中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2019/6/17~7/4]
大手コンビニ2社が満を持してスマホ決済に参入――7payではいきなり不正アクセス事件が発生 ほか
2019年7月5日 19:00
1. 大手コンビニ2社が満を持してスマホ決済に参入――7payではいきなり不正アクセス事件が発生
さまざまなスマホ決済(QRコード決済)サービスが乱立し、もはやなにがなんだか分からないとう混沌とした状態だ。そのようななか、Engadget日本版では、コンビニブランドと対応スマホ決済システムの一覧表を掲載(Engadget日本版)している。これに加えて、飲食チェーンやドラッグストアーチェーンの対応表なども期待してしまう。
さて、今週の大きな話題はファミリーマート(マイナビニュース)とセブンイレブン(ITmedia)というコンビニ大手2社によるスマホ決済サービスへの参入だが、7payではいきなり不正アクセス事件(INTERNET Watch)が発生した。しかも、事件を受けて行ったセブンペイ運営会社社長による記者会見で、基礎的なセキュリティに対する質疑を通して理解不足が垣間見えたことや(ITmedia)、消費者の安全を考えるなら事態が沈静化するまではせめてもサービスの完全停止をすべきだったのではないかという厳しい意見も見受けられた。
なお、実行犯と思われる人物は逮捕されたことが報じられているが、背景には大掛かりな組織もありそうな事件だ。
こうした事件は起きないに越したことはないわけだが、いまどきの時代、残念ながら想定されうることでもある。ユーザーとしてもIDやパスワードのみならず「認証」に関する情報の扱いについてはくれぐれも留意をすべきだろう。
ニュースソース
- 「7pay」で約900人・5500万円の不正アクセス被害、全てのチャージを一時停止 新規登録も停止[INTERNET Watch]
- セブン銀行ATMでの「PayPay」現金チャージ、7月11日からスタート 手数料無料[ITmedia]
- ファミリーマート、バーコード決済付きスマホアプリ「ファミペイ」提供開始[マイナビニュース]
- 「ファミペイ」、開始2日で100万ダウンロード[Impress Watch]
- 「脆弱性は見つからなかった」 セブンペイ緊急会見の“甘すぎる認識”[ITmedia]
- コンビニ2社の独自決済サービス、初日は使えない状態が続く 「想定以上のアクセス」で ファミペイとセブンペイ[ITmedia]
- ファミマ、セブンがついに対応! コンビニチェーンのコード決済「○○ペイ」まとめ[Engadget日本版]
2. フェイスブックの独自仮想通貨「リブラ」の本質は「ポータブルな非中央集権型デジタルID」か?
米国フェイスブックが発表した独自仮想通貨「リブラ」を巡ってはその波紋が広がっている。米国内ではフェイスブックに対しては個人情報流出事件以降、厳しい目が向けられているわけだが、団体や議員からは開発の一時停止まで求める声まで出始めているという(CNET Japan)。フェイスブックも説明を尽くそうとする姿勢は見えるが、逆風が強いこのままでは社会的な支持を得るかたちでサービスインをするのは難しそうにも思う。
それに対して、MIT Technology Review誌が興味深い記事を掲載している(MIT Technology Review)。この記事では、単なる決済システムではなく、「ポータブルな非中央集権型デジタルID」の推進が目的にあるという点に着目して論じている。つまり、すでに行われているような「他のWebサイトが本人確認をする際に、フェイスブックやグーグルのログイン・ツールを使うのではなく、認証用情報を自分自身で所有し、管理する」(MIT Technology Review)という仕組みである。そうだとするなら、これまで個人情報の管理においてさまざまな批判にされされてきたフェイスブックがいまこの段階で取り組む理由も分からなくない。
ニュースソース
- Facebookの仮想通貨「Libra」、米団体や議員らが開発の一時停止求める[CNET Japan]
- ネット大手の仮想通貨、当局の関心となる可能性=独当局者[ロイター]
- ロシア財務省「Libraを現状で禁止する見込みはない」[BTCN]
- 〇〇ペイとは桁違い、 FBがリブラで掲げる 「デジタルID」の巨大構想[MIT Technology Review]
