どこからでもマイPCに手が届く! 無料リモートアクセス「LogMeIn」(前編)
入門編:5分でできる「LogMeIn」のセットアップ


 無料で使えるうえ、面倒な設定は一切不要。すぐに使い始めることができる、BIGLOBEのリモートアクセスサービス「LogMeIn」。会社や自宅のPCにセットアップしておけば、外出先のモバイルノートやネットカフェのPC、さらには専用アプリを使ったiPhoneなど、どこからでも自分のPCにリモートアクセスできる。Pro2へのアップデートでより使いやすく、便利になった「LogMeIn」を実際に使ってみた。

リモートアクセスがより身近に

 PCで接続の受付を有効して、ファイアウォールでの接続を許可、ルーターのポートをフォワードして、ダイナミックDNSでインターネットからアクセスできるようにする……。かつてはそんな手間が必要だったリモートアクセス環境を、ほんの数ステップ、5分ほどもあれば誰でも気軽に使えるようになるのが、BIGLOBEから提供されている「LogMeIn」だ。

わずか3ステップ、合計5分もあれば使えるようになる手軽なリモートアクセスサービス「LogMeIn」

 インターネット経由で自宅や会社のPCにリモートアクセスし、デスクトップ画面を遠隔操作できるリモートアクセスサービスだが、はじめてリモートアクセスを利用する人でも、手軽に使えるように工夫されている。

 具体的なセットアップ方法については後述するが、流れとしてはLogMeInのWebサイトからの申し込み、ソフトウェアのダウンロードとインストール、他のPCからの接続と3つのステップの作業をこなすだけで、すぐにリモートアクセスを試すことができる。

 同様のリモートアクセスサービスは、これまでにもいくつか存在したが、料金が高かったり、設定に手間がかかったりと、実用上の問題があった。しかし、LogMeInの場合、ファイル転送やリモート印刷などの高度な機能を利用できる有料サービス(LogMeIn Pro2)も存在するが、基本機能は無料で提供されているうえ、設定も非常にカンタンだ。

 最近ではアプリケーションもデータもインターネット上で利用するクラウドサービスが注目を集めつつあるが、メールソフトで受信したメール、業務用アプリケーション、ハードディスクに保存されているデータなど、PCを直接使わないとできない作業は依然として多い。

 このような資産をいつでも、どこからでも使えることを考えると、LogMeInによるリモートアクセス環境を整えるメリットは大きいと言えるだろう。

無償/有償サービスの違いをチェック

 実際の使い方を紹介する前に、LogMeInのサービス内容をチェックしておこう。

 LogMeInには「LogMeIn Free」と「LogMeIn Pro2」という2つのサービスが提供されている。前者は無料版で、後者は月額995円、または年額5700円(3月31日までキャンペーンで月額840円、年額5250円で利用可能)の有料サービスだ。

 違いは利用できる機能で、無料のLogMeIn Freeはデスクトップ画面を遠隔操作できるリモート制御機能に特化したサービスとなっているが、有償版のLogMe In Pro2では、さらに以下の機能が利用できるようになっている。


LogMeIn FreeLogMeIn Pro2
リモート制御
WakeOnLan(※1)
セキュリティ機能(※2)
動画による画面記録
チャット
ファイル転送×
ファイル共有×
リモート印刷×
デスクトップ共有×
リモートサウンド×
管理機能(※3)×
※1:LogMeInがインストールされた同一ネットワーク上にPCが複数台存在し、そのうちの1台が起動している場合に利用可能な機能
※2:IPアドレスフィルタリング/DoS攻撃ブロッカー/認証攻撃ブロッカー/ユーザーアクセス制限/256bitAES通信データ暗号化/SSL・TLS侵入検知/イベントログ取得
※3:ユーザーマネージャやレジストリエディタ、コマンドプロンプトなどの管理機能をWebブラウザから実行可能

 ファイル転送によって大きなファイルのやり取りができたり、リモート印刷によって自宅のPCに保存されている文書を手元のプリンタに印刷できたり、さらにはファイル共有やデスクトップ共有で他の人との共同作業などもできるので、ビジネスで利用するのであればLogMeIn Pro2の利用がおすすめだ。

 とは言え、無料のトライアルに申し込むと、30日間、もしくは120分間、LogMeIn Pro2としての利用可能で、期間終了後、自動的にLogMeIn Freeで利用できるようになる。とりあえず申し込んで試してみてから、LogMeIn Pro2の機能が必要かどうかを判断すると良いだろう。

 なお、本サービスは、海外のLogMeInによって提供されているサービスとなるが、LogMeInで直接サービスに加入したときの料金は月額1690円、年額9640円と高めに設定されている。国内でサービスを取り扱っているのはBIGLOBEのみとなっているが、年額では半額近くにまでディスカウントされるので、BIGLOBEのサイトから申し込んだ方が良いだろう。

 もちろん、BIGLOBE経由で申し込めば、Free版も含めて日本語のサポートを受けることができるので安心だ。

3ステップで導入が完了

 では、実際の導入方法を見ていこう。基本的な流れは前述した通り、申し込み、ダウンロードとインストール、外出先からの接続という3つのステップだ。

【ステップ1:申し込み】
 まずは申し込みだが、これは必要最低限の情報のみでかまわないので手間がかからない。BIGLOBEのLogMeInのサイト(http://logmein.biglobe.ne.jp)にアクセスし、トライアル版の申し込みを開始し、メールアドレスとパスワードを登録する。

