は、その他のタブレットやPCから閲覧可能。「This Day」というページからは、過去に保存しておいた画像の中から同じ日・同じ週の画像だけをピックアップしてくれるというもの。長年に渡って使うほど、楽しくなっていく機能です。

 なお、将来的にAmazonプライムを解約したら、アップロード済みの画像はどうなるか? この点はあまり明言されていませんが、ヘルプ記事によれば「保存したコンテンツはプラン終了から一定期間後に削除される可能性があります」とのこと。

古い写真を遡って見られる喜びといったら! 将来の価格変更も念頭に

 3サービスの中からあえてオススメを1つ挙げるならば、やっぱりGoogle フォトではないでしょうか。無料で使える範囲での機能・容量が群を抜いていますし、アプリ自体も使いやすいです。「ホントに便利なの?」という方も一度お試しを。ただ、アップロードした写真を削除するのは意外と大変(写真をワンタッチで全選択できない)なので、慎重な方は手動かつ最小枚数だけアップロードして、挙動をチェックしてみるといいでしょう。

 さて、前半で写真クラウドによって「写真の楽しみ方が多角的になる」とお話ししました。実際使ってみた方ならお分かりかと思いますが、写真の楽しみ方の「切り口」を、実に分かりやすく提示してくれるんですよね。

 例えば「アルバム」としての切り口。それこそ紙焼き写真の時代から、子どもの誕生日に毎年写真を撮り、成長につれてアルバムに並べる楽しみはあったわけです。ただ、そのためにはアルバムを買わないといけないし、何より写真を整理しなければなりません。言うまでもなく、これは億劫な作業です。

 写真クラウドでは、これらの作業をほぼ自動でやってくれます。子どもの誕生日という特別な日に限ることなく、たまたまアプリを開いた日の1年前・5年前に何をやっていたか、本当にカンタンに見られます。最近ではこれに加え、画像解析技術をもとに被写体別に仕分けしたり、旅行先・出張先などのくくりでも写真を整理できます。

筆者の写真クラウドに保存してあった写真。2010年11月に撮った、建設途中の東京スカイツリー。何の気なしにとった写真をすぐ取り出せる――こういった“常識”が浸透していくと、写真の意味合いもドンドン変わっていくでしょうねぇ……

 また、せっかく撮った写真も、スマホの機種変更のたびに散逸させてはもったいない。スマホやタブレットを何台も使いこなすなら、クラウドへ集約させるメリットは大きくなります。撮った写真を長く持ち続けてこそ見えてくる楽しみは多く、筆者などは喫茶店でアイスコーヒーをすすりながら「あぁ、ちょうど1年前はあの映画館に行ったんだっけウフフ」と、悦に入ることしばしばです。

 バックアップの観点からも便利です。個人で撮影した写真は何かで代替できるわけもなく、端末をなくしたり故障で消失したらそれっきり。思い出を大切に保存するため、写真クラウドを頼るのもアリかと。

 そんな具合で、写真クラウドは長年使ってこそ、意味合いが増すもの。となると、将来的には値上げ・仕様変更でサービスが使いにくくなる可能性も十分あります。複数の写真クラウドを組み合わせたり、面倒でも自分のPCにある程度バックアップを保存しておけば、なお安心でしょう。