ニュース

2022年1月の「電子帳簿保存法」改正、 経理担当者の7割超が「詳しく知らない」との調査結果~ラクスが発表

「楽楽精算」では今年11月よりに支援オプションを提供

株式会社ラクス副事業統括部長の吉岡耕児氏

 株式会社ラクスは10月25日、全国の経理担当者を対象に実施した「電子帳簿保存法」の最新法改正についての意識調査の結果を発表した。2022年(令和4年)1月から電子帳簿保存法が改正されることについて「改正知っているが中身はよく知らない」という回答と「改正自体知らない」という回答の合計が約72%を占め、改正に関する認識が低いことが明らかになった。同日実施した説明会では、同社が提供するクラウド型経費精算システム「楽楽精算」における対応に関しても紹介した。

「楽楽精算」で「請求書処理支援オプション」を11月にリリース

 「楽楽精算」では、電子帳簿保存法対応とあわせて、受領請求書の処理業務の効率化を支援する「請求書処理支援オプション」を11月にリリースする。これを利用することで、受け取った請求書の処理業務を一気通貫で効率化することが可能になる。

 請求書を受領した場合、PDFの電子請求書が指定メールアドレスへ送付された場合は、自動的にアップロードが可能。紙の請求書の場合は、複数枚の一括スキャンが可能で、AI-OCRにより高精度でデータ化することで、手入力の手間、入力ミスを削減する。その後の承認作業についても、手入力による入力ミスを削減し、申請者への確認や修正、差戻しの手間を削減する。請求書データは、経理担当者が承認すると、連携する会計ソフトへ自動仕訳が行われ、作業の手間を軽減する。受け取った請求書の処理業務を一気通貫で効率化を実現する。

 「私たちがリリースするオプションを利用することで、手作業でかかっていた時間から66%の削減が実現する。これまで600時間かかっていた作業時間が200時間に削減する見込み。これまで紙の請求書は1枚ずつアップロード、電子請求書は手動でアップロードしていたものが、紙はフォーマットによらず複数枚一括で、電子は自動でアップロードといった作業負担軽減が実現し、さらにAIーOCRを使ってデータ連係といったことが実現することで大幅に作業が効率化できる。」(ラクス 副事業統括部長の吉岡耕児氏)

電子帳簿保存法の改正内容が浸透していない状況

 大きな影響がある電子帳簿保存法改正だが、ラクスが実施した意識調査では、改正の詳細を知らない経理担当者が多い実態が明らかになった。今回の調査は今年9月、全国の財務・会計・経理担当者を対象に実施。1009件の有効回答を得た。

 「令和4年1月の電子帳簿保存法の改正内容について知っていますか」という質問に対しては、「法改正があるのは知っているが中身はよく知らない」が59.7%。「知らない」が12.6%。「法改正の中身についてよく知っている」が27.7%だった。

 「今回の調査では、電子帳簿保存法の改正についてよく知っているという人は27.7%で、7割を超す人が詳しく知らないという結果となった。」(吉岡氏)

 さらに、「令和4年1月施行の電子帳簿保存法改正により、PDFで受け取った請求書を紙に印刷して保管することが認められなくなることを知っていますか」と質問したところ、「知らない」が24.1%、「印刷保管が認められなくなることは知っているが詳細までは知らない」が49.3%、「詳細まで知っている」が26.6%だった。

 また、電子帳簿保存法に則った運用をしている経理担当者に絞って同じ質問をしたところ、「知らない」が25.4%、「詳細までは知らない」が43.3%、「詳細まで知っている」が31.3%だった。

 「経理担当者の約73%が改正内容を詳しく知らない、電子帳簿保存法に則った運用をしている人でも約69%が詳しく知らないという回答で、改正内容が浸透していない状況となっている。」(吉岡氏)

 従来の電子帳簿保存法に比べ、令和4年1月施行の改正電子帳簿保存法で大幅に対応のハードルが下がる要件緩和があることについても、「税務署への事前承認申請やスキャナ保存を行う際の定期検査・原本確認などの適正事務処理要件が廃止されることを知っていますか」という質問に対し、全国の経理担当者のうち「改正内容を詳しく知らない」が約78%に上った。電子帳簿保存法に則った運用をしている経理担当者でも「改正内容を詳しく知らない」が約69%となっている。

 電子帳簿保存法に対応する準備がどの程度進んでいるかについては、「令和4年1月より電子帳簿法の要件緩和に合わせて電子帳簿保存法の導入をしたい」と考えている経理担当者は約82.8%だった。だが、実際にどの程度準備を進めているのかについては、「導入したいと思い、すでに動いている」という人は20.1%にとどまった。導入意欲はあるものの、まだまだ準備をしている企業は少ないようだ。

 請求書の発行状況について聞いたところ(複数回答)、「紙で印刷、封入作業を行い、郵送している」が73.4%で最多。次いで「手作業でPDFデータをメールに添付して送付」の22.4%となっている。依然として請求書発行業務が手間のかかる作業となっていることが明らかになった。

 今回ラクスが実施した説明会の前半、TOMAコンサルタンツグループの取締役で中小企業診断士の持木健太氏が、電子帳簿保存法の改正内容について解説。その中で持木氏は「改正スタートが2022年1月となるので、今が準備を進める絶好の時期」と指摘。現段階から対応のための準備を進めていく必要性を訴えた。

TOMAコンサルタンツグループ取締役/中小企業診断士の持木健太氏