第208回:仕事の効率化に効果アリ!?
シンプルで高機能なタスク管理ツール「Remember The Milk」
シンプルでありながら、高機能で使いやすいタスク管理ツール「Remember The Milk」の日本語版サービスが開始された。メッセンジャーへのリマインド送信や他のユーザーとのタスク共有などを備えており、すでに海外では話題のサービスだ。日本語のベータサービスを実際に使ってみた。
●タスクはインターネットで管理する時代
古くはシステム手帳から、電子手帳、PDA、PIMソフトなどなど、タスクを管理するためのツールを試してみたものの、どれも途中であきらめてしまった。筆者を含め、そんな経験がある人も少なくないだろう。そんな人にぜひ使ってみてほしいのが、この「Remember The Milk」だ。
Web上のタスク管理ツール「Remember The Milk」。登録したタスクをカテゴリごとに管理したり、期限に合わせてリマインダーを送るなど、効率的にタスクを管理できる |
これまでのタスク管理ツールは「入力が面倒」「遅い」「ほかのツールと連携できない」など、ある意味「使いにくい」ということが、自分でタスクを管理するという責任を放棄するひとつの言い訳になっていた節がある。筆者もその一人だったのだが、このRemember The Milkはそんな言い訳が通用しないほど、高機能で使いやすいサービスだと感じた。
Remember The Milkは、直訳すると「牛乳を(買うことを)覚えておく」という、何ともユニークな名前だが、要するにインターネット上で提供されているタスク管理サービスだ。Remember The Milkのサイトにアクセスすると、タスクの管理画面が表示されるので、ここにたとえば「牛乳を買う」というように、やらなければならないことをタスクとして登録する。このタスクを「リスト」と呼ばれるタブでカテゴリごとに管理したり、期限を設定してやるべきことを常に確認できるようにしておく、というのが基本的な使い方だ。
要するに、手帳に書き留めたToDoや付箋のメモの代わりとして使えるサービスだと考えるとわかりやすいのだが、前述したリストやタグによってタスクを分類することができたり、インターネット上のほかのユーザーと特定のリストを共有したりと、より高度にタスクを管理できるのが特徴だろう。はじめて体験するユーザーも少なくないと思われるので、以下に簡単に特徴を挙げておこう。
- タスクの登録
- ショートカットキーも用意され、手軽にタスクを登録できる
タイトル、URL、重要度、期限などに加えてノート(メモ)の添付も可能
- リストによるタスク整理
- 標準では「受信箱」「仕事」「個人」「勉強」「送信済み」の5個。
リストはいくつでも作成可能
- タグによる管理も可能
- 「home」や「office」などのタグ管理のほか、リストのサブカテゴリとしてタグを使うことも可能
- タスクの共有
- ほかの利用者をコンタクトとして追加
特定のリストをほかの利用者と共有できる
- リマインダー
- 期限などにあわせてタスクのリマインダーを送信
メール、携帯電話メールに加え、メッセンジャーにも送信可能
- 他のサービスとの連携
- 携帯電話からのアクセスもサポート。
ATOMによる配信、iCalendar形式のアプリやサービスからの参照が可能
リストをほかのユーザーと共有することで共同作業を行なうことができる。社外メンバーとのプロジェクト管理などにも応用可能だ |
●リマインドをメッセンジャーに送信可能
同様にインターネット上でタスクを管理できるサービスとしては、シンプルさとレスポンスの良さに定評がある「check*pad」などがあるが、Remember The Milkはさらに凝った使い方ができるようになっている。
Remember The Milkの機能でもっとも特徴的なのはリマインダーだろう。リマインダーとは、登録したタスクを忘れないようにする通知機能だが、Remember The Milkではタスク期日での通知のほか、期日の数日間(任意設定)、さらに設定した期限の数時間前と、さまざまな方法で通知できるようになっている。たとえば毎朝定期的にリマインダーを送るように設定しておけば、その日にやるべきことを確認できる。
しかも、このリマインダーはPCのメールだけでなく、携帯電話のメールやWindows Live Messenger(MSN Messenger)やSkypeなどのインスタントメッセンジャーなど、さまざまなプラットフォームへの送信に対応しており、ユーザーが必要なだけリマインダー先を登録できるようになっている。事前にRemember The Milkのアカウントをコンタクトリストに追加しておく必要があるが、メールでのリマインダーと異なり、デスクトップにメッセージがポップアップするため、予定を忘れにくいというメリットがある。
リマインダーの送信タイミングを細かく設定でき、さまざまなプラットフォームに送信可能。Windows Live Messenger/MessengerやSkypeなどでリマインダーを受け取ることもできる |