- Facebookの仮想通貨「Libra」にまつわる3つの疑問[ZDnet Japan]
- Libraの2つの顔 超国家企業連合か、暗号通貨の「伝統」か[ITmedia]
- アングル:フェイスブックの仮想通貨「リブラ」に規制当局の壁[ロイター]
- 仮想通貨「リブラ」で、フェイスブックがメガバンクを壊滅させる日…[現代ビジネス]
3. JPモルガンとゴールドマン・サックスが自社仮想通貨を発行へ
各国の金融当局で、その扱いが課題となっている仮想通貨だが、いよいよJPモルガン(ZUU online)とゴールドマン・サックス(coindesk)という世界的な大手金融会社が独自の通貨の発行をするかもしれない。具体的なサービスに関する情報はないが、これまでは仮想通貨に対する否定的な意見や、冷めた意見が漏れ聞こえてきたなかで、いよいよ両社が“ゲームのルール”を理解したということか。
ニュースソース
- JPモルガンが仮想通貨実験を開始へ、IBMは企業向けブロックチェーンを刷新[ZUU online]
- ゴールドマン・サックスも自社仮想通貨に関心。CEO「全金融機関が注目している」[coindesk]
4. 続報:ファーウェイ問題――米国は禁輸緩和に動きだしたが……
ファーウェイ事件に進展が見られた。米国はファーウェイへの米国企業からの輸出制限を緩和した(ITmedia)。ただし、「低機能の半導体」のみとされていて、本質的な解禁にはほど遠い状況だといえよう。
こうした動きを受け、日本でもIIJが一時停止していたいファーウェイ製スマートフォンの発売を再開した(ケータイWatch)。また、中古市場でも「7月6日より100円としていたファーウェイ製の中古端末の買取価格を正常価格へ変更する」とも報じられている(ケータイWatch)。
ニュースソース
- Huawei禁輸緩和「低機能の半導体」に限定 米補佐官[ITmedia]
- ファーウェイ、アンドロイドの利用再開巡り米商務省の指針待ち[ロイター]
- ファーウェイ、米商務省のブラックリストに残る[CNET Japan]
- IIJmio、「HUAWEI P30/P30 lite」「MediaPad M5 lite 8」を発売[ケータイWatch]
- ファーウェイ端末買い取り「100円」から正常価格へ引き戻し、携帯市場[ケータイWatch]
5. アップルにとってもコンテンツやサービスのビジネスへ進む道は平たんではない
今年の3月、アップルはサブスクリプション型のコンテンツ配信サービスとしてアップルアーケード(ゲーム配信)やアップルニュース+(雑誌や新聞)を発表している。これまでの音楽や動画とともに、コンテンツの配信事業を再編成しようという意思を感じる。つまり、これまでのハードウェアの販売を軸とする事業モデルから、コンテンツやサービスを提供する事業への比重も高めたいと考えているようだ。ハードウェアの販売の頭打ちが見え、高価になって買い替え需要も見込めないとなれば、いかにそのうえでの消費を高めるかということになろう。
かつて、アップルはiTunes Music Storeによって音楽コンテンツの販売をパッケージメディアからオンラインダウンロードへと移すという破壊的創造に成功した。しかし、気が付くとコンテンツ配信はストリーミングの時代になり、課金もサブスクリプションになっていた。そして、それぞれの分野では市場を先に獲得した企業によるシェアが固まりつつある状況だ。
アップルとしては、ここからの巻き返しをはかりたいところだが、その道筋は平たんではないようだ。アップルミュージックの会員数は無料トライアルを含め6000万人、一方、ライバルであるスポティファイや1億人と発表した(ロイター)。また、アップルニュース+も、テキスチャー社を買収したものの、一部の出版社からは「予想の20分の1しかもうからない」との声(Engadget日本版)もあると報じられる事態となっている。
偶然かもしれないが、同じくして、アップル社のハードウェアデザインを手がけてきたジョナサン・アイブ氏の退職も大きく報じられ(CNET Japan)、いま大きな曲がり角に差し掛かったといえそうだ。
ニュースソース
- アップルミュージック会員数は6000万人超、スポティファイ下回る[ロイター]
- ニュース雑誌読み放題Apple News+、一部出版社から「予想の20分の1しか儲からない」との声も[Engadget日本版]
- アップルのデザイン責任者ジョニー・アイブ氏が年内に退職、会社立ち上げへ--アップルは顧客に[CNET Japan]