清水理史の「イニシャルB」

「光だけ」でホントに永続動作!Wi-Fiカメラ「DVR-SL1」を試す、電源もネットも完全ワイヤレスなので「置くだけ」

室内照明だけでもバッテリー減る気配なし!

 ハンファQセルズジャパンから発売された「DVR-SL1」は、Wi-Fiによるネットワーク接続だけでなく電源供給においても、完全ワイヤレスを実現したWi-Fiネットワークカメラだ。上部に搭載されたソーラーパネルで作った電力を内蔵のバッテリーに蓄えて動作し、スチール製のカバー一体型筐体とあわせ、屋外のどこへでも設置できるようになっている。その実力を検証してみた。

ハンファQセルズジャパンの太陽光充電対応Wi-Fiネットワークカメラ「DVR-SL1」

屋内だとバッテリー切れ……、ないじゃん全然!

 いやあ、スゴイ。全然、バッテリー切れで止まる気配が、ない。

 当初は「室内のLED照明下だと、〇日くらいでバッテリー切れ」などと、本文中で触れられればよさそうだと、テストを兼ねて室内へ設置して稼働させていたのだが、ほぼ5日を経過した現在でも、バッテリー残量は100%。

 全く、バッテリーが減る気配がない……。

室内(LED照明下、夜間消灯)で連続運用してみたが、4日と23時間が経過した状態でもバッテリー残量は100%。100%以外の数値を見たことがないので、バグではないかと心配したほどだ

 DVR-SL1は、200万画素のCMOSセンサーを搭載したWi-Fiネットワークカメラだ。2.4GHz帯のIEEE 802.11n/g/bのみの対応とはなるものの、Wi-Fiに接続できる点は通常のネットワークカメラと同等だが、最大の特徴は、外部電源も不要な“完全ワイヤレス”を実現できる点にある。

 本体には6800mAhと大型のリチウムバッテリーを内蔵している上、本体上面に7×10cmほどのソーラーパネルを搭載しており、ここで発電した電力を内部にため込んで、撮影や通信に利用できるようになっている。

 従来のネットワークカメラは、ワイヤレスと言ってもケーブルが不要なのはネットワーク部分だけで、結局のところ電源供給のためにケーブルを接続したり、いったん取り外してバッテリーを充電したりする必要があったため、設置できる場所が限られていた。

 これに対して本製品は、ネットワークに加えて電源でも完全ワイヤレスを実現できているため、太陽光充電のための光源が確保でき、かつWi-Fiの電波が届く範囲であれば、より自由に設置場所を選ぶことが可能となっている。

IP55の防水・防塵性能

 それでは実機を見ていこう。本体がブラックとホワイトの2モデルのうち、今回は後者のホワイトモデルを利用した。

 前述したように、本体上面にはソーラーパネルが配置されているが、その周りを囲っているカバーはスチール製で、手に持つとズッシリと重い(本体のみで835g)。

 本製品は、屋外での利用が想定されているため、このカバーによって本体を風雨から保護するようになっているわけだ。

 防水・防じん性能はIP55で、粉じんに関しては侵入の防止および若干の侵入でも正常な動作が可能とされる。水に関しても、あらゆる方向からの直接噴流に耐え得る設計だ。

 これなら、玄関先など屋根が確保できる場所以外でも、例えば駐車場や家の脇、窓の外、ベランダなど、さまざまな場所へ設置できるだろう。

 なお、固定には付属の台座を利用する。台座をタイラップまたはネジ留めで固定し、そこに本体を固定する(六角レンチが必要)かたちとなる。重量が重いため、しっかりと固定する必要がある点には注意が必要だ。

正面
背面
上面
底面

Wi-Fi環境に左右されずに利用可能

カメラをアクセスポイントとして設定し初期設定する方式

 セットアップは簡単で、AndroidおよびiOS向けに提供される「Doby SmartCamera」アプリを使って実行する。

 まず、底面側にあるカバーを取り外して、付属のUSBケーブルで本体バッテリーを1時間ほど充電した後、Wi-Fiボタンを長押ししてセットアップモードに移行する。

 この状態で、本体がWi-Fiアクセスポイントとして稼働するので、スマートフォンのWi-Fi接続先をカメラのSSIDに変更する。その後、アプリから、カメラ名と接続先アクセスポイントのSSIDおよびパスワードを入力するだけだ。

 本製品は、カメラとスマートフォンの接続に中間サーバーを利用するタイプとなっており、家庭内ネットワーク側の設定は一切不要だ。カメラがサーバーへと接続し(カメラ内部のUIDをアカウントとして利用)、そこを中継点として、同じくサーバーに接続したアプリとの間で、情報をやり取りする。

底面側のカバーを開けると、充電コネクタ、電源スイッチ、Wi-Fiボタンが姿を現す

 最近の家庭用のネットワークカメラは、ほとんどがこの方式となっており、ルーターのポート開放などの設定は不要だ。

 過去に本連載でも取り上げた通り、ネットワークカメラのセキュリティ上の問題が話題になった記憶も新しい。ただ、かつてのネットワークカメラには明らかな脆弱性があり、それを悪用されていたことが原因だった。本製品にも今後、こうした脆弱性が見つからないとは言い切れないものの、現状はどのメーカーの製品も同じような方式を使っていることを考えると、メーカーを信頼するしかないだろう。

 ちなみに、アプリの詳細情報からも分かる通り、本製品の開発元は中国のCylanで、中身や利用するクラウドサービスは、同社が展開するClever Dogブランドのものとなっている。

