特集

ネットワーク機器メーカー・プロバイダに聞く「今年の意気込み」と「去年の売れ筋」【2023年版】

今年の注目は?

 新年明けましておめでとうございます。

 新年といえば去年の振り返りと今年の展望。「メーカーから見た去年の売れ筋ネットワーク機器」や「今年の意気込み」が気になる人も多いはず。

 そこで今回、ネットワーク機器を取り扱うメーカーやインターネットサービスプロバイダに、2022年にヒットした製品やサービス、「2023年の意気込み」をお伺いし、お寄せいただいたコメントをそのまま掲載します。

 コメントをいただいたのは、ASUS、QNAP、Synology、TP-Link、ニフティ、ネットギア、バッファローの7社(ブランド名50音順)。

 各社が力を入れている、そして今後入れていくポイントや今年の意気込みなど、なかなか興味深いコメントもあるので、気になるメーカーがある方はそこを、全部読みたい方は頭からどうぞ。

ASUS JAPAN株式会社 オープンプラットフォーム部 広報氏
●2022年にヒットした製品を教えてください

本年最も売れた製品ですとRT-AX3000 V2です。こちらの製品は、ゲーミングルーターほどではないものの、アダプティブQoSや、AiMesh、AiProtectionといった多数の機能が搭載されており、スマートフォンのアプリで管理できる手軽さと両立しているところがポイントになっています。

価格帯はミドルレンジですが、登載されている機能が多岐にわたるため、様々な用途に合わせてお選びいただいた製品となりました。

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

今年はROGブランドのWi-Fi 6対応ゲーミングルーターを2製品発売しました。ROG Rapture GT-AX6000ROG Rapture GT-AX11000 Proです。ゲーミングルーターとしての需要も高いですが、まだまだ在宅勤務が続いている方もいますので、そうした方にも「より良いWi-Fi環境を実現する製品」としてROGブランドの製品を活用いただきたいと考えております。

●2023年の意気込みを教えて下さい

2023年も早々に新製品の発売を控えております。ルーターの知識を皆様にもっと深めていただけるような様々な施策も準備しております。ぜひこの機会に過去のASUSのWi-Fiルーターについての記事も読んでいただければと思います。

 また、「なぜASUSのルーターを選んでいただくといいのか」といった点ももっといろんな方に知っていただければと思います。

●読者に一言どうぞ

ASUSは様々な製品を取り扱っていますが、特にルーターはほかの製品を動かすうえでも必須な製品でもあります。ぜひ弊社のWi-Fiルーター専門サイトもご覧ください。

QNAP株式会社 プロダクトマーケティングマネージャー 原 幸人氏
●2022年にヒットした製品を教えてください

2022年は世界情勢が不安定であったり、円安が大きく進行したりと難しい材料が多かったですが、その中でも多く引き合いをいただいている製品が、TS-262をはじめとするTS-62シリーズ、TS-464をはじめとするTS-64シリーズです。どちらも売れ筋モデルであるTS-51Dシリーズ、TS-53Dシリーズの後継品ということもあり、出荷開始とともに多くのお引き合いをいただきました。

特にTS-464では、クアッドコアCPU、TVで写真を楽しめるHDMI出力機能、リモートでも動画を楽しめるトランスコード機能と3拍子揃っており、ご家庭用としてご購入いただくことも多いですし、10GbEカードを搭載することで、最大1,600MB/sの性能があることから中小企業様にも多数ご導入いただいております。

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

弊社はNAS製品だけでなく、ネットワークスイッチも販売させていただいているのですが、Interop 2022では25GbE L2マネジメントスイッチ QSW-M5216-1Tがネットワークインフラ(SMB)部門で準グランプリをいただきました。2.5GbEスイッチから、10GbE RJ45/SFP+コンボポート搭載スイッチなど幅広く扱っております。ネットワークスイッチについてもQNAP製品をご検討いただけますと幸いです。

また、SD-WANルーター QHoraシリーズは12月に有線のみサポートするQHora-321/322をリリースいたしました。初回出荷時よりv6プラス、DS-Liteに対応、より日本のユーザーの皆様に使っていただきやすくなっております。こちらにもご注目いただけますと幸いです。

●2023年の意気込みを教えて下さい

多くのお客様にご導入、ご使用いただくとともに、導入事例でのご案内にご賛同いただけるお客様も増えてまいりました。より多くのお客様により快適な業務環境をご導入いただくべく、導入事例のご紹介や、日本法人で確認したソリューションのご紹介を積極的に行ってまいります。

安全を守り、工場内作業記録としても使える監視カメラソリューション、クラウドスマートでご活用いただくためのクラウド用オンプレキャッシュ、AFAを使った8K映像編集ソリューション等ご紹介してまいります。

