清水理史の「イニシャルB」【特別編】

「あのFURUNO」のクオリティを小規模オフィスや家庭でも! 現場で鍛えた同時接続のノウハウとコダワリが詰まった小型・低価格Wi-Fi 7アクセスポイント「SW730」
- 提供:
- 株式会社フルノシステムズ
2026年5月18日 06:00
あのFURUNOが、いよいよ小規模環境(小規模なオフィスや店舗、SOHO)向けのWi-Fi市場に本格参入する。2026年5月、フルノシステムズはECサイト専売モデルとして、エントリークラスの法人向けWi-Fiアクセスポイント「SW730」の販売を開始した。Amazon.co.jpで販売されており、家庭でも法人向けアクセスポイントを使いたいというユーザーのニーズにも当てはまる。
「『あの』ってどの?」と思う人もいるかもしれないが、古くから実績のある知る人ぞ知るメーカーだ。トライバンド、2.5Gbps対応でリーズナブルな価格、ライセンス料不要で、スマホからも簡単に設定可能で、しかも過剰と思えるほどのコダワリを詰め込んだ新製品を実際に使ってみた。
あなたのイメージはどのFURUNO?
世界初の実用魚群探知機。船の上でクルクル回る船舶レーダー。物流現場でお馴染みのハンディターミナル。教室の壁でみかけたACERA(アセラ)のアクセスポイント――。
「FURUNO」と聞いて、イメージするものは、もしかすると世代や環境によって違うかもしれない。今回、小規模環境向けのWi-FiアクセスポイントをAmazon.co.jpなどで販売開始したフルノシステムズは、「海」で有名な古野電気が陸上システムへと業務を拡大する際に設立されたグループ企業だ。
当初は物流現場向けのハンディターミナルを開発してきたが、近年はWi-Fiアクセスポイントで存在感を高めており、文教市場で高く評価されている。
現状、同社の主力製品となっているWi-Fiアクセスポイントは、「ACERA」シリーズという名称で、主に販売店(システムインテグレーターなど)経由で取り扱われているため、コンシューマーユーザーが直接触れる機会はなかった。
しかし、今回、低価格かつ高品質な「SW730」というエントリーモデルをECサイト専売モデルとしてリリースしたことで、業界をざわつかせている。
低価格な法人向けに対する大きな期待
現状、エントリークラスの法人向けWi-Fi市場は、各メーカーが開拓に注力している新たな市場だ。
中小企業、さらに小規模なオフィス、店舗、事務所、SOHOといった現場は、予算が限られるうえに、専任のIT担当者が不在で、ネットワーク環境の整備が遅れているという現状がある。
その一方で、クラウドサービスの普及やビデオ会議の一般化、OSやアプリのオンラインアップデートと、トラフィックは増える一方となる。PC、スマホ、デジタル家電、センサーと、Wi-Fiでつながる機器があふれかえる状況で、ネットワークの不調に悩まされているケースも少なくない。
その結果、ニーズが高まってきたのが、安定性や信頼性を重視して開発された法人向けのWi-Fiアクセスポイントだ。中でも特に注目されているのが「同時接続」に強い製品だ。複数台の機器が単に同時につながるだけでなく、つながった上で安定してデータをやり取りできることは、ビジネスシーンでは非常に重要だ。
昨今は、家庭でも、あふれかえるWi-Fi端末の同時接続時の安定性へのニーズが高いが、こうしたニーズに応える小規模向けの低価格な法人向けWi-Fiアクセスポイントで、しかもネットで気軽に買える製品に人気が集中しつつあるわけだ。
今回、フルノシステムズがリリースした「SW730」も、こうした市場の声に答える形で登場した製品だが、単なる低価格製品ではなく、冒頭で触れた「FURUNO」ならではのコダワリが詰まった製品となっているのが特徴だ。
小型、シンプル、ホワイト/ブラックをラインアップ
それでは実機を見ていこう。先述したように、フルノシステムズは無線機器メーカーとしては老舗と言える。そのため、もっとクラシックなものを予想していたが、実際には非常にモダンかつ合理的な設計がなされている。