 製品情報には、AndroidとiOS向けのアプリのみが提供されるとされているが、Clever Dogのウェブページからは、Windows用クライアントもダウンロード可能だ。試しに使ってみたが、問題なくカメラへ接続することができた。

Windows用のアプリも利用できるようだ

熱感知センサーで録画を開始

 カメラは、200万画素のCMOSセンサーとなっており、1280×720ピクセルのH.264動画を撮影可能となっている。カメラは左右180度、上下90度の範囲で調整可能だが、すべて手動での調整となり、遠隔操作などで向きなどを変えることなどはできない。画角が90度とさほど広くない(と言うより一般的な製品より狭い)ので、カメラの方向を慎重に調整して、ピンポイントで撮影場所を狙う必要があるだろう。

 撮影した動画は、32GBの本体メモリーに保存されるようになっており、最大で約5時間分の動画を保存できる。容量が上限に達した場合は、古いファイルから自動的に上書きされる仕様だが、動画をダウンロードして取り出すことも可能となっている。

 撮影は、動体検知による自動撮影、もしくはアプリからの手動撮影の2種類のみとなる。動体検知の場合は30秒間動画が自動的に録画されると同時に、アプリをインストールしたスマートフォンに対して通知が送られるようになっている。

 冒頭で、バッテリー駆動時間の長さについて触れたが、本製品が長時間駆動可能なのは、この部分が主な理由となる。

 アプリから手動録画した場合を除く、通常時の録画は動体検知のみとなっており、動画の撮影時間も30秒で固定される。しかも、この動体検知は、本体上部にある熱検知(赤外線)センサー(PIR)によってのみ、録画が開始されるようになっている。

前面にある熱検知センサーで常時監視し、反応があった場合のみカメラでの録画を開始する

 一般的なネットワークカメラであれば、基本的にはカメラで撮影した映像を解析して、動画の中に動体があるかどうかを判断する仕様だ。このため、録画データを保存するしないにかかわらず、カメラでの撮影は基本的に常時オンとなる。

 これに対して本製品では、常時オンとなるのは前面の熱検知センサーのみだ。ここで赤外線による温度変化を検知したときだけ、カメラを起動して録画を開始するわけだ。

 熱検知センサーの検知角度は、カメラの画角である90度より広角の120度。距離は5mとなっており、この範囲であれば、人や動物などを検知して録画できる。

 なお、人であれば、例えば家の前にある3mほどの道路の反対側を歩いた場合でも検知できるが、検知した後、録画が開始されるまでに若干の間があるためか、録画される映像を確認してみると、ゆっくり歩く人なら画面中央から通り過ぎる姿が映っているが、走っている場合や自転車で通り過ぎた場合は、時すでに遅く、肝心の対象者は映らず、風景のみが記録されたものとなってしまう。

 車は、設置場所の影響もあるかもしれないが、検知される場合とされない場合があった。しかしながら、いずれにしても、同様に速度の問題から、横切る場合は、その姿を録画することはできない。

 画角の狭さの影響もあるが、基本的にカメラの前を横切るように通り過ぎる環境での録画には適しておらず、玄関など、カメラに対して近づいたり、遠ざかるような動作の監視用と考えた方がいいだろう。

 夜間に関しては、カメラの周囲に4つ配置されている赤外線LEDが自動点灯するため、暗い環境でも問題なく映像を認識することは可能だ。

アプリではカメラ映像をリアルタイムに表示可能で、表示中も録画される。ただ、画角はかなり狭い
カメラの前をゆっくり通り過ぎてみた。歩いている人なら、カメラの前を横切った場合でも撮影可能

5日間でのべ8時間の日照で永続動作可能

 さて、冒頭でも触れたバッテリーによる動作だが、正式な製品情報では、永続動作には5日間のうちに延べ8時間の日照が必要(5日間で30秒間の撮影を400回する想定)とされている。それも太陽光が前提となっており、ガラスなどが間にある場合の充電効率は、70%とされている。

 このため、日陰や室内での利用には適していないかと考えていたのだが、結果的にはLED電灯下でも、バッテリー残量が100%から下がる状況は確認できず、ほぼ永続的な動作ができることが分かった。

 テスト環境での録画回数は、1日あたり40回ほどだったので、約5日間のテストでは200回ほどと、公称値のテストケースの半分ほどだったことも影響しているが、録画回数が少なければ、必ずしも日光が直接当たるような環境でなくとも、運用は可能と言えそうだ。

 もちろん、長期間の充放電によりバッテリーが劣化していくことは想定できるため、年単位で連続運用した場合の稼働は判断できないが、少なくとも購入時の性能であれば、必ずしも日照状況にこだわることなく、設置場所を選ぶことができるだろう。

やっぱり場所は選ぶ

 以上、ハンファQセルズジャパンから発売された太陽光充電対応のWi-Fiネットワークカメラ「DVR-SL1」を実際に試してみたが、ソーラーパネルと充電池を組み合わせた性能は予想以上だった。電源の心配はほぼ不要で、さまざまな環境で連続動作させることができそうだ。

 しかしながら、熱検知により録画するという仕組みを採用している上、カメラの画角も狭いため、どこを録画したいかをよく考えて設置しないと、肝心の動画に何も映っていないという状況になりかねない。

 先にも触れたが、基本的にはカメラに対して向かってくるか、カメラから遠ざかる対象を録画するためのもので、カメラの前を横切るものの撮影には不向きだ。

 こうした特性から、ネットワークや電源といったケーブルからは解放されたものの、やはり設置場所はある程度絞り込まれることになりそうだ。仮設置してしばらく運用するという試行錯誤をしながら、ベストな設置ポイントを探す必要があるだろう。

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清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。