ぜひ楽しみにしていてください。

●読者に一言どうぞ

いつもQNAP製品をご愛顧いただきましてありがとうございます。

弊社はQNAP(Quality Network Appliance Provider)の名前の通り、高速、高信頼なストレージ/ネットワーク製品をご提供するため、日々開発を続けております。

ここ数年は感染対策の関係上、皆様と直接お話しする機会が持てておりませんでしたが、ウェブ上で公開されているレビューや記事、動画は目を通しています。弊社公式Twitterやnoteでご感想やご質問を受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問合わせください。

Synology初の監視用IPカメラ「BC500」。今年発売予定とのこと。

Synology Japan株式会社 マーケティング部 テクニカルマーケティングコンサルタント 内山裕子氏
●2022年にヒットした製品を教えてください

ハイブリットワークがニューノーマルになりつつある現在、自宅やオフィスでの高速で安全なネットワークへの需要が高まりました。この需要にこたえるべく、Synology初のWi-Fi 6ルーター「RT6600ax」を発売し、大変ご好評いただきました。

Synology Router Managerを搭載し、VPN、ネットワークセグメンテーション、WebフィルタリングやIPS・IDS機能など、エンタープライズグレードのセキュリティ機能を搭載しています。こちらのレビュー記事で詳細をぜひご確認ください。また、同じく昨年発売されたWi-Fi 6ルーター「WRX560」は内蔵アンテナの省スペースなデザインで、他のSynologyルーターと組み合わせてメッシュWi-Fiに最適です。

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

Synologyの監視ソリューションSurveillance StationをPCレスで導入できるHDMI・USBポート搭載のネットワークビデオレコーダー「DVA1622」です。2ベイタイプのコンパクトなデザインでスペースが限られた場所でも簡単に導入できます。

さらに、Surveillance Stationは最新バージョンの9.0が昨年リリースされました。UIは刷新されより直感的になり、セキュリティは強化され、今まで以上に使いやすく安全になりました。また、「DVA1622」はAIによる映像解析をサポートし、顔認識、侵入検知、人物や車両の検出/計測、混雑の警告などに加え、ナンバープレート認識も新たにサポートされるようになりました。

●2023年の意気込みを教えて下さい

ビジネスユーザー向け機能が強化されます。WORMストレージとボリューム単位の暗号化のサポートにより、企業がよりセキュアでコンプライアンスに準拠したデータ管理を実施できるようになります。さらに待望のSMBマルチチャネルもサポートされます。

また、Synology初の監視用IPカメラのリリースで、よりシームレスで安全な監視ソリューションを実現します。また、ホームユーザーの方は、デスクトップ型NASモデルの23年シリーズが多数リリース予定ですので、ぜひご期待ください!

●読者に一言どうぞ

新年明けましておめでとうございます!昨年も多くの読者の皆様とユーザーの皆様に応援いただき、誠にありがとうございました。

今年もデジタル資産の管理や保護からネットワーク環境の構築、物理的資産の監視まで、包括的なソリューションを誰にとっても使いやすいインターフェースで提供してまいります。ご家庭でもオフィスでもSynologyならITソリューションを簡単に導入できます。今年もSNSなどで新製品やキャンペーン情報など積極的に発信していきますのでぜひフォローしてください!今年もよろしくお願い申し上げます。

Archer AX80

ティーピーリンクジャパン株式会社 マーケティング部 小野氏
●2022年にヒットした製品を教えてください

メッシュWi-Fi 6ルーター「Deco X50」と「Tapoカメラ」が人気でした。

「Deco X50」は、台数を追加するだけでWi-Fiのカバー範囲を広げられ、“お家の好きな場所”でテレワークやオンライン授業を実現。階を跨いでも接続が途切れず、家じゅうでシームレスに楽しめます。快適なネット環境を叶えるメッシュWi-Fiは、スマートホーム化にもおすすめです。DecoとTapoを組み合わせる方も多く、なかでもTapoカメラシリーズは外出先でも、アプリからお家の様子を確認できるので、ペットやお子様の見守り用としてご愛用いただいています。3千円台からと、手軽に導入できるのもご好評いただいている理由の1つです。

TP-Linkは引き続き快適なWi-Fi環境とスマートライフをサポートいたします!