まず本体サイズがコンパクトだ。法人向けWi-Fiアクセスポイントは、エントリーモデルだからといってサイズがコンパクトであるとは限らないのだが、本製品は190×190×45mm(ゴム足含まず)とコンパクトな設計になっており、形状もよくある円形ではなく、角を丸めたスクエア形状となっている。
個人的な印象もあるが、大型の円形アクセスポイントは、「ザ・法人向け」というイメージがあり、現代的なオフィスやカフェなどでは異質感がある。ところが、本製品はそもそもサイズが小さく、スクエアな形状で違和感が少ない。
しかも、この製品には法人向けとしては非常に珍しくカラーバリエーションが存在し、ホワイトだけでなく、ブラック(しかも艶消し!)がラインアップする。このブラックは、前述した現代的なオフィスやカフェなどに溶け込むデザインで、非常に好感が持てる。
Wi-Fiアクセスポイントで、しかも法人向けで、カラーバリエーションを用意するのはメーカーとしては非常に負担が大きい。開発のコストもかかるが、何より在庫や流通のコントロールが非常に複雑になる。この英断は高く評価したい。
しかも、デザインが控えめなのもいい。ロゴは側面に「FURUNO SYSTEMS」と小さく記載されるだけで、正面側には何も記載がない。ロゴやマークなどで主張したくなるところを、グッとこらえて無地にしたと思われ、シンプルを求めるユーザー視点の発想と言える。
さらに、もう1つ。この製品のLEDは、透過型となっており、消灯時は正面から見てもLEDの存在はまったく分からない。点灯してもひかえめに光るうえ、アプリからの設定で消灯することもできる。徹底してノイズレスな外観を追求しているセンスの良さに感心させられた。
その一方で、実用性も重視されており、オプションの縦置きスタンドを使うことで、据え置き型としても利用できる。小規模なオフィスや家庭などでは、必ずしも壁や天井に設置することはできないが、その配慮もなされている。
でもって、ここも小さな気配りというか、配慮が行き届いた点なのだが、この縦置きスタンドは、本体を三方向(左右および下向き)に向けて取り付けられる設計になっている。本体はそもそも無地でスクエアなので、縦横を意識しない設計になっているが、背面側のコネクタ、つまりケーブルを取り付ける方向は意識する必要がある。その点、この縦置きスタンドは三方向の取り付けができるので、設置場所に合わせて右側から、左側から、下側からとケーブルを取り出せるようになっている。
同社初のエントリーモデルということで力を入れているのは分かるが、正直、やりすぎと思えるほど、手が込んでいる印象だ。
無線のスペックも実用的
ようやくスペックの話になるが、本製品はWi-Fi 7ことIEEE 802.11beに対応した製品となっている。
無線の性能は、5765Mbps(6GHz)+2882Mbps(5GHz)+688Mbps(2.4GHz)のトライバンド対応で、いずれも2ストリーム構成。有線はアップリンクが2.5Gbpsで、ダウンリンクは1Gbps×4の構成となっている。
| 項目 | 内容 |
| 価格 | 6万5000円前後 |
| CPU | - |
| メモリ | - |
| 無線LANチップ | - |
| 対応規格 | IEEE 802.11be/ax/ac/n/a/g/b |
| バンド数 | 3 |
| 最大速度(2.4GHz) | 688Mbps |
| 最大速度(5GHz) | 2882Mbps |
| 最大速度(6GHz) | 5765Mbps |
| チャネル(2.4GHz) | 1-13ch |
| チャネル(5GHz) | W52/W53/W56 |
| チャネル(6GHz) | 1-93 |
| ストリーム数(2.4GHz) | 2 |
| ストリーム数(5GHz) | 2 |
| ストリーム数(6GHz) | 2 |
| アンテナ | 内蔵 |
| WPA3 | 〇 |
| 有線(LAN) | 1Gbps×4 |
| 有線(WAN) | 2.5Gbps×1(PoE対応) |
