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パブリックブロックチェーンSolanaのSOLトークンが国内初上場、プログラミング言語Solidity開発者の調査レポート

パブリックブロックチェーンのネイティブトークンの重要性

 暗号資産・ブロックチェーンに関連するたくさんのニュースの中から見逃せない話題をピックアップ。1週間分の最新情報に解説と合わせて、なぜ重要なのか筆者の考察をお届けします。

Solidity開発者の調査レポート

 イーサリアムのスマートコントラクト開発言語Solidityの開発者を対象にしたアンケートが公開された。Silidityエンジニアは順調に増加しているようだ。

 イーサリアムは、スマートコントラクトを記述する場合に専用のプログラミング言語を必要とする。これはSolidityといい、JavaScriptライクな言語として人気を博している。イーサリアムのスマートコントラクトを記述するには、ほかにもPythonライクなVyperなどがシェアを得ているが、事実上Solidityが専用言語となっている。

 Solidityの開発経験は、1年未満が56.1%、1~2年が15.8%、2~3年が12.5%、3年以上が15.5%となった。イーサリアムエコシステムの成熟度と比べ、1年未満の開発者が多い印象を受ける。

 アンケートではそのほかにも、イーサリアムの開発環境も調査対象となった。最も多くのシェアを集めたのはHardhatであり、全体の約45%を占めている。次いでTruffle、Remixとなっている。黎明期はTruffleの一択であったことを考えると、インフラの変化が感じ取れる。

参照ソース

Liquid、国内初Solana(SOL)の取り扱いを開始

 国内暗号資産取引所Liquidが、パブリックブロックチェーンSolanaのネイティブトークンSOLの取り扱いを開始した。SOLが日本で上場するのは初めてのことになる。

 Liquidは、米暗号資産取引所FTXに買収されたばかりの国内取引所だ。FTXのCEOは、Solanaの開発者の1人であり、FTXとSolanaは何かと関係性が深い。今回のSOLの上場は、こういった背景が影響しているのだろう。

 日本では、主要先進国と比べてパブリックブロックチェーンのネイティブトークンを取り扱う実績が少ない。ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、Polkadot(DOT)をはじめ少数しか流通していないのだ。

 ブロックチェーンエコシステムは、パブリックブロックチェーンを中心に構築されているため、そのネイティブトークンが流通していないことは致命的だと言える。今回SOLが上場したことで、ようやく日本人もSolanaエコシステムに参加できるようになった。

参照ソース


    日本初!SOL, FTTの取り扱いを開始しました
    Liquidブログ

今週の「なぜ」パブリックブロックチェーンのネイティブトークンはなぜ重要か

 今週はSolidityの開発者アンケートとパブリックブロックチェーンSolanaの上場に関するトピックを取り上げた。ここからは、なぜ重要なのか、解説と筆者の考察を述べていく。

【まとめ】

パブリックブロックチェーンはそれぞれ固有のネイティブトークンを持つ
DAppsを利用するにはネイティブトークンが必要
暗号資産取引所がパブリックブロックチェーンへの窓口となる

 それでは、さらなる解説と共に筆者の考察を説明していこう。

パブリックブロックチェーンには固有のネイティブトークンがある

 昨今Web3.0というトレンドで急速に普及してきたDeFiやNFTなどのDAppsは、基本的に全てパブリックブロックチェーン上に構築される。その筆頭がイーサリアムだが、2021年はイーサリアム以外のパブリックブロックチェーンが台頭した1年だった。

 これはマルチチェーン化と表現され、特にSolanaの成長が著しい。ほかには、Binance Smart ChainやAvalanche、Terra、Polygonといったチェーンがシェアを伸ばしている。

 これらのチェーンには、それぞれ固有のネイティブトークンが存在する。イーサリアムであればETH、AvalancheであればAVAX、そしてSolanaがSOLだ。

DAppsを利用するにはネイティブトークンが必要

 先述の通り、DeFiやNFTなどのDAppsは、全ていずれかのパブリックブロックチェーン上に構築される。パブリックブロックチェーン上にDAppsを開発しユーザーが利用する際には、取引手数料が発生することが一般的だ。イーサリアムではこれをガス代と呼んでいる。

 この手数料は、それぞれのネイティブトークンで支払われる。そのため、必然的にDAppsを利用するにはそのチェーンのネイティブトークンを持っている必要があるわけだ。逆に言うと、ネイティブトークンを持っていないチェーン上に開発されたDAppsには、われわれユーザーはアクセスすることができない。

 例えば、イーサリアム上のDEXであるUniswapを利用するにはETHが必要であり、Solana上のDEXであるSerumを利用するにはSOLが必要になる。

暗号資産取引所の役割

 法定通貨を暗号資産に換金するには、暗号資産取引所が不可欠だ。暗号資産取引所は各国規制に準拠する必要があるため、暗号資産取引所がどの暗号資産を取り扱うかによって、その国に住む人々がどのチェーンのDAppsを利用できるかが制限されることになる。

 これまで日本では、主要なパブリックブロックチェーンのネイティブトークンとして、イーサリアム(ETH)やPolkadot(DOT)しか上場していなかった。そのため、日本人はほかのパブリックブロックチェーン上に開発されたDAppsを利用できなかったのだ。今回、SOLが初めて上場したことで、今後日本人はSolana上のDAppsを利用することができるようになる。

 暗号資産取引所は、法定通貨と暗号資産の交換業によって利益を生み出しているが、さまざまなパブリックブロックチェーンのエコシステムへ国民をつなぐ重要な入口となる役割も担っているのだ。こういった要素も踏まえ、日本の取引所には取り扱い通貨を選択してもらいたい。

田上 智裕(株式会社techtec代表取締役)

リクルートで全社ブロックチェーンR&Dを担当後、株式会社techtecを創業。“学習するほどトークンがもらえる”オンライン学習サービス「PoL(ポル)」や企業のブロックチェーン導入をサポートする「PoL Enterprise」を提供している。海外カンファレンスでの登壇や行政でのオブザーバー活動も行う。Twitter:@tomohiro_tagami