清水理史の「イニシャルB」

パスコード入力から30秒! 早くつなげばデータが見えるセキュリティUSBメモリー「Lock U」

BitLockerより手軽でイイかも!

センチュリーのパスコード入力型セキュリティUSBメモリー「Lock U(CSUL16G)」

 以前に比べて利用頻度は落ちてきたものの、それでもあると便利なUSBメモリー。そんなUSBメモリーをもっと安全に、しかも手軽に使えるようにしたのが、パスコード入力ボタンを備えたセンチュリーのUSBメモリー「Lock U(CSUL16G)」だ。BitLockerより手軽で、それでいて利便性も損なわないという、意外に便利な製品だ。

BitLockerの苦手なデータ受け取りに重宝

 最近では、データのやり取りはほとんどクラウドストレージになりつつあるが、それでもUSBメモリーでデータをやり取りすることが、まったくなくなったわけではない。

 文書や写真、動画など、資料のやり取りがその場で完結して、タスクを後に引きずらないのが潔いし、インターネット経由では少し躊躇するGB単位のファイルのやり取りにも苦労しない。例えば、巨大になりがちなプレゼン用のパワポを入れて仕事先に向かう、ということもよくある風景だ。

 とは言え、うっかり置き忘れたときのことなどを考えると、やはりUSBメモリーでのデータのやり取りは怖い。特に「素のUSBメモリー」というのはなかなか不安なもので、公にしても構わないデータならいいが、そんなデータを保存する機会はほとんどない。USBメモリーをなくさないように、外出先のあちこちで常に気を配るくらいなら、そもそもUSBメモリーそのものを使わずに済ませたいと考えることの方が多いはずだ。

 というわけで、安全にデータを保管できるUSBメモリーがあると便利なのは確かなのだが、Windowsの標準機能「BitLocker」を使った方法は、自分のデータを持ち運ぶ分には問題ないものの、相手からデータを受け取る場合に困ってしまう。

 筆者も仕事先などで、重要な資料を大量に渡される機会がたまにあるため、「素のUSBメモリー」と、BitLockerで暗号化したUSBメモリーの両方をカバンに常備しているが、実際に使うのは、たいてい「素のUSBメモリー」の方で、BitLockerで暗号化したUSBメモリーの出番はほとんどない。

 BitLockerで暗号化したUSBメモリーを使いたいのは山々だが、パスコードの入力がネックになるからだ。まさか、相手のオフィスに入り込んでいって、自ら相手のPCを操作してパスコードを入力するわけにはいかないし、かといって相手にBitLockerのパスコードを教えるのにも問題があるからだ。

 そこで今回入手したのが、センチュリーの「Lock U(CSUL16G)」という製品だ。似たような製品はいくつかあるが、本体にパスコード入力用のボタンを備えたUSBメモリーで、設定したパスコードをあらかじめ入力しておかないとデータを参照できないように、保護できる製品となっている。

 製品自体は2016年から存在していたが、今回登場したのは容量が少ない16GB版。Amazon.co.jpでの実売価格も1万1772円(2018年2月28日現在、税込)と、比較的入手しやすくなっている。

製品には取扱説明書と専用ストラップが付属する

USBメモリーとしては大きいが、ボタンは押しやすい

 それでは、製品をチェックしていこう。

 本体はUSBメモリーとしては少し大きめで、サイズは25×79.3×6.3mm(幅×奥行×高さ)となっており、約55gでズシリとした重さを感じる製品となっている。

 インターフェースはUSB 3.0で、本体のキャップを取り外して使用するタイプ。逆側にはストラップホールが備え付けられており、同梱のストラップを付けて首からぶら下げることもできる。

 容量は16GBで、対応OSは、Windows 10/8.1/7/Vista、MacOS X 10.13.2/10.12.6/10.11.6/10.10.5/10.9.5/10.8.5/10.7.5となっており、標準時のフォーマットはexFATとなっているが、PCからフォーマットすることでNTFSやHFS+でも利用可能だ。

 パスコード入力用のボタンはラバー製のカバーで覆われており、表面はソフトだが、押し込んでみるとボチッという感じの若干固めのタッチとなっている。

 本体サイズが若干大きい印象があったが、実際に使ってみると、ボタンを押すときに本体をホールドしやすいのがメリット。逆に、これ以上小さかったらボタンが押しにくくなりそうで、ちょうどいいバランスと言えそうだ。

正面
側面
背面
USBコネクターのカバーを取り外したところ

手元でパスコードを入力してから接続するとデータが見える

 実際の使い方を見ていこう。

 本製品は、何もせずにそのままPCに接続しても認識されないため、あらかじめボタンでパスコードを入力してロックを解除しておく必要がある。

 本体にある鍵のマークのボタンを押すと、内蔵バッテリーから電力が供給され、パスコード入力モードに切り替わる。この状態で、パスコード(6~15桁)を入力し、再び鍵マークのボタンを押すと、グリーンのランプが点灯してロックが解除される。

 この状態が30秒間続くので、その間にPCに接続すれば、通常のUSBメモリーと同じようにリムーバブルドライブとして認識され、ファイルの読み書きが行える。

【何もせずに装着した場合と、ロックを解除して装着した場合】

 PCに装着した状態でボタンを操作するのではなく、単体でロックを解除できるのがポイントだ。PCに装着した状態では、USBポートの場所や方向によってボタンが操作しにくい場合があるが、本製品は、そういった不便さとは無縁だ。

 このため、冒頭で触れたBitLockerの難点、つまりほかの人にデータを入れてもらう場合でも、本製品なら苦労しない。

 手元でポチポチとロック解除操作をして、グリーンのランプが点滅した状態で相手に渡し、PCに接続してもらえばいいわけだ。接続後はPCから取り外すまでロックは掛からない。

 ロック解除状態までの時間は30秒なので、例えば、相手のPCが別フロアにある場合などは間に合わない可能性があるが、そんなときは、その場でワンタイムのパスコードに変更してしまえばいい。

 BitLockerと違って、本製品はボタン操作でその場で簡単にパスコードを変更することができるため、相手にワンタイムのパスコードを伝え、PCの前で操作してもらい、データ保存後、自分の手元に戻ってきたタイミングで、再び別のパスコードに切り替えればいいわけだ。

 欲を言えば、ロック解除の状態の時間をカスタマイズできたり、特定の操作で一時的に時間を延長できたりすると完璧だが、現状の機能だけでも運用の仕方で十分にカバーできそうだ。

 ちなみに、データはAES256ビットで暗号化されて保存され、設定したパスコードを10回ミスすると、データが自動的に消去されるようになっている。

 このため、パスコードを忘れると、データが失われる可能性もあるが、USBメモリーの場合、持ち運びなど、データを一時的に保存しておくためのものなので、むしろ強制消去くらいの方が潔い印象だ。

予想以上に使いやすくて速度も十分

 以上、センチュリーのパスコード入力型セキュリティUSBメモリー「Lock U」を実際に使ってみたが、予想以上に使いやすい製品という印象だ。16GBのUSBメモリーとしては高価だが、これでデータを安全に持ち運べることを考えれば、投資としては悪くない印象だ。

 CrystalDiskMark 6.0.0の結果も下の通りで、暗号化されている割りには速度的な不満もない。まだまだUSBメモリーを利用する機会が多い人であれ、購入を検討する価値がある製品と言えそうだ。

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清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。