中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2024/2/15~2/21]

東京都内でロボット配送が始まる ほか

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1. 2024年選挙におけるAIの欺瞞的使用に対抗するための技術的合意

 2024年は世界的な選挙イヤーであると言われている。米国の大統領選挙のみならず、各国の政治に影響のある選挙が多数予定されているからだ。一方、SNSの普及や生成AIの性能向上によって、偽情報がこれまでにない勢いで拡散される危険が出てきている。すでに、いくつもの偽情報、偽動画、偽音声などが拡散されたことが問題となっていることはこのコーナーでも紹介してきた。

 そのようなことを踏まえ、グーグル、アマゾン、マイクロソフトなどの大手IT企業20社が連携して、選挙におけるAIの不正利用対策に取り組むことを目指す「AI Elections accord」を開始した(Impress Watch)。「2024年選挙におけるAIの欺瞞的使用に対抗するための技術的合意」を発表し、これを遵守するとしている。

 もちろん、こうした技術を提供する大手企業の努力は必要であるが、それによって「欺瞞的使用」のリスクが解消されたわけではない。あくまでも警鐘にすぎない。抑止のための技術開発、法的な規制、そして何よりも情報の受け取り手であるわれわれ自身が留意をしていく必要がある。

ニュースソース

  • グーグルやMS、アマゾンなど20社、選挙へのAI利用対策で連携[Impress Watch

2. 東京都内でロボット配送が始まる

 Uber Eats Japan、三菱電機、Cartkenの3社は業務提携をすることで、自律走行ロボットを使用したオンラインデリバリーサービス提供に向けて動き出した(Impress Watch)。3月中には東京都内の一部地域でサービスを開始するとしている。このロボットは「高度なAIモデルやアルゴリズムを活用した物体検知技術や自律走行性能、遠隔操作機能を備える。三菱電機が日本仕様へ適合させることで、道路交通法に定める遠隔操作型小型車として最高時速5.4kmで歩道等を走行」ということだ。

 また、NTTコミュニケーションズも、東京・西新宿エリアで、遠隔操作型の自動配送ロボットを活用したフードデリバリーおよびラッピング広告のサービス検証を開始する(ドローンジャーナル)。

 いずれも、人通りが多い地域での運用ということで、機器が目的を達成する機能を持つかというだけでなく、社会実験的な意味合いもありそうだ。

 一方、ドローンと電気自動車(EV)を使った配送サービスはいまひとつだったようだ。千葉県勝浦市の商工会関係者らで組織する市商店街活性化推進協議会が、商店街の活性化と買い物弱者支援を目的に2023年1月から始めたサービスは「客からの注文を受けての飛行実績はゼロ。一方、EVでの配達は23年12月時点で864件だった」とし、中止になることが報じられている(毎日新聞)。こうした失敗事例も研究しないと、技術的な先進性だけでは定着しない。

ニュースソース

  • Uber Eats、都内で3月からロボット配送開始[Impress Watch
  • NTT Com、西新宿エリアで配送ロボットを活用したサービス検証を開始[ドローンジャーナル
  • 1年たっても注文ゼロ…ドローン配送、買い物弱者支援目指すも中止へ[毎日新聞

3. OpenAI、テキストから高品質動画を生成する「Sora」を発表

 OpenAIがテキストから最長1分の動画を生成できるAIモデル「Sora」を発表した(Impress Watch)。すでに多くのメディアやSNSでも報じられているので、デモ動画を見た人は多いのではないか。あくまでも作例なので、それなりの時間とノウハウをかけて制作されたものだろうが、かなりのレベルにまで達していると言ってもよいのではないか。CMや映画などはこうしたツールで作られるようになるのは時間の問題だ。しかし、気になるのはフェイク動画の濫造だ。すでに、生成AI由来かどうかを見分けるメタデータの技術などもあるが、どれほどの抑止効果があり、実効性があるのかは、多くの人が自由に動画を作れるようになってからになるのだろう。

ニュースソース

  • OpenAI、テキストから1分の高品質動画を生成する「Sora」[Impress Watch

4. アドビ、Acrobatにも生成AI機能を実装

 アドビはクリエイター向けツールにAI機能を追加してきたが、さらに幅広いユーザーがいるPDFファイルの閲覧・編集ソフトウェアの「Acrobat Reader」「Acrobat」にも生成AI機能である「AI Assistant」を追加した。有料プランで利用できる(ITmedia)。主な機能はPDFの内容の概要をまとめたりすることや、PDFの内容をもとに質問に答えることだ。これだけなら、これまでも生成AIのサービスをうまく使えばできそうだが、将来の計画も発表している。それは「AIによる文章の作成、編集、書式設定などの支援」「共同編集による他のユーザーからのフィードバックやコメントを分析し、修正箇所を提案」といった機能だということで、校正をやりとりする執筆者や編集者にとっては期待が高まる機能になりそうだ。

ニュースソース

  • PDFソフト「Adobe Acrobat」にも生成AI 会話で要約や文章作成支援 将来は共同編集者のコメントを参考にした修正提案も[ITmedia

5. KDDIとトヨタ自動車が「危険地点を見える化するソリューション」を開発

 KDDIとトヨタ自動車は連携し、「人流/車両のビッグデータ」や「過去の事故情報などのオープンデータ」をAIで分析し、危険地点を見える化するソリューション「危険地点スコアリング」を提供する事業に取り組む(ケータイWatch)。これは「KDDIが保有するユーザーの位置情報や属性情報、トヨタ自動車が保有する車両や車速などの通行データ(プローブデータと車載ネットワークデータ)、道路特性や交通事故発生数などのオープンデータをAI分析し、危険地点をスコアリングし可視化する」というものだ。また、「自動車と自転車の位置情報を活用し、互いに接近を通知する『Vehicle to Bike』」という試みもあり、「互いのスマートフォンにアプリをダウンロードし立ち上げておくと、相手の乗り物の種類と接近している情報を画面やプッシュ通知、音で知らせる」という。

 いずれも、多くの車両、多くの人が何らかのセンサーとなるデバイス(スマートフォンや車載システムなど)を使っているからこそ実現ができると思われるもので、それらの情報を連係させて安心・安全に繋げていくというのは今後に期待できるアプローチだ。

ニュースソース

  • KDDIとトヨタが「安心安全なモビリティ」を目指し「危険地点スコアリング」を提供へ、出会い頭事故防止などのソリューションも[ケータイWatch
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。