フリーランスの“自由と仕事”、考えてみた

第5回

どこまで経費にできる?――交通費、接待費、車…etc.

 かつての終身雇用の考え方は薄れ、会社に属さずに仕事をするフリーランスは年々増加している。雇われることを辞めたフリーランスだからこそ手に入る“自由と仕事”とは? また、それを手に入れるために何ができるのか? ギークス株式会社にてフリーランスエンジニアの営業支援やキャリア相談などの経験を持つフリーライターの「おいわ」氏が6回にわたり解説する。

フリーランスの“自由と仕事”、考えてみた:各回テーマ
第1回:<フリーランスの心配>トレンドに取り残されないためのスキルアップ方法
第2回:<フリーランスの仕事獲得>未経験分野で仕事を獲得するために必要なこと
第3回:<フリーランスの成長>10年後の成功につなげる効率的な案件選び
第4回:<フリーランスの節税>確定申告に備えてできる簡単な税金対策
第5回:<フリーランスの経費>どこまで経費にできる?――交通費、接待費、車…etc.
第6回:<フリーランスの優雅な休日>長期休暇を自由に過ごすためにできること

 前回お伝えしたように、“漏れのない経費計上を行い、所得金額を抑えること”はフリーランスがまずやるべき税制対策の基本です。それでもいざ処理を目の前にしたとき、どこまでが経費になるのかと迷ってしまうフリーランスは多くいます。今回は、経費についての正しい理解と適切な経費計上について考えていきます。

フリーランスエンジニアの経費とは

 一般的に経費とは“事業のために必要な出費”を指します。特にITフリーランスの場合は、以下のような出費は経費として認められるでしょう。

  • 仕事で使うPCや有償ソフトウェアの購入費
  • ミーティングまたは常駐作業へ向かう交通費
  • 仕事用携帯電話の通信料
  • 技術やビジネス関連書籍の購入費
  • 技術セミナーやカンファレンスの参加費用
  • 喫茶店でミーティングをしたときのコーヒー代
  • クライアントの接待にかかった飲食費

一方、残念ながらこれらは経費にはなりません。

  • 商談用のスーツ購入代金
  • 散髪代

 なぜなら、これらは事業にかかわらず私生活でも必要になると考えられるからです。実は、制服や会社ロゴ入りの車など、明らかにビジネスでしか使わないと誰の目から見ても分かるものは経費になりますが、IT業界のフリーランスにはあまり必要のないものでしょう。

 経費にできるか疑問に感じたときは、“この出費は事業遂行のために必要であると、誰の目から見ても明らかか”という判断基準で考えてみてください。

経費か否かは “事業遂行に必要か”で判断

「家事案分」で家賃や電気料金の一部を経費に

 IT業界のフリーランスは、わざわざ仕事用のオフィスを借りている人は少なく、多くは自宅兼オフィスで仕事をしているのではないでしょうか。在宅作業だけではなく、週5日クライアントの開発現場での作業がメインになる場合でも、ときには在宅作業を請けることもあれば、事務作業、営業活動のための書類作り、技術研究などを自宅で行うこともあります。その場合、自宅とオフィスを兼ねていると言えるでしょう。

 このような自宅兼オフィスの家賃や電気料金などは、事業で使用する比率分を経費として計上できます。この考え方を「家事案分」といいます。案分比率はそれぞれの判断で基準を設定できます。このときも、第三者の目から見て明確な根拠のある比率を作るようにしましょう。

 例えば、賃貸マンションに仕事用デスクを置き、週20時間作業をしているならば、

家賃の案分比率=仕事用デスクが占める面積/部屋全体の面積
電気料金の案分比率=仕事で使う20時間/1週間(つまり168時間)

 このようにどの程度を事業のために使っているかを明確にした計算式で案分比率を決定させます。

自宅で作業する場合は、家賃も一部経費計上できます。※

車は経費になるのか

 一般的には、車やガソリン代についても家事案分で経費計上できます。しかしながらフリーランスエンジニアに限っては、車を家事案分するケースは少ないような気がします。

 私の知りうる限り、仕事の移動手段として車を利用しているフリーランスエンジニアは非常に稀です。IT業界では、荷物は少なくて済みますし、仕事場は都心部に固まっていて公共交通機関の利用がメインになるため、事業で車を利用する妥当性は低いのではないでしょうか。

 もちろん、それでも仕事の移動に車を利用している場合には、上記の家賃や電気料金の計算と同様に案分比率を決定して、経費計上しましょう。

経費計上しすぎても問題

 経費計上ができて税金対策になるとはいえ、お金を使っていることには変わりありません。この出費は事業発展に必要かを考え、お金の使いみちを決めていく、という原点を忘れないでいたいものです。

 さらに、あまりにも所得額を減らしすぎると、社会からはあなたの事業は利益が上がらず、あなたの手取りも少ない、と見られてしまう危険性があります。それは、特にローンの審査に大きく影響します。住宅ローンや学資ローン、事業拡大のために借り入れをするなどの可能性があるならば、なおさら収支バランスに注意しなければならないでしょう。

何でも経費計上してしまうのは危険です。※

 このように事業にまつわるお金を自分で管理することは、フリーランスだからこそできる経験です。メイン事業とする技術の仕事以外に、会計管理という新しい仕事が加わることで、『ビジネス意識が高まり、会社員のとき以上に仕事のやりがいを感じるようになった』というフリーランスエンジニアの声をよく耳にします。経費計上や会計管理を身に付け、経営者視点に立ったときにこそ見えてくる仕事を前向きに楽しめるといいですね。

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geechs magazine編集部

フリーランスエンジニア専門エージェントであるギークス株式会社が運営するITエンジニアの気軽な情報収集メディア『geechs magazine』。本記事の執筆者「おいわ」は、年間1000名以上のフリーランスエンジニアの営業支援やキャリア相談と、マーケティング業務の経験を生かし、現在フリーランスライターとして働き方に関する記事を執筆。