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

日本特別モデルとして2022年12月に発売したばかりのWi-Fiルーター「Archer AX80」です。

TP-Linkのルーターといえば「外部アンテナを搭載した平置き」を思い浮かべる方も多いと思いますが、「Archer AX80」は弊社初のアンテナ内蔵の縦置き型。“Archerシリーズ”では長年、強力かつ遠くまで電波を飛ばすのに有利な外付けアンテナを採用し、世界中のユーザーからご好評いただいています。一方で、日本のお客様からは見た目や設置にスマートな縦置き&アンテナ内蔵のご要望も多くいただいており、実現を目指して本社プロダクトチームと話し合いを重ねてきました。

そして今回完成したのが、縦置き+アンテナ内蔵+IPv6対応の“日本特別モデル”。2023年はラインナップも拡充する予定です!

●2023年の意気込みを教えて下さい

2023年は最新規格であるWi-Fi 6E、さらにはWi-Fi 7製品を展開予定です。TP-Linkは、昨年11月のWi-Fi 7製品発表会で優美なデザインとパワーを備える「Archer BE900」、10Gポート搭載メッシュ「Deco BE95」、法人AP「EAP780」等を公開しており、1月5日から始まるCES 2023でも、Wi-Fi 7を含む最新テクノロジーを携えた製品を展示します。

本年もユーザーニーズに応える最新スペックを備えた製品を積極的に展開していきますので、ぜひご期待ください。

●読者に一言どうぞ

2023年も引き続き、みなさまの快適なWi-Fi接続&スマートライフをサポートできるよう、最新のテクノロジーを積極的に取り入れていくとともに、ユーザーニーズに合った製品展開をしていければと思っております!ご家庭向け、法人向け製品ともにラインナップを拡充し、TP-Linkのテーマでもある「最高のコストパフォーマンス」でお届けしていきますので、ぜひ弊社製品をお試しください!

ニフティ株式会社 経営管理統括部 事業推進グループ グループ長 村松利哉氏

●2022年にヒットした製品を教えてください

当社が運営するポイントサービス「ニフティポイントクラブ」です。2022年は値上げラッシュにより家計に大きな影響を与えた1年になりました。このような経済環境の中、世の中では「ポイ活」が注目され、当社のポイントも多くのお客様にご利用いただくことができました。

ニフティポイントの特徴は楽天市場やヤフーショッピングなど普段ご利用されているショップやサービスを、ニフティポイントクラブから利用するだけで、ニフティポイントと普段使いのショップの両方のポイントが貯まり、ポイントを2重取りできることです。

さらに当社の接続会員なら、ポイントの1.5倍分の金額を毎月のインターネット利用料金に充当でき、利用料金を節約できます。このようにポイントを賢く活用するお客様も増え、節約を志向するお客様のお役に立てることができました。

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

昨今、リモートワークの普及などで安定した通信環境が改めて注目されています。おかげさまで、当社の光接続サービスも利用者からご評価いただき、利用者数を伸ばしています。

中でも「@nifty光」と「@nifty光WebLiko」はお客様に大変好評です。

「@nifty光」は高速通信IPv6接続に対応し、高速で安定したネット環境をご利用いただけるだけでなく、スマホ割引や家電割引優待、電話サポートなど、充実した特典とお客様サポートをご利用できます。一方、2022年に新発売した「@nifty光WebLiko」は「@nifty光」同様の回線品質ながら、会員特典やお客様サポートを必要な部分に絞り、その分、割安な料金でご利用いただけます。いずれもお客様のご志向に合わせてお選びいただけるラインナップとなっております。

●2023年の意気込みを教えて下さい

2023年も「with コロナ」への対応や物価上昇など、お客様の生活環境はめまぐるしく変化することが予想されます。当社は、これまでもお客様やお客様を取り巻く環境変化に真摯に向き合って参りました。2023年もお客様に寄り添い、お客様の日々の生活を支援する価値あるサービスを提案し、お客様に感動していただけるサービス体験を提供して参ります。

●読者に一言どうぞ

当社は昨年、サービス開始35周年を迎えることができました。これはひとえに今日までご利用いただいているお客様のおかげであり、社員一同、心より感謝しております。

4年後の2027年に迎える40周年も、またこの場で皆さまに感謝の言葉を申し上げることができるよう、これからも「お客様に最も近いインターネットサービスプロバイダー」を目指し、お客様に喜ばれるサービスを提供し続けたいと考えております。

ネットギアジャパン合同会社 マーケティング 添田絢也氏
●2022年にヒットした製品を教えてください

広範囲をカバーするメッシュWi-Fiシステムとして定評のある「Orbi」シリーズが、人気を博しています。

導入しやすい2台セットはもちろんですが、3台セット、4台セットなどの複数台での需要も年々増加している印象です。

Wi-Fiはどうしても速度が注目されがちなのですが、大事なのは家の中でどれだけの範囲をカバーできているかだと思います。いくら高速でも、リビングを離れて寝室に行ったら全然速度が出ないとなると非常にストレスですよね? 実際に市場調査では、無線LANルーター購入者の34%が電波の到達範囲を重視しているとの結果が出ています。