 インターネット上のサービスの中には、製品やサービスを利用するために氏名や住所、電話番号、会社の規模、業種などなど、実にさまざまな情報を入力しなければならない場合があるが、LogMeInの場合はアカウントとして利用するメールアドレスとパスワードの登録のみでかまわない。

 また、BIGLOBEのサービスとなってはいるが、BIGLOBEの会員以外でも利用することができる。ちょっと試してみたいという場合でも、これなら手軽に始めることができるだろう。

 登録が完了したら、入力したメールアドレス宛にアカウントを認証するためのメールが届く。メールに記載されているURLをクリックしてアカウントを有効化すれば登録は完了だ。

(1)申し込みはBIGLOBEのLogMeInのページ<http://logmein.biglobe.ne.jpから行える。まずは無料のトライアル版に登録してLogMeIn Pro2のフル機能を試してみよう
(2)申し込みに必要なのはアカウントとして利用するメールアドレスとパスワードのみ。余計な情報を入力する必要がないので手軽に利用できる
(3)申し込みが完了するとメールが送られてくる。URLをクリックしてアカウントをアクティブにしよう

【ステップ2:ダウンロードとインストール】

 続いて、ホストとして利用するPCにソフトウェアをインストールする。自宅や会社のPCなど、接続したいPCにソフトウェアをインストールしよう。

 登録からそのままの流れで作業すると、ブラウザ上にソフトウェアをインストールするためのリンクが表示されるので、これをクリックすれば自動的にダウンロードとインストールが行われる。

 インストールでは、コンピュータ名の設定や電源の管理などいくつかの設定が表示されるが、基本的には標準設定のまま「次へ」をクリックしていくだけで大丈夫だ。

(1)登録が完了したら接続を受け付けるPC(ホスト)を追加する。LogMeInのサイトにログインし、ホストとして構成するためのソフトウェアをダウンロードする
(2)LogMeInソフトウェアのインストール。コンピューター名の登録と電源管理の設定が必要だが、基本的に標準設定のまま進めていくだけでインストールできる
(3)無事にインストールが完了すると、通知領域にソフトウェアが常駐し、メッセージが表示される。このソフトウェアを起動していればリモートアクセスを受け付けることができる

 セットアップ完了後、LogMeInを起動すると、設定画面が表示される。LogMeInは、インストールした初期状態では言語設定が英語になっているが、日本語にも対応している。このため、設定画面が表示されたら、そのまま言語設定を日本語に変更しよう。左の[Options]タブを選択し、[Preferences」をクリックし、Preferences画面の一番下にある[Language:]のプルダウンメニューで日本語を選択するだけでOKだ。言語設定を日本語に変更すると、メニューなどがすべて日本語表示となる。

(1)LogMeInのインストールが完了すると、設定画面が表示される。インストールした初期状態では言語設定が英語となっているので、ここで日本語に変更しよう
(2)左のタブで[Options]をクリックして、[Preferences]ボタンを押す
(3)言語設定は[Preferences]設定画面の一番下にあるので、いちばん下までスクロールして、[Language:]のプルダウンメニューで[日本語]を選択する
(4)メニューなどが日本語化される

【ステップ3:接続】

 LogMeInでは、設定次第でさまざまな機能を利用することができるのだが、とりあえずこれらは置いておいて、つながることを確認しよう。

 外出先に限らず、同一LAN上のPCでかまわないのでブラウザを起動して、LogMeInのサイトにアクセス<http://logmein.biglobe.ne.jp>。申し込み時に登録したメールアドレスとパスワードを入力してログインすると、ソフトウェアをインストールしたホストPCが画面上に表示される。

 ここで「リモート制御」と記載されたリンクをクリックすると、ホストの画面をブラウザ上に表示するためのActive Xコントロールのインストール画面が表示されるのでインストールしておこう。

 インストールが完了すれば、いよいよPCへの接続となる。普段、Windowsにログオンするときに利用しているユーザー名とパスワードを入力してログオンすれば、ブラウザ内にホストPCのデスクトップが表示される。背景が真っ黒に変更されるなどリモートアクセス用の設定に表示が変更されるが、これでいつも通り、PCを操作することができるというわけだ。

 ファイルを開いたり、メールソフトでメールを確認したりと、あたかもPCが目の前にあるかのように利用できるだろう。

(1)LogMeInのサイトにログインすると、ホストとして設定したPCが表示される。「リモート制御」をクリックしてリモートアクセスを開始
(2)LogMeInではブラウザのみでリモートアクセスが可能。ただし、ActiveXコントロールを利用するので、初回のみインストールが必要
(3)接続するにはホスト側で普段利用しているWindowsのアカウントが必要。ユーザー名とパスワードを入力してログオンする
(4)無事に接続完了。ホスト側のファイルを開いたり、アプリケーションを利用することができる

気軽にインストールできる

 このように、LogMeInは、本来複雑な設定が必要なはずのリモートアクセス環境を非常にカンタンに利用することができるサービスとなっている。申し込んで、インストールするだけ、ルーターなどの設定は一切不要ですぐにPCを遠隔操作することができる。

 自宅のPCでも手軽に利用することができるが、ネットワーク環境やシステムの設定変更がほとんど必要ないため企業での導入も手軽にできるだろう。

 とは言え、実際に利用するとなると、外出先からどのような回線を使ってどのように接続すれば良いのか? 会社やネットカフェなどで使う場合の注意点はあるのか? スマートフォンなどPC以外の端末でアクセスできるのか? といったさまざまな疑問があることだろう。後編となる次回は、このあたりについてさらに掘り下げる予定だ。

(後編は次週、3月30日掲載です)


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(清水 理史)

2010/3/23 11:00