携帯電話からの利用にも対応。テストとしてEZWebから利用してみたが、問題なく利用できた。いつでもタスクを確認できるのは大きなメリットだ |
携帯電話との相性も良い。前述したようにリマインダーは携帯電話のメールへ送信できるほか、サービス自体に携帯電話からアクセスすることも可能だ。筆者が利用しているauの携帯電話(W41H)のEZWebでアクセスしてみたが、日本語を含め問題なくサービスを利用できた。メールでのタスク登録にも対応しており(ユーザーごとにタスク受信用のメールアドレスが割り当てられる)、携帯電話などからメールを利用してタスクを登録することも可能だ。
タスク管理やスケジュール管理などは、登録が手軽にできるかどうかに加えて、登録したデータをいかに手軽に参照できるか、特に外出時にどう参照できるかでサービスの善し悪しが決まると言っても過言ではないだろう。その点、このRemember The Milkは、さまざまな方法でタスクをユーザーに通知でき、PC以外に携帯電話という身近なプラットフォームを利用してアクセスできるようになっている。さまざまな機能によって、ユーザーに「いつでも使える」という感覚をきちんと与えている点は非常に高く評価したいところだ。
このほか、個人的に気に入ったのはショートカットキーによる操作だ。たとえば、タスク画面で「t」キーを押してタスクを追加し、タイトルを入力したら「1」などの数字キーで優先順位を設定。さらに「d」で期日の入力を開始し、「8/28」や「next monday」のような形式で期日を設定。最後に「y」でノートを表示してタスクの詳細や場所を入力といったように、キーボードだけでほとんどの操作ができるようになっている。
Remember The Milkは今のところ、動作速度という面(特に画面表示)ではあまり軽快ではないが、このショートカットキーによる操作のおかげで非常に快適に操作できる印象を受けた。また、タスクの削除や期日の変更など、行った操作に対して必ず「取り消し」が可能になっているのもありがたいところだ(操作直後のみ)。
●自分なりの管理術が必要か?
このようにRemember The Milkは、非常に使いやすさが重視されており、かゆいところに手が届くといった印象のタスク管理ツールだ。個人のタスク管理やプロジェクトなどでのユーザー間でのタスクの共有などに非常に適しており、ベータサービスはユーザー登録するだけで誰でも無償で利用できるので、試しに使ってみることをオススメしたいところだ。
ただし、課題もある。サービスとしての完成度はかなり高いが、個人的にはコラボレーション機能がもう少し強化されて欲しい。たとえば、今回テストとして、本コラムの編集担当と連載のネタ候補を共有してみたが、その際、共有したリストに関する簡単なディスカッションができるとありがたいと感じた。ディスカッションができないと、たとえばリストに追加した項目が突然削除された場合などに誤解をまねく可能性がある。ネットワーク上の共同作業を実現する場合、ユーザー間の意志の疎通を図るための仕組みが必須と言える。たとえば、追加されたタスクに対して1行コメントができる程度の簡単なものでかまわないので、コミュニケーションができる機能が追加されるとありがたいところだ。
続いては利用者側の課題だ。Remember The Milkを効率的に利用するには、仕事術と言おうか、タスクの管理術と言おうか、自分なりのルールをあらかじめ定めておく必要がある。たとえば、Remember The Milkでは、前述したように「リスト」と「タグ」という2つの方法でタスクを分類できるようになっているが、このリストとタグの使い分けが明確でないと、リストにもタグにも同じ項目が登場するなどといったように、タスクが増えてきたときに混乱したり、管理が破綻する可能性がある。
また、あまりにもたくさんのリストを作成して分類すると、分類に時間がかかりすぎたり、タスクを管理しきれなくなってしまう可能性もある。長期にわたってきちんとタスクを管理したいのであれば、仕事術のような書籍を一読した方が良いかもしれない。
とはいえ、あまり堅く考える必要もない。たとえば筆者などは「受信箱」リストに、とりあえず頭に浮かんだやらなければならないことを片っ端からタスクとして登録していくという使い方をしている。追加したタスクをプロジェクトごとのリストに整理したり、すぐにできるタスクをその場で片付けていくだけでも、頭の中がスッキリと整理され、これまでに積み残していたタスクがある程度片付くからだ。
そもそもシステム手帳などで挫折した経験があるユーザーは、あまり厳密にRemember The Milkを使おうとすると、同じように途中で挫折する可能性が高い。あまり気負わずに頭の中の整理用に使ってみるというもひとつの手だろう。
関連情報
2006/8/22 10:58
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