インボイス制度に備える

10月以降「インボイス残業」が発生する可能性!? 企業の追加業務負担、日本全体で1.4億時間/月との試算結果

 法人支出管理サービス「バクラク」などを提供する株式会社LayerXが9月19日、企業が「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」への対応に要する追加の業務負担を独自に試算した結果を発表した。

 「経理だけではなく従業員全般の経費精算などの全社的な影響も大きく、日本全国の企業で推計するとインボイス制度対応で約1.4億時間/月、経理1人あたりでは約1~2営業日分/月の業務負担が新たに発生することが分かった」として、制度がスタートする10月1日以降、「インボイス残業」が発生する可能性を指摘している。人件費に換算すると、日本全国で約3413億円分/月の「インボイス対応コスト」が発生する可能性があるという。

請求書の支払処理1件あたり15分、経費精算の処理1件あたり5分の作業時間が増加

 LayerXが提供する「インボイス制度対応 体験キット」を使った研修を40社へ実施し、200人の参加者が作業に要した時間をもとに請求書の支払処理と経費精算の処理に関わる平均時間を算出。インボイス制度への対応によって、請求書の支払処理で15分/1件、経費精算の処理で5分/1件の作業時間が増加するとの結果になった。

経理1人あたり約1~2営業日/月、従業員1人あたり約7分/月の負担増

 次に、作業時間の増加と企業規模ごとの請求書枚数、経費明細件数・領収書枚数と企業数、従業員数のデータを用いて、インボイス制度対応によって増加する企業の業務負担を算出した。経理1人あたり約1~2営業日/月、非経理の従業員1人あたり約7分/月、日本全体で約1.4億時間/月の負担増になるとしている。

国内で約3413億円/月の人件費が「インボイス対応コスト」として発生する可能性

 さらに、厚生労働省発行の賃金統計をもとに、インボイス制度対応にかかる人件費を算出したところ、日本全国で約3413億円/月の人件費が「インボイス対応コスト」として発生する可能性があることが分かったという。なお、これはインボイス制度対応に関わる業務を手作業で行った場合だとしている。

 LayerXでは、全国の税理士・会計事務所などと共同で「企業のインボイス対応力向上プロジェクト」を立ち上げており、インボイス対応事前研修、インボイス制度開始後の業務が体験できる研修キット、制度の解説資料などの提供も行っている。

算出にあたって使用した参照データ