中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2023/3/23~3/29]

オープン化するChatGPTと各種サービスの進化 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. オープン化するChatGPTと各種サービスの進化

 OpenAIの大規模言語モデル「ChatGPT」がAPIを公開し、さまざまなサービスがAIを組み込むことが可能になった。ChatGPTは、人工知能による自然言語処理に優れ、文章生成や文章の意図抽出、文書分類などに使用される。APIを利用することで、サービス開発者は簡単にChatGPTを統合することができ、文章生成を含めたさまざまな自然言語処理タスクを自動化することができる。例えば、顧客対応にChatGPTを利用することで、自動応答システムを構築することができる。また、ChatGPTは自然言語処理における最新技術の1つであり、そのAPIを使用することで、サービスの価値を向上させることができる。このAPIは、自然言語処理の専門知識を持たないエンジニアや開発者でも簡単に利用できるため、開発コストを削減することができる。ChatGPTのAPI公開は、AI技術を活用したサービスの拡大に貢献することが期待される。

 また、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は「ChatGPTを開発したことを『少し怖い』と思っている」と明かした(BUSINESS INSIDER)。これは2023年3月16日に米国ABCニュースのインタビューに答えたもの。さらに、「AIは多くの仕事に取って代わる可能性があるが、『もっと良い仕事』につながる可能性もある」という。「AIを開発する理由がそもそも、我々の生活にインパクトを与え、我々の生活を良くするためだったという観点からいうと、人類がこれまで開発してきたなかで、最も偉大なテクノロジーになるだろう」とも述べている。

 なお、この記事の一部はChatGPTによって出力されたテキストを編集して採用した。

ニュースソース

  • 「ChatGPT」、プラグイン対応でWeb検索や外部サービス連携可能に[ケータイWatch
  • OpenAIのアルトマンCEO、ChatGPTは「少し怖い」…多くの仕事を奪うかもしれないが「もっとよい仕事につながる」[BUSINESS INSIDER

2. アドビの生成型AI戦略

 アドビは、生成型AIの技術を用いたクリエイティブプロセスの効率化や新しい表現の可能性を拡大することを目指し、積極的にAI技術の開発・提供に取り組んでいる。先ごろ開催された「Adobe Summit 2023」において、AI技術を活用した新製品の発表や、既存製品のAI機能の強化など、AI技術を中心とした戦略を発表している。

 「Project Path Wise」はユーザーの体験の流れを計画・可視化する「Adobe Journey Optimizer」上で実行されたシミュレーション機能だ。「Project Custom Clips」はオーディエンスに対して印象の強い動画になっているのかどうかをAIが判断し、編集できる。

 最大の注目は「Firefly」だ。「教師データの権利関係がクリアなものを使っている」とされる画像生成型AIだ。また、「将来的には、ユーザーが所持する画像でFireflyをトレーニングし、固有の画像を生成できるようにする」としている(ITmedia)。

 それぞれの開発意図については「アドビ日本法人の製品エヴァンジェリストがAdobe Summitの発表を国内市場視点で解説」(クラウドWatch)が詳しい。

 生成型AIの課題はブラックボックスであるがゆえに生じる問題である著作権や学習したデータの真偽ということだ。これをいかにクリアにしていくかが技術の差別化とともに、開発側の注力するポイントになるだろう。

 なお、この記事の一部はChatGPTによって出力されたテキストを編集して採用した。

ニュースソース

  • アドビ「Firefly」を超える「次世代AI機能」は何になる?開発中機能がお披露目:Adobe Summit 2023[BUSINESS INSIDER
  • アドビの新機能「Firefly」体験で分かる実用性と生成型AIの本質:Adobe Summit 2023[BUSINESS INSIDER
  • Adobe、画像生成AI「Adobe Firefly」発表 商業利用に特化[ITmedia
  • アドビ日本法人の製品エヴァンジェリストがAdobe Summitの発表を国内市場視点で解説[クラウドWatch
  • 「Adobe Firefly」でできることは? 他社のIPを侵害しないシステムとは? ベータ版の“わかっていること”をチェック[ケータイWatch
  • Adobeが描くジェネレーティブAI戦略は、「Firefly」だけじゃわからない[TECHNO EDGE

