フリーランスの“自由と仕事”、考えてみた
第4回
<フリーランスの節税>確定申告に備える!日頃の簡単な税金対策
2017年10月20日 06:00
かつての終身雇用の考え方は薄れ、会社に属さずに仕事をするフリーランスは年々増加している。雇われることを辞めたフリーランスだからこそ手に入る“自由と仕事”とは? また、それを手に入れるために何ができるのか? ギークス株式会社にてフリーランスエンジニアの営業支援やキャリア相談などの経験を持つフリーライターの「おいわ」氏が6回にわたり解説する。
フリーランスの“自由と仕事”、考えてみた:各回テーマ |
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第1回:<フリーランスの心配>トレンドに取り残されないためのスキルアップ方法 |
第2回:<フリーランスの仕事獲得>未経験分野で仕事を獲得するために必要なこと |
第3回:<フリーランスの成長>10年後の成功につなげる効率的な案件選び |
第4回:<フリーランスの節税>確定申告に備える!日頃の簡単な税金対策 |
第5回:<フリーランスの経費>どこまで経費にできる?――交通費、接待費、車…etc. |
第6回:<フリーランスの優雅な休日>長期休暇を自由に過ごすためにできること |
難しそう、面倒、時間や手間がかかる、と思われがちな税金対策ですが、基本的なポイントを抑えて普段から準備することで、年間税額が数十万円単位で変わってくることもあります。
今回は、フリーランスなら抑えておきたい、誰でも簡単にできる税金対策について考えていきます。
所得税の基本をおさらい
フリーランスが税金対策を考える際に最も重要なのは所得税です。まずは、所得税額がどのように決まるかをおさらいし、税金対策の基本的な考え方を確認しましょう。
所得税額は以下の式で決定しています。
所得金額=収入-必要経費
所得税額=(所得-各種所得控除)×税率
納税額=所得税額-税額控除
つまり、“必要経費を漏れなく計上し、所得金額を抑えること”。
“所得控除を活用し、所得税額を抑えること”、この2点が税金対策の基本です。
必要経費を漏れなく計上する
事業遂行のための出費は必要経費として漏れなく計上しましょう。そして必ず領収書を保管しておいてください。
当たり前のことですが意外にも、日々帳簿につけるのが億劫で諦めてしまった、領収書を紛失してしまった、などの理由で全てを計上しきれていないフリーランスは少なくありません。
手間が省けるクラウド会計+クレジットカード・交通系ICカード
漏れなく経費計上するためにも、クラウド会計ソフトを利用することをおすすめします。さらに、事業用の銀行口座やクレジットカードを作成し、クラウド会計と同期すれば大幅に入力の手間が省けます。経費になる出費は、全てこの事業用のクレジットカードで支払いをすれば、自動的に入力が済んでしまうからです。さらに、Suica、PASMO、ICOCAなどの交通系電子マネーも同期が可能になっています。
こうすることで、少額で面倒くさい交通費も簡単に入力が完了し、漏れのない記帳の手助けをしてくれます。
青色申告を選択しましょう
税金対策をするならば、青色申告を選択することをお勧めします。
以前は白色申告には記帳の義務がなく簡単に済ませたい個人事業主に人気でしたが、平成26年の法律改正により白色申告でも単式簿記の提出が義務化され、そのメリットはなくなってしまいました。結局、帳簿を作るのであれば、青色申告・複式簿記を選択し、様々な控除を利用し税金対策ができたほうが断然お得です。
青色申告特別控除:最大65万円の所得控除
経費計上の場合は事業遂行のためとはいえ、支払いをして手元からお金がなくなった分が控除金額となります。しかし、この青色申告特別控除はそういったお金の支払いがなく、お金は手元に残ったまま65万円も控除されるため、とてもインパクトのある税金対策方法です。
ただ、この65万円控除をされるには条件があります。青色申告で、複式簿記による記帳をし、貸借対照表と損益計算書をあわせ、期日内に提出した場合です。
複式簿記や、バランスシートの作成には会計知識が必要で難しいとされていますが、クラウド会計ソフトを利用することで、専門知識がなくても直感的な操作で作成を手助けしてもらえます。
その他、青色事業専従者給与、貸倒引当金、純損失の繰越しと繰戻しなど、青色申告にはいくつかの特典が用意されています。
追加で検討したい税金対策
経費計上の徹底と青色申告での特典を受けた上で、さらなる税金対策を考えるならば、これらの年金や共済への加入を検討しましょう。それぞれの特徴を簡単に紹介していきます。
国民年金基金
国民年金基金とは、フリーランスが別途掛け金を支払うことで、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せした年金を受け取ることができる、公的な年金制度です。
最大掛け金は月額6万8000円(ただし、確定拠出年金に加入の場合は、その掛け金もあわせて月額6万8000円以内)で、この掛け金が全額所得控除となるのです。また、受給額が予め決められた額ですので将来のリスクはゼロと言えるでしょう。
確定拠出型年金
個人型確定拠出年金は、毎月支払う掛け金で保険、投資信託など金融商品を運用する制度です。国民年金基金と同様に、掛け金が全額所得控除となることや、運用益が非課税であることなど、税金対策の面で魅力的な制度です。一方で、金融商品を扱うため、元本割れというリスクには留意しなければなりません。
小規模企業共済
小規模企業共済は、積み立てを行うことで会社員のように廃業時に退職金を受け取れる公的制度です。この掛け金も全額所得控除となります。
2017年10月現在の予定利率は1.0%と他の金融商品に比べて高くなっていますが、加入期間が20年未満の場合元本割れが起こりますので注意が必要です。
老後資金をなるべく早くから貯蓄することは重要ですし、厚生年金のないフリーランスにとっては、会社員以上に貯蓄の必要性は高いと言えるでしょう。
税金対策の観点からも、貯蓄の方法を見直してみてはいかがでしょうか。
税理士に任せてしまうという選択肢も考えて
税金対策の大切な考え方や、簡単な税金対策を考えてきました。それでも、仕事が多忙で時間が取れない方、帳簿をつけること自体が面倒で気乗りがしない方、または、いざ会計ソフトに入力する際に専門知識がなく不安に感じてしまう方もいるかもしれません。
そんな方は税理士への依頼を前向きに検討しましょう。フリーランスエンジニアが、1年間の仕分けから確定申告まで丸投げして税理士に依頼する場合、費用相場としては10~15万円程度と言われています。
当然、期日内に適切な申告ができますし、さらに税金対策のアドバイスをくれたり、仮に税務調査になった際には手助けをしてくれます。
以上、税金対策について考えてきました。
申告期日の直前にできる税金対策は限られています。損のない確定申告をするためにも、日頃からの収支管理や経費処理、税金対策が重要です。自分に合った方法で確定申告に向き合っていきましょう。
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