中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/6/24~7/1]

Windows 11発表――リリースは2021年末か ほか

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1. JOCにサイバー攻撃――昨年の4月、情報漏えいはなし

 6月25日付の朝日新聞デジタルでは、JOC(日本オリンピック委員会)に対してサイバー攻撃が行われたことが報じられている(朝日新聞デジタル)。この記事によれば、攻撃を受けた時期は昨年の4月、業務が停止するほどの被害を受けていたということだ。この状況に対処するため「事務局のパソコンやサーバーをすべて入れ替え、業務を再開した」とし、さらに「JOCは内部情報の流出はなかった」としている。

 これまでも指摘されてきたように、こうした国際的なイベントを狙った攻撃は想定されているわけで、引き続き万全の対処をすることが求められる。もちろん、標的となるのはオリンピック関係だけではない。日本の技術力を試そうとする勢力が出てこないとも限らない。組織・個人ともに、さまざまな観点での留意をしておくに越したことはない。

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2. ワールドワイドウェブのソースコードが543万ドル(約6億円)で落札される

 ワールドワイドウェブの発明者であるティム・バーナーズ=リー氏が発明当時のソースコードのNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)をサザビーズのオークションに出品していたことが先ごろ報じられていたが、なんと、これに543万ドル(約6億円)の値が付き、売却されたと報じられている(CNET Japan)。NFTには「ソースコードを含むタイムスタンプ付きファイル、コードが記述される様子を示したアニメーション動画、ティム・バーナーズ=リー氏からの手紙、同氏が作成したデジタルポスター」が含まれているとされ、この売却による収益は「同氏とその妻が支持する取り組みに寄付される」と説明されている。

 なお、NFTはこれらのデジタルファイルが本人から与えられた本物であることを示すブロックチェーンによる証明書にすぎず、落札者にソースコードの知的財産権が移転するわけではない。あくまで「オリジナルのデジタルファイル」であることを示す証明書という意味合いであるとされている。

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  • 「ウェブの父」バーナーズ・リー氏、ソースコードのNFTを約6億円で売却[CNET Japan

3. 進む5Gのインフラ整備

 5G対応端末が発売されて半年強が経過したが、いよいよ首都圏ではインフラ整備が整いつつある。

 KDDIはJR東日本の山手線全30駅と、JR西日本の大阪環状線全19駅で、5Gネットワークの構築を完了したと発表した(ケータイWatch)。東京駅と秋葉原駅では、山手線以外の在来線ホームでも5Gが利用できるとしている。さらに、2021年度までには私鉄を含む、関東21路線・関西5路線の主要区間の駅構内や駅間で5Gのサービスが利用できるようにする計画だ。

 一方、NTTドコモは6月28日付で5Gの基地局数が累計1万局を突破したと発表している(ケータイWatch)。NTTドコモは4G用の周波数を転用することなく、5G用の周波数(3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯)だけでのインフラを構築していて「5Gならではの高速通信を体験できる」としている。2022年3月末までに2万局、人口カバー率55%の達成を目指すとしている。

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4. Windows 11発表――リリースは2021年末か

 マイクロソフトはWindows 11を発表した(PC Watch)。具体的なリリース時期は本年中とされている。また、Windows 10からは無償アップグレードが提供される計画だ。

 大きな変更点は6つある。「新しいデザイン」「高い生産性」「高い接続性」「優れたゲーミング体験」「より洗練されたWebアクセス」「ストアの大幅な改善」である。発表されているスクリーンショットを見ると、スタートボタンが中央にある。カスタマイズも可能なようだが、見た目としての大きな変更である。すでにInsider Previewも公開されていて、多くの記事がすでに投稿されているので、詳細に関する情報を得ることもできる(PC Watch)。

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  • 「Office」プレビュー、「Windows 11」に合わせ新デザイン--Arm向けの64ビット版も登場[ZDnet Japan
  • Windows 11発表。年内提供予定でWindows 10からは無償アップグレード[PC Watch
  • Windows 11 Insider Previewがついに公開[PC Watch
  • Windows 11は10と同じWindows Updateポリシーを利用可能[PC Watch

5. サードパーティCookieの廃止が2023年まで延期に

 グーグルはChromeブラウザーにおけるサードパーティCookieのサポート廃止を2023年中盤~終盤まで延期すると発表した(CNET Japan)。当初の計画では2022年までに段階的に廃止するとしていた。ここ数カ月、この話題は多く報じられてきた。

 サードパーティCookieの廃止はユーザーのプライバシー保護と広告ビジネスとのバランスを取る上での施策とされ、代替案も含めて検討されてきたが、アドテク業界に対しての影響が少なくなく、代替案に対しても十分なコンセンサスが得られていないことなどが理由か。今後、ウェブパブリッシャーに収益化手段を提供しつつ、さらにユーザーを保護する方法をさらに模索するとしている。

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  • 「Chrome」のサードパーティークッキー廃止が2023年に延期[CNET Japan
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。