インボイス制度に備える

インボイス制度「対応完了」の事業者は3割未満、期限までに対応予定を合わせても4割~MM総研調べ

インボイス制度への対応状況(出典:MMRI)

 国税庁によると、6月末の時点で、およそ300万の課税事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を済ませたのは8割を超える256万。しかし、インボイス制度に対応するには適格請求書発行事業者の登録だけではなく、ソフトウェアの導入や帳票フォーマットの変更も必要だ。株式会社MM総研(MMRI)が8月21日に発表した「インボイス制度への対応実態調査」の結果によると、適格請求書発行事業者の登録やソフトウェアの導入などを完了し、インボイス制度への対応を完了しているとした事業者は26.8%と、3割以下にとどまるという。

 調査は6月29日~7月3日、経理/会計関連システムの導入決定権者1931人を対象にインターネットを用いて実施。内訳は個人事業主が794人、法人が1137人で、免税事業者・課税事業者の区別はしていない。

 インボイス制度への対応状況(n=1925)は、「対応は完了している」が26.8%、「対応中(期限までに完了)」が13.9%、「対応中(間に合わない)」が5.5%、「今後対応する」が16.4%、「対応するか未決定」が11.3%、「対応するつもりはない」が26.1%だった。なお、「令和3年経済センサス活動調査」における企業等数・従業員数をもとにウェイトバック集計を行っている。

 「対応は完了している」「対応中(期限までに完了)」を合わせると40.6%となる。さらに「対応中(間に合わない)」まで合わせれば46.2%で、約170万事業者にあたると推計されるとしている(令和3年経済センサス活動調査における企業等数をもとに拡大推計)。

 従業員規模別で見ると、個人事業主では「対応は完了している」「対応中(期限までに完了)」「対応中(間に合わない)」を合わせて25.8%、小規模企業(従業員20人以下の法人)で59.3%、中小企業(従業員21人以上300人以下の法人)で79.5%、大企業(従業員301人以上の法人)で89.2%。

従業員規模別インボイス制度への対応状況(出典:MMRI)

 従業員規模別で見たインボイス制度対応への課題(複数回答)としては、多くの事業者が「業務フローが変更になり、負担の増加が想定される」を挙げている。また、個人事業主と小規模事業者は「どのような準備が必要か分からない」、中小企業と大企業は「ランニングコストがかかる」ことを課題としている傾向だ。

 インボイス制度対応ソフトの導入予定(n=557)は、「新規導入」が11.4%、「追加導入」が14.6%、「入替導入」が5.7%、「新規ソフトを検討」が10.1%、「従来ソフトを継続利用」が18.6%、「何も予定していない」が39.6%だった。ソフトウェアの新規導入・追加・入替を予定・検討を合わせると41.8%となる。

インボイス制度対応ソフトの導入予定(出典:MMRI)

 インボイス制度対応を機に新規・追加・入替導入したソフトウェアのベンダーシェア(n=257)は、弥生がトップで37.8%、2位がオービックビジネスコンサルタントで9.2%、3位がミロク情報サービスで6.5%、4位がマネーフォワードで6.2%となっている。パッケージ版とクラウド版では、パッケージ版を新規もしくは利用継続する事業者が5割以上を占めているという。

インボイス制度対応を機に新規・追加・入替導入したソフトウェアベンダー別シェア。なお、「わからない」と回答したサンプルは除いている(出典:MM総研)

免税事業者との取引、「今までと変わらず消費税分を負担する」は24.6%

 インボイス制度施行後の免税事業者との取引方針(n=559、複数回答可)は、「登録事業者になってもらう」が49.9%、「今までと変わらない(消費税分を負担する)」が24.6%、「消費税分の取引価格の減額」が17.6%、「一部取引をやめる」が7.0%、「完全に取引をやめる」が2.0%、「未定」が23.3%だった。

インボイス制度施行後の免税事業者との取引方針。なお、「わからない」と答えたサンプルは除いている(出典:MMRI)