趣味のインターネット地図ウォッチ

第106回:OpenStreetMap Japan、地震情報の集約サイト「sinsai.info」 ほか


 今回は、本連載のいつもの趣味の観点からは離れて、東北地方太平洋沖地震に関する情報を扱う地図関連サイトを紹介する。

OpenStreetMap Japan、地震情報の集約サイト「sinsai.info」提供開始

 フリーの地理情報データの作成を目的とするプロジェクト「OpenStreetMap Japan」は、東北地方太平洋沖地震の情報を集約するためのWebサイト「sinsai.info」を公開した。このサイトでは政府の公式発表から、インフラや交通機関などの状態、救助要請、安否確認などに関するユーザーからのレポートまで、さまざまな情報の閲覧・投稿が可能だ。

sinsai.infoOpenStreetMap Japan - Crisis Mapping Project

 地図上には項目ごとにレポートの投稿件数を示す円が描かれ、円をクリックしてポップアップするウィンドウを再度クリックすると、レポートのリストが表示される。また、上部メニューの「レポート」をクリックすると、最新の投稿の一覧が表示される。各レポートには「検証済」「未検証」のアイコンも付記される。

 投稿するときはハッシュタグを付けてツイートする方法か、「sinsai.info」の投稿フォームに直接入力する方法の2種類がある。フォームでの投稿では、レポートタイトルおよび説明を記入し、カテゴリーを指定した上で現在地を地図上で指定する。リンク先や画像のアップロードを指定した上で「送信」ボタンを押せば投稿が完了する。

 上部の告知欄には、レポート投稿の心がけを記したサイトへのリンクも載っているので、利用にあたってはこれらの記述も参考にしていただきたい。なお、今回の震災にあたって、OpenStreetMap Japanはさまざまな作業への協力を広く呼びかけている。詳しくは「OpenStreetMap Japan - Crisis Mapping Project」のサイトを参照のこと。

URL
 東北沖地震 震災情報サイト sinsai.info
 http://sinsai.info/
 OpenStreetMap Japan - Crisis Mapping Project
 http://openstreetmap.jp/crisis/

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  「OpenStreetMap Japan」の日本サイト開設 ほか
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/column/chizu/2008/03/27/index.htm

渡邉英徳研究室、走行可能な道がわかる「通行実績情報マッピング」を公開

 首都大学東京・渡邉英徳研究室は、「東北地方太平洋沖地震:通行実績情報マッピング」を公開した。これはホンダのプローブ情報システム「HONDA internavi Premium Club」が日次更新で提供する被災地の車両通行実績情報を地図上で確認できるウェブコンテンツで、閲覧にはGoogle Earthプラグインが必要。

東北地方太平洋沖地震:通行実績情報マッピング

 上部のチェックボックスを選択することにより、複数のレイヤーを切り替えて表示できる。用意されているレイヤーは、「通行実績のある道路」のほか、「GeoEye社撮影の衛星写真」や「福島原発避難域」など。ほかのkmzデータを表示させることも可能で、データ掲載を希望する場合はメールで受け付けている。

URL
 東北地方太平洋沖地震:通行実績情報マッピング
 http://shinsai.mapping.jp/

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 ・Honda、パイオニア、Googleが協力、東北地方の「自動車・通行実績情報マップ」を公開
  http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110315_432921.html

被災地の炊き出し実施場所や避難場所がわかる「炊き出しまっぷ」

 被災地における炊き出しの実施場所や緊急避難場所、給水所、携帯電話の充電可能場所などをまとめた「炊き出しまっぷ、緊急避難場所」が公開されている。Googleマップのマイマップ機能で作成されたもので、携帯電話からの検索が可能なサイトや、地図表示が無いページなども用意されている。

炊き出しまっぷ、緊急避難場所(東日本)

URL
 炊き出しまっぷ、緊急避難場所
 http://goo.gl/zRlRk
 炊き出し検索(携帯電話)
 http://goo.gl/Fp7I4
 地図無し版
 http://goo.gl/hf8ZO

国土地理院、電子国土による情報集約マップを公開

 国土地理院は、東北地方太平洋沖地震に関する「災害情報集約マップ」を電子国土ポータルで公開した。このサイトでは、被災地のデジタル標高地形図や震央位置などを地図上で確認できる。

災害情報集約マップ

 また、国土地理院では被災地およびその周辺地域の地図データや、被災地の空中写真も公開している。地図データの形式はPDFで、縮尺は20万分の1。地域によってメッシュ(格子)が入った災害対策用のものと地図だけのものの2種類がある。空中写真については地図上に撮影ポイントを示す赤丸のアイコンが並んでおり、各アイコンをクリックするとその地域の写真が拡大表示される。

 さらに国土地理院は今回の震災による地殻変動および震源断層モデルの速報も発表した。この資料では被災地の水平変動や上下変動などの状況が記されている。今後、地殻変動に関するさまざまな報告も発表される予定だ。

デジタル標高地形図メッシュ入りの災害対策用図
空中写真の撮影地点電子基準点(GPS連続観測点)データ解析による地殻変動と震源断層モデル(暫定)

URL
 東北地方太平洋沖地震 災害情報集約マップ
 http://zgate.gsi.go.jp/SaigaiShuyaku/20110311m88/index2.htm
 20万分の1地図ダウンロード
 http://zgate.gsi.go.jp/SaigaiShuyaku/20110309/map_download/map_download.html
 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による被災地の空中写真
 http://saigai.gsi.go.jp/h23taiheiyo-hr/index.html
 電子基準点(GPS連続観測点)データ解析による地殻変動と震源断層モデル(暫定)
 http://www.gsi.go.jp/cais/topic110313-index.html

JAXA、「だいち」による緊急観測を実施

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、陸域観測技術衛星「だいち」によって東北地方太平洋沖地震の被災地の緊急観測を実施し、JAXAが提供する画像ライブラリー「だいち災害情報」にて画像を公開した。

 観測は、「だいち」に搭載されている「AVNIR-2(高性能可視近赤外放射計2型)」「PRISM(パンクロマチック立体視センサー)」「PALSAR(Lバンド合成開口レーダー)」の3種類のセンサーによって行われた。また、台湾の国家実験研究院(NARL)の衛星「FORMOSAT-2」が観測したデータも公開している。

だいち災害情報AVNIR-2の観測結果

URL
 だいち災害情報(ALOS解析研究プロジェクト)
 http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/gallery/lib_data/j3disaster.htm


2011/3/15 15:11


片岡 義明
 地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。書籍「パソ鉄の旅-デジタル地図に残す自分だけの鉄道記-」がインプレスジャパンから発売中。