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ビットコインの大型アップデート「Taproot」が実装完了、約4年ぶりの進捗

2800億円のブロックチェーン業界特化型ファンドが誕生

 暗号資産・ブロックチェーンに関連するたくさんのニュースの中から見逃せない話題をピックアップ。1週間分の最新情報に解説と合わせて、なぜ重要なのか筆者の考察をお届けします。

ビットコインのTaprootが実装完了

 ビットコインの大型アップデート「Taproot」の実装が完了した。前回の大型アップデート「Segwit」が実装されてから約4年が経過している。

 ビットコインをはじめとする分散型プロジェクトの場合、旗振り役となる運営者がいないため、どうしてもアップデートが遅くなりがちだ。ビットコインは最も分散化が進んでいるため、今回のように数年に一度のペースでアップデートが行われる傾向にある。

 Taprootとはアップデート自体の名称であり、具体的には「シュノア署名」や「MAST(マークル化抽象構文木)」の導入が行われた。これにより、スケーラビリティとプライバシーの向上が期待される。

 Taprootの実装自体は完了したものの、ブロックチェーン全体に伝搬されるにはここから更に数年かかる見込みだ。Taprootが本格的に機能するには、ビットコインネットワークを構築するノードやウォレットプロバイダーがサポートを開始する必要がある。

 Segwitの場合は、全体の半数が対応するのに約2年かかっており、Taprootでも同様の期間が必要になることが予想される。

参照ソース

Paradigmが2800億円の特化型ファンドを組成

 暗号資産・ブロックチェーン特化のベンチャーキャピタルParadigmが、25億ドル(約2800億円)の新ファンドを組成した。特化型ファンドとしては、a16zによる22億ドルのファンドを超え過去最高額を更新している。

 Paradigmは、新ファンドの投資領域としてDeFiやWeb3.0をあげ、今後数十年で最も重要な変革を起こす可能性があると言及した。ここ数カ月で組成されるファンドの多くがNFTを投資対象にする傾向にあっただけに、NFTには言及していない点が特徴的だ。

 Paradigmによると、暗号資産は依然としては世界人口の10%にしか普及していないという。それでも、DeFi市場で流通する資金は1000億ドルを超える規模にまで成長し、従来の金融システムに影響を与え始めている。

 ユーザー数については、Web2.0と呼ばれる一般的なWebサービスが数十億人を超えている一方で、Web3.0と呼ばれる新たなWebサービスは数千万人にとどまっていると主張。今後は、この数を増やしていくために資金提供していく方針だ。

参照ソース


    Paradigm’s New Venture Fund
    Paradigm

今週の「なぜ」ビットコインの「Taproot」はなぜ重要か

 今週はビットコインの大型アップデート「Taproot」やParadigmの新ファンドに関するトピックを取り上げた。ここからは、なぜ重要なのか、解説と筆者の考察を述べていく。

【まとめ】

Taprootでビットコインのスケーラビリティが向上
Taprootはシュノア署名とMASTの導入を意味するアップデート名
開発速度の遅いビットコインを横目にレイヤー2ソリューションが進化

 それでは、さらなる解説と共に筆者の考察を説明していこう。

ビットコインのスケーラビリティ問題

 ビットコインやイーサリアムなどのパブリックブロックチェーンにはスケーラビリティ問題が存在する。一定時間に処理できるトランザクション量に限りがある問題で、ブロックチェーンが一般化されるための最大の障壁となっている。

 ビットコインの場合、スケーラビリティ問題の解決策として2つの方法が提案されていた。1つ目はブロックチェーンの各ブロックの容量を拡大する方法、2つ目はブロック内に格納するトランザクションのデータ量を削減する方法だ。ちなみに、この2つのどちらを実装するかで意見が対立し、ハードフォークが発生したことで誕生したのがビットコインキャッシュである。

 ビットコインでは主に、ブロック内のデータ量を削減する方針で開発が進められてきた。今回のTaprootでも更なるデータ量の削減が行われ、併せてプライバシー性能の向上も期待されている。

シュノア署名とMASTの導入

 Taprootで導入されたのは、「シュノア署名」と「MAST(マークル化抽象構文木)」だ。

 シュノア署名とは、ブロック内に格納するトランザクションのデータから、送金者の署名情報をブロックの外部にある専用領域へと切り出す仕組みである。こうすることで、ブロック内に格納されるデータ量を削減できる。

 また、トランザクションデータと署名情報を切り離すことで、どのトランザクションがどの署名に紐づくのか分かりにくくすることも可能だ。これにより、プライバシー性能の向上が期待されている。

 一方のMASTとは、トランザクションデータをツリー状に整理してブロックに格納する仕組みだ。これにより、効率よくトランザクションをブロックに格納することが可能となり、ブロック内の無駄なスペースを削減することにつながる。

ビットコインでもレイヤー2が進化

 先述の通り、ビットコインは開発速度が非常に遅いのが特徴だ。旗振り役がいないため、ビットコインコミュニティで意見を一致させるのが難しく、場合によってはビットコインキャッシュの時のようにハードフォークすることも珍しくない。

 そのため、目ぼしいアップデートが行われるのに数年かかることが当たり前となっており、ビットコインの価格に影響を与えるファンダメンタルズも片手で数え切れるほどだ。従って、ビットコインの大型アップデートの際には多くの注目が集まる傾向にある。

 数年かけてようやくアップデートが実装されてもそれが機能するまでにまた数年かかるため、最近はビットコインそのものではなく、ライトニングネットワークなどのレイヤー2ソリューションが市民権を得つつある。

 ビットコインのブロックチェーンに記録するのは一定期間に一度だけにし、リアルタイムの処理は別のレイヤーで行うといった具合だ。これは、ビットコインに限らずイーサリアムなどでもスタンダードになりつつある。