| 有線(VLAN) | 〇 |
| USB | 設定用 |
| リモート管理機能 | 〇 |
| 再起動スケジュール | 〇 |
| ファーム自動更新 | 〇 |
| LEDコントロール | 〇 |
| サイズ(mm) | 190×190×45(ゴム足含まず) |
ダウンリンクとして1Gbpsポートを4ポート備えているのも、エントリークラスのアクセスポイントとしては珍しい。通常はアップリンクのみという構成がほとんどだが、本製品なら、有線でPCなどを接続したり、店舗でサイネージやPOSレジなどを接続したりできる。
電力はIEEE 802.3atのPoE+(2.5Gbpsポート)での給電となっているが、当然ACアダプタでの給電も可能で、利用環境に応じてどちらでも利用できる。小規模なオフィスや家庭ならACアダプタでの利用が適しているだろう。
冒頭でも触れた「同時接続」だが、仕様としては128台/バンドとなっており、トライバンドの本製品では384台となる。
が、こうしたスペック上の同時接続台数は、あくまでも参考程度に考えておいたほうがいい。なぜなら、「同時につながること」と「同時に使えること」は違うからだ。実際、多くの法人向けWi-Fiは40~50台前後の同時接続を想定して設置台数を決めたり、設置場所を調整したりする。
フルノシステムズは、こうした現場レベルでの同時「使用」に関して、厳しい要件を自らに課している。筆者も実際に現地を見学させてもらったが、同社には開発や実験用の数々の設備が用意されており、その中に学校の教室を模した環境テストルームも存在する。そこで、実際に40~50台のPCをアクセスポイント(しかもシングルバンド!)に接続し、各端末が動画を同時に視聴するというテストを実施している。
つまり、本製品についていえば、40~50台で同時に動画を視聴しても安定して通信できることが実際に確認されたアクセスポイントということになる。
そもそも、同社は数百台の端末が同時に通信する物流現場向けのソリューションから陸上の無線通信を手掛けてきたが、その過程で、複数台の端末が同時に通信する際に発生する課題に多く直面してきた。単に多台数接続できるというのではなく、同社が今まで改善してきた同時通信時のノウハウが詰まった製品ということになる。
要するに鍛えられ方が違うわけだ。
コマンド不要、リモートからもアプリで簡単セットアップ
法人向けというと、設定や管理が難しいのでは? と思うかもしれないが、本製品のセットアップや管理は簡単だ。実際に筆者もセットアップしてみたが手順としては以下の7ステップで済む。
- スマホに「フルノシステムズ 管理ツール」アプリダウンロード
- アプリからアカウント登録(初回のみ)
- アクセスポイントの接続
- 管理単位となるサイトの追加(新規サイト作成時のみ)
- 接続先となるネットワークの選択
- アクセスポイント背面のQRコード読み取り
- 接続パスワードや帯域の設定(サイト共通)
仕組みとしてはクラウド上での管理となる。そのため、STEP3でインターネットに接続可能な環境にアクセスポイントを接続すれば、あとはスマホのアプリから設定可能で、必ずしもアクセスポイントと同一ネットワークにスマホが接続されている必要もない。
場合によっては、本社から離れたブランチオフィスの設置を設定することも可能だ。本社側で設定を済ませてから現地に送ることもできるし、現地での設置に合わせてリモートから設定することもできる。必要なのは、アクセスポイントにケーブルを接続すること、背面のQRコードを読み取ることだけなので、簡単な接続とQRコードの撮影を現地の人に依頼すれば、離れた場所からも簡単に設定できるだろう。
なお、複数サイトを管理することも可能なうえ、サイトごとに10台のアクセスポイントを管理することもできるので、ある程度、規模の大きな環境でも利用できる。また、統計情報を確認したり、自己診断で動作を確認したりすることもできる。
実力も十分
実際のパフォーマンスも優秀だ。以下は、木造3階建ての筆者宅の1階に本製品を設置し、各階でiPerf3による速度を計測した結果となる。
