中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/6/17~6/24]

政府が「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定 ほか

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1. 総務省が「令和2年通信利用動向調査」の結果を公表

 6月18日、総務省は「令和2年通信利用動向調査」の結果を公表した(総務省)。これは令和2年9月時点における全国の20歳以上の世帯主がいる世帯など4万強の世帯を調査し、1万7000強の世帯からの有効回答を得たとする「世帯調査」と、同時期の公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業6000社強の企業から2200社強の有効回答を得たとする「企業調査」によって構成されていて、毎年、この時期に公表されている。

 今年のポイントとなる「世帯調査」の数字では、スマートフォンを保有する世帯の割合が86.8%と堅調に伸びたこと、個人のインターネット利用機器も20歳から39歳の各年齢階層で9割以上が利用していることである。「企業調査」では、テレワークの導入が進み、前年比で倍以上の47.5%に伸びたこと、クラウドサービスの導入が7割近くにまで増加したことなどとしている。

ニュースソース

  • 令和2年通信利用動向調査の結果[総務省

2. 政府が「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定

 政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定した(ITmedia)。閣議資料と参考資料はデジタル庁のウェブページからダウンロードできる。

 この重点計画は「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」と「官民データ活用推進基本法」に基づいて、昨年7月に閣議決定されたIT戦略(世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画)を改訂したという位置付けになる。

 要点としては「来年度中にマイナンバーカード機能をスマホに搭載することやオンライン診療の普及、災害時のデータ連携などを進める」「官民で多様なデータを活用できるように、データを取引できる市場の整備や個人情報を適切に保管できる情報銀行の推進」「データの信頼性や安全性を確保するために、通信網や半導体、データの取り扱いのルールなどを一体的に整備」するとしている。また「医療福祉、教育、防災、モビリティー(輸送)、農業・水産業、港湾、インフラの7分野(準公共分野)」のデジタル化も推進するとしている。

 今後、デジタル庁ではこうした計画をに基づいて、重点計画を作成することになる。

ニュースソース

  • 「行政手続き、スマホで簡単に」 政府、デジタル化の「重点計画」発表[ITmedia

3. フェイスブックとスポティファイ、Clubhouse対抗サービスを開始

 フェイスブックは音声チャットサービス「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」を、スポティファイは「Greenroom(グリーンルーム)」を提供開始した。両者ともに、先行する「Clubhouse」に対抗する意味があるとみられる。すでにツイッターの「Spaces(スペース)」も開始されていて、音声チャットについては混戦模様となる。一時期、Clubhouseは著名人が参加するなど、大変な盛り上がりを見せたが、現在では多少の沈静化をしているかのようにも感じる。今後はソーシャルメディアの1つとして、定着していくかどうかがポイントなりそうだ。

ニュースソース

  • Facebook、音声チャットサービス「Live Audio Rooms」を米国で開始[Engadget日本版
  • Spotify、「Clubhouse」対抗の新アプリ「Greenroom」を提供開始[CNET Japan

4. LINE、サービス開始から10周年

 日本においてはアプリやSNSというよりは、主要な「通信基盤」ともいえるLINEが10周年を迎えた。「2011年3月に開発がスタートし、同年6月23日にローンチし」、現在では「国内で約8800万人、台湾やタイ、インドネシアを含めたグローバルで約1億8700万人に利用されている」という。いうまでもなく、国内で8000万人以上が利用しているアプリは例がなく、家族や友人知人とのコミュニケーションのみならず、行政サービスを提供する基盤としても利用がされていた。それだけに、昨今では同社の情報の管理について厳しい目も向けられているところでもある。解決すべき課題は大きいが、当面は重要な役割を引き続きになっていくことになるだろう。

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5. パンデミック、プライバシー、環境、未来のテクノロジー…アップルのティム・クックCEOが語ったビジョンとは

 アップルのティム・クックCEOがフランスのテクノロジーイベント「VivaTech 2021」にリモートで登壇した(ITmedia)。そこではパンデミックにおけるアップルの取り組み、プライバシー問題への考え方、製造業としての環境問題への取り組み、スマートフォンや自動車など、未来のテクノロジーへの取り組みについて述べた。

 いずれも現代社会、とりわけアップルを含むテクノロジー企業全般にとっての大きな課題である。こうした課題についてどう取り組むのかは世界中の人の関心事でもある。そのような中で、アップルの考えを多少なりとも知る上では参考になる記事だろう。

ニュースソース

  • Appleのティム・クックCEOが「VivaTech 2021」で語った注目する技術と未来の方向性[ITmedia
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。