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インボイス制度への対応で大変だと思うこと第1位は「仕入先との取引関係の見直し」~ラクス調査

経理担当者の6割が「業務量が増えると思う」

 インボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始で、請求書を受け取る側の業務量が増えると思う――。株式会社ラクスが実施した意識調査で、そう回答した経理担当者が6割に上った。

 調査は3月18日~23日、経理・財務・会計担当者を対象としてインターネットを用いて実施。有効回答数は977。

 まず、「2023年10月に開始される『適格請求書等保存方式(インボイス制度)』に関する情報について、あなたの状況に近しいものをお選びください」と質問したところ、「名称を聞いたことがあり、概要は知っている」が41.2%、「名称を聞いたことがあり、詳細まで知っている」が21.6%だった。合わせて62.8%の経理担当者は、インボイス制度についてある程度、知識があるとみられる。

 しかし、「名称は知っているが、どのような内容か知らない」が19.4%、「名称も内容も知らない」が17.7%だった。

 また、従業員数別に見ると、従業員100~1999人の企業では「名称は知っているが、どのような内容か知らない」と「名称も名前も知らない」を合わせて32.7%だが、従業員が30~99人の企業では44.6%となっており、11.9ポイントの差がある。

「2023年10月に開始される『適格請求書等保存方式(インボイス制度)』に関する情報について、あなたの状況に近しいものをお選びください」

 「インボイス制度の開始に伴い、請求書受取側としての請求書処理の業務量はどのように変わると思いますか」と尋ねたところ、「少し業務量が増えると思う」が41.9%、「大幅に業務量が増えると思う」が18.9%だったため、業務が増えると思っている経理担当者は60.8%に上る。

 続いて「今までと変わらないと思う」が21.8%、「わからない」が9.8%、「少し業務量が減ると思う」が5.2%、「大量に業務量が減ると思う」が2.4%となっている。

「インボイス制度の開始に伴い、請求書受取側としての請求書処理の業務量はどのように変わると思いますか」

 このように、インボイス制度の開始に伴い業務量が増えると感じている経理担当者は6割に上っている。なぜ、業務量が増えると思っているのか、「具体的にどういった作業が負担になると思いますか」(複数回答)と質問すると、「受領した適格請求書の記載内容の十分性の確認」が74.5%、「取引先が適格請求書発行事業者か免税事業者かの確認」が60.9%、「免税事業者からの請求書の仕入税額控除経過措置の対応」が34.9%、「消費税額の計算」が34.6%、「わからない」が3.5%、「その他」が0.3%だった。この結果についてラクスは、インボイス制度では「今までの経理業務では発生していなかった作業が発生することが浮き彫りになった」と指摘している。

「具体的にどういった作業が負担になると思いますか」(複数回答)

 「適格請求書保存方式(インボイス制度)開始後の仕入税額控除の計算方法について、どの方法を採用する想定ですか」と質問したところ、「請求書等積上方式を採用する」が36.6%、「帳簿積上方式を採用する」が18.2%、「総額割戻方式を採用する」が8.0%だった。しかし、35.5%は「わからない」と答えており、準備が進んでいない可能性がある。

「適格請求書保存方式(インボイス制度)開始後の仕入税額控除の計算方法について、どの方法を採用する想定ですか」

 また、「適格請求書保存方式(インボイス制度)について対応や準備等で最も大変だと思われることTOP3」では、29.0%が「現在の“仕入先”企業様との取引関係の見直し(仕入先が免税事業者の場合の取引関係見直しなど)」と答えている。そのため、ラクスは「多くの企業がインボイス制度開始に伴い、仕入先が適格請求書発行事業者であるかどうかにより取引関係の見直しを行う意向があることが伺える」としている。

 そのほかには「適格請求書保存方式等の新しい書式に対応するためのフォーマット作成や変更」が18.7%、「自社が適格請求書発行事業者になるための税務署等への登録申請手続き」が14.7%となっている。

「適格請求書保存方式(インボイス制度)開始後の仕入税額控除の計算方法について、どの方法を採用する想定ですか」