| 1F | 2F | 3F入口 | 3F窓際 | |
| 下り(2.4GHz) | 315 | 184 | 171 | 68 |
| 上り(2.4GHz) | 242 | 160 | 135 | 68 |
| 下り(5GHz) | 1420 | 593 | 342 | 197 |
| 上り(5GHz) | 1230 | 460 | 208 | 195 |
| 下り(6GHz) | 1820 | 736 | 423 | 112 |
| 上り(6GHz) | 2190 | 910 | 407 | 181 |
※単位:Mbps
※サーバー:MINISFORUM MS-01 Core i5-12600H/RAM64GB/1TB NVMeSSD/10Gbps SFP+/Proxmox 9.1 LXC(Ubuntu 24.04)
※クライアント:Core Ultra 5 226V/RAM16GB/512GB NVMeSSD/Intel BE201D2W/Windows11 24H2
本製品は、出荷時状態で2.4GHz+5GHzの設定となっているため、必要に応じて利用する帯域や帯域幅を設定する必要があるが、今回は6GHz帯の320MHz幅も有効にして検証してみた。
6GHz(320MHz幅)を利用すると、2.5Gbpsの有線接続とも相まって、近距離(1階)の実行速度は2Gbpsを超えてくる。さすが法人向けという印象で、パフォーマンスにも妥協のない製品となっている。
長距離に関しては、5GHz帯の方が有利な印象があるため、個人的にはすべての帯域を有効にして利用することをおすすめするが、広いオフィスでは複数台設置して、帯域を使い分けることが多いので、このあたりはケースバイケースと言えそうだ。
なお、感心したのは、iPerf3のような突発的にトラフィックが上昇する(ほぼフルで帯域を使い切る)通信が発生すると、アプリに通知が表示される点だ。これにより、管理者は、設置場所のネットワークで、通常とは異なる何らかのトラフィック異常を簡単に検知できる。
専任の管理者がいないケースを想定し、今、ネットワークで何が起きているのかを自動的に知らせてくれるのはありがたい設計だ。
伝統と革新が融合した新世代の法人向けアクセスポイント
以上、フルノシステムズから登場した「SW730」を取り上げたが、本製品は、見れば見るほど凝った製品に仕上がっている。
小型でシンプルなデザイン、ブラックも選べるカラーバリエーション、透過LED、柔軟な設置に対応する縦置きスタンド、簡単な設定アプリと、海外ベンチャーが作ったかのような新しい発想が取り入れられているかと思えば、同時「通信」へのコダワリが詰まっている。
本文ではデザインの話がさらに長くなりそうだったので割愛したが、実は本製品の背面側は放熱目的のアルミダイキャスト構造になっているうえ、本体は密閉構造でほこりに強い設定になっている。
こうした熱対策やほこり対策は、同社が物流現場や文教市場向けのエンタープライズ向け製品で古くから取り組んできたことだが、それが当たり前のようにエントリー向けの本製品にも引き継がれている。コストや手間を理由に、同社の伝統的な信頼性や堅牢性をあきらめていない点もすごい。
コダワリがすごいという意味では、実はブラックの塗装などは、塗料の質や色合いに凝り過ぎてしまっていて、素手で触ると指紋が目立つのだが、LEDを透過させつつ黒一色で塗装し、しかも高級感のある質感を実現したいとの理由があると聞いた。そうなると、「使う側としても手袋でもしないとしかたないか……」と妙に納得してしまう。
とにかく、本製品はフルノシステムズの全部、伝統やコダワリ、ノウハウ、技術が詰め込まれた製品に仕上がっている。小規模な環境でも、「FURUNOのWi-Fi」と、指名買いされるような製品となっているので、Wi-Fi 7の導入を検討している場合は、ぜひチェックしてみるといいだろう。
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