こういった背景が、家中に電波を届けることができる「Orbi」シリーズのヒットにつながったと感じています。

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

同じ「Orbi」シリーズからの紹介になり恐縮ですが、日本初のWi-Fi 6E対応クアッドバンドメッシュWi-Fiシステム「Orbi 9」です。ようやく日本で発売する体制が整い、2022年11月に発表することができました。

最大の特徴は専用のバックホール機能で、ルーターとサテライト間が専用帯域で通信することで家の隅々まで安定したWi-Fi環境を実現します。

本体内部にはアメリカのサンノゼ本社で独自に設計した高性能アンテナを12本搭載しており、1台あたり約279㎡の広範囲をカバーします。10ギガに対応したWANポートにより、VRやメタバース、8K映像など次世代のコンテンツもストレスなく楽しんでいただけます。

●2023年の意気込みを教えて下さい

2023年からネットギアは新しく生まれ変わります。

創設から27年目を迎えますが、ネットワークひと筋で積み上げてきた技術やノウハウは誰にも真似できないと自負しています。

製品のクオリティやサポートなど、ネットギアにしか提供できない価値を追求し続けるのが目標です。

Wi-Fi 6Eの利用が2022年9月に解禁されたことは記憶に新しいですが、次世代のWi-Fi 7の解禁も迫っています。最新の技術を搭載した製品をいち早く皆様にお届けできるよう尽力してまいりますので、ぜひご期待ください。

●読者に一言どうぞ

「インターネットで全世界の人々をつなぐ」というのがネットギア創設時のミッションでした。その光景はいまや当たり前となっています。

Wi-Fiは生活の中で欠かせないものです。快適な睡眠のために寝具を揃えたり、日々のストレスを和らげるために家具にこだわったりするように、Wi-Fiシステムを選ぶ時代になっています。単につながるだけではない体験を私たちはお約束します。

そしてネットギアを選んでよかった、と思ってもらえればこんな嬉しいことはありません。

株式会社バッファロー 販売企画部 部長 志村 太郎氏
●2022年にヒットした製品を教えてください

Wi-Fiブランド「AirStation」の累計出荷台数が6,000万台を突破しました。9月には最新規格「Wi-Fi 6E」対応モデル「WNR-5400XE6シリーズ」を直後に発売、ご好評いただいております。

「Wi-Fi 6E」は、6GHz帯を利用することで、より快適なWi-Fi環境構築への期待が高まります。Wi-Fiルーターは、買い替え時の再設定が面倒で、つい買い替えを敬遠したくなる方が多いと思いますが、弊社アプリが備える「スマート引っ越し」があれば、アプリ経由してプロバイダー情報を含む設定情報を引き継ぐことができ、買い替え前のWi-Fi環境を簡単に再現可能です。最新の端末には、新しい規格のWi-Fiルーターを使ったほうが、快適に活用することができます。是非、「スマート引っ越し」を体験してみてください!

●そのほかに注目して欲しい製品はありますか?

弊社は家庭用製品のイメージが強いのですが、「ネットワークでDXを支援」として、「人手・IT人材不足」「BCP対策」「テレワークのインフラ構築」など、法人様向け商品・サービスを強化中です。

リモート管理サービス「キキNavi」は、「IT人材不足」への提案として、現地に赴かずともwebから機器の監視・簡易操作可能なサービスで、登録社数は、2022年3月時点で約5,200社になりました。「BCP対策」には「キキNaviクラウドバックアップ」や「キキNaviゼロタッチ」など、サービス拡大しています。「テレワークのインフラ構築」に、セキュリティーレベルが高く、多台数同時接続でも安定通信が可能なVPNルーター「VR-Uシリーズ」の取扱いを開始し、企業のDX化への支援体制を強化、お困りごとへ提案しています。

●2023年の意気込みを教えて下さい

バッファローは「IT時代におけるお客様の利便性向上」を使命とし、使いやすさと快適さを感じていただける商品およびサービスの提供を行っています。誰もが簡単にそして安心してインターネットに接続でき、より安全で快適にデジタルデータを保存・再生・利用できる喜びを提供していきたいと考えています。不透明な状況が続いていますが、コーポレート・ステートメントである「つなぐ技術で、あなたに喜びを」を掲げ、質の高い商品・サービスを提供していくとともに、ネットワークを提供する会社として業界を牽引してまいる所存です。

●読者に一言どうぞ

今後とも、ユーザーの皆様に寄り添った使いやすい商品展開を心掛け、強化してまいりたいと考えております。2023年もバッファローをどうぞよろしくお願い申し上げます。