3. 米公聴会で質問攻めにあうTikTok

 TikTokの周受資CEOは、米国議会の公聴会で証言をした。この公聴会は、米国政府が中国企業による米国の個人情報の収集に関する懸念を受けて、TikTokに対する調査を進めていることの一環である。公聴会では、周CEOに対して、TikTokがどのようにユーザーデータを収集しているのか、そして中国政府がアプリの運営に関与しているのかどうかについて、議員たちから厳しい質問が投げ掛けられたと各メディアが報じている。

 周CEOは「TikTokはユーザーデータを収集しているが、それが個人を特定する情報ではなく、アルゴリズムの改善やセキュリティ対策のために使用されている」「TikTokは中国政府とは全く関係がない民間企業である」とも述べた。しかし、ユーザーデータの扱いや、それが中国政府に利用される可能性について、議会の疑念を十分に払拭できなかったようだ。

 基本的に、世界中で多くのユーザーがいる人気サービスにおいて、ユーザーデータがどのように管理されているかは重要な問題である。さらに、米中の政治的な緊張関係が高まっていることを示す1つの象徴でもある。

 なお、この記事の一部はChatGPTによって出力されたテキストを編集して採用した。

ニュースソース

  • TikTokのCEOを厳しい質問攻め、米公聴会での初証言に見る5つのポイント[CNN
  • TikTokはユーザー情報を中国政府に渡さない--CEOが米議会で証言へ[CNET Japan
  • TikTok禁止でアルファベット、メタらの株価が56兆円急騰する可能性[Forbes JAPAN
  • なぜTikTokは、米議会で真剣に議論され、禁止されようとしているのか?[Forbes JAPAN

4. ChatGPTの活用事例

 ChatGPTの利用方法について、さまざまな例が試されているが、仕事に役立ちそうな例を紹介しておく。

 ダイヤモンド・オンラインでは「ChatGPT『仕事活用』入門講座!」と題して、利用をするうえでのハウツウを交えて紹介している(ダイヤモンド・オンライン)。活用方法として、「原稿執筆依頼文の作成」「動画の文字起こしテキストからの文章の要約」などを試している。また、記事執筆にあたってのリサーチとして「顧客満足度が高い企業を10社ピックアップしてもらい、興味のある企業の強みを聞いてみる」ということも試している。ポイントは的確な指示ができるかどうかだと指摘する。

 ITmediaでは「ChatGPTと就職面接の練習をしたら?」という記事を公開している(ITmedia)。面接のロールプレーイングをするだけでなく、評価も述べてくれる。なかなかやるなという印象だ。

 最後に、国会で岸田総理大臣への質問をChatGPTで作成したという例が報じられている(ITmedia)。質問をしたのは立憲民主党の中谷一馬議員で「あなた(ChatGPT)が日本の衆議院だとした『新型インフルエンザ対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案』に関して岸田文雄総理大臣へ国会でどんなことを質問すべきだと考えていますか」というプロンプトに対して得られた質問を読み上げている。それが「改正法案に関して、地方自治体や医療現場の関係者の意見を十分に反映させているのかどうか、そして改正法案に対する関係者の反応について教えてください」というもの。

 はたして、人間の質問力は磨かれるのか、それとも低下するのか。

ニュースソース

  • ChatGPT「仕事活用」入門講座!大量リサーチ、プロジェクトの計画作成も朝飯前[ダイヤモンド・オンライン
  • ChatGPTと就職面接の練習をしたら? 柔軟な対応力を鍛えて“お祈り”を回避できるかも[ITmedia
  • ChatGPTが国会にも登場、質問案を作成 岸田総理 vs.AI で答弁の比較も 誠実なのはどっち?[ITmedia

5. ソフトバンクの技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」

 ソフトバンクは、技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」を東京・竹芝で開催した(ケータイWatch)。展示のカテゴリーは「次世代ネットワーク」「HAPS」「自動運転」「次世代電池」「量子技術」「次世代コンテンツ」の6つである。なかでも「HAPS」「自動運転」はソフトバンクがこれまでも取り組んできた技術キーワードでもある。HAPSは「現在は実用化を視野に入れた開発が進められている」という。また、「自動運転」は特定の条件下での自動運転を認める「レベル4」が解禁されるものの、「コストや安全性など、課題は山積している」ともいう。

 国勢競争力も求めら分野であり、一朝一夕には実現しない技術ばかりだが、年々、進歩を感じられる展示会である。

ニュースソース

  • 次世代ネットワークや自動運転など、ソフトバンクの技術展「ギジュツノチカラ」を見てきた[ケータイWatch
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。