清水理史の「イニシャルB」

Wi-Fi中継器で2.5GbEが飛ばせる時代に! 広さと速さを両立した常識破りのパワー系中継機 TP-Link「RE900XD」

必ずしも「見通しのいい場所」に置かなくていい高性能も魅力

 Wi-Fi中継機と言えば、小型で速度控えめ……、そんな常識を打ち破る「パワー系」の中継機として登場したのが、TP-Linkの「RE900XD」だ。4804Mbps+1148MbpsのWi-Fi 6と2.5Gbpsの有線LANを利用可能で、2.5Gbps対応のPCやNASを、経路上のどこかで速度を落とすことなく、2.5Gbpsのままエンドツーエンドで中継できる。

「広さ」も「速度」も犠牲にせず

 Wi-Fiの通信エリアを手軽に広げられることから人気の中継機。その中継機に、新たな選択肢が登場した。

 今回、TP-Linkから登場したRE900XDは、言わば「パワー系」の中継機だ。

TP-Linkの高性能中継機RE900XD

 従来の中継機は、コンパクトで、コンセント直付け、目立たないデザインで、性能も最大1201Mbps~2402Mbpsと控えめと、まさに「中継」という裏方に徹する製品が多かった。しかし、本製品は、無線性能はハイエンドWi-Fi 6ルーターと同等の最大4804Mbps、しかも2.5Gbps有線LAN搭載と、スペックの高さを表に押し出した製品となっている。

 つまり、広さの代わりに速度を犠牲にしてきた従来の中継機に対して、広さも速度もどちらも手に入る中継機が登場したことになる。

 そういった意味では、メッシュとの境目が薄くなった印象もあるが(実際、TP-Link OneMesh対応ルーターと組み合わせればメッシュで動作可能)、本製品はセットでなくても、異なるモデル同士でもつながる汎用的な中継機であることが最大の特徴となる。

 「そこそこ高性能なWi-Fiルーターを買ったのに届かない場所がある……」。そんな悩みを抱えている場合は、本製品による中継が効果的だ。中継機としての本分であるエリア拡大を実現できるのはもちろんのこと、親機となる高性能Wi-Fiルーターの性能を中継で無駄にすることのない高速なWi-Fi、有線LAN環境を構築できる。

見通しのいい場所に必ずしも置かなくていい

 では、製品を細かくチェックしていこう。まずはスペックから。

正面
側面
背面
RE900XD
価格1万7490円
CPU-
メモリ-
Wi-Fiチップ(5GHz)-
対応規格IEEE802.11b/g/a/n/ac/ax
バンド数2
160MHz対応
最大速度(2.4GHz)1148Mbps
最大速度(5GHz)4804Mbps
最大速度(6GHz)-
チャネル(2.4GHz)1-13ch
チャネル(5GHz)W52/W53/W56
チャネル(6GHz)-
ストリーム数(2.4GHz)4
ストリーム数(5GHz)4
ストリーム数(6GHz)-
アンテナ内蔵(4本)
WPA3
メッシュ
IPv6-
DS-Lite-
MAP-E-
WAN-
LAN2.5Gbps×1+1Gbps×2
LAG-
USB-
セキュリティ-
VPNサーバー-
動作モード中継器/アクセスポイント(ブリッジ)
ファーム自動更新
LEDコントロール
本体サイズ(幅×奥行×高さ)189×59×200mm

 RE900XDは、Wi-Fi 6ことIEEE802.11axに対応した中継機だ。いわゆるAX6000 8ストリームと呼ばれるクラスの製品で、無線の最大速度は、5GHz帯が最大4804Mbps(4ストリーム、160MHz幅)、2.4GHz帯が最大1148Mbps(4ストリーム、40MHz幅)となっている。

 一般的な中継機は、本体を小型化するために2ストリーム(RADIO2系統、アンテナ2本)対応が限界で、5GHz帯で最大2402Mbps、もしくは1201Mbpsというケースが多かったが、本製品はその倍の4ストリーム対応、しかも5GHz帯だけでなく、2.4GHz帯も4ストリーム対応という豪華な無線構成になっている。

 もちろん、4ストリーム通信のためには4本のアンテナが必要だが、アンテナはすべて本体に内蔵されており、見た目はスッキリとしたデザインになっている。

 さすがにコンセント直結、小型化は不可能で、電源はACアダプター経由、サイズも189×59×200mm(幅×奥行×高さ)とそこそこ大きいが、ホワイト筐体のおかげでインテリアに馴染みやすいデザインとなっており、実際に室内に設置してみると思ったほど目立たない。

 筐体としては、日本仕様として開発されたArcher AX80と共通で、日本の特殊な事情をかなり汲み取った設計が好印象だ。

 有線LANは、前述したように2.5GbpsのLANポートを搭載することが最大の特徴だが、1Gbps対応のLANポートも2ポート備えている。

中継機であるにもかかわらず2.5Gbps対応のLANポートを搭載している

 これにより、単なる電波の中継だけでなく、有線の中継に適した製品となっている。

 例えば、リビングのテレビの近くに設置することで、テレビやゲーム機、レコーダーなど、複数台の有線LAN対応機器をLANケーブルで接続し、無線経由で離れた場所にあるWi-Fiルーターへと接続できるようになる。

 しかも、これら有線でつなぐ機器のうち1台は、2.5Gbpsで接続できる。たとえば、リビングの大型テレビに接続したゲーミングPCを2.5Gbpsで接続できる。中継機+無線コンバーター的な使い方ができるわけだ。

 このような使い方の場合、中継機を置く場所が大型テレビの近くや、据え置き型のゲーミングPCの近くなどに限定されてしまう。中継機は、本来、見通しのいい場所に設置しないと中継効率が落ち、逆に速度が落ち込む原因にもなりかねないが、本製品は高い性能を生かして、必ずしも見通しのいい場所に置く必要がないというのも魅力となっている。

アプリで簡単接続

 実際の使い勝手もいい。スマートフォン用の「Tether」アプリを利用することで、簡単に接続できるようになっており、初期設定のSSIDに接続後、アプリでパスワードを設定したり、拡張したいネットワークとして既存のWi-Fi(2.4GHzと5GHzの両方)を選択したりすることで、簡単にセットアップできる。

イラストを使ったウィザードで分かりやすく接続可能
Wi-Fiの状態や接続クライアントなどもアプリで管理できる

 もちろん、WPSを利用したボタン設定や手動での設定にも対応しているので、さまざまな方式でセットアップできるが、画面の指示に従って設定できるTetherアプリを利用するのが簡単だろう。

 ちなみに、後述するテストでは同社製のArcher AX80と接続しているが、まったく別のメーカーの製品(Unifi Dream Router)との接続もテストしてみたところ、まったく問題なく接続することができた。現在、利用しているWi-Fiルーターが別メーカーの製品や回線事業者からレンタルしている製品の場合であっても、中継機として安心して組み合わせられるだろう。

2.5Gbpsを無駄にしないいろいろな接続が可能

 なお、接続方法だが、本製品は、さまざまなケースが考えられるが、どの方式にしても十分な速度が得られるようになっている。

無線中継

 シンプルに無線のみの中継機として利用した場合でも、4ストリーム4804Mbps対応のおかげで高速な中継が可能。2.4GHzも1148Mbpsと高速なため、複数台の端末を接続しても帯域に余裕がある。

有線接続機器の無線中継

 2.5Gbpsの有線を利用することで、2.5Gbpsの有線でつないだ機器同士を4804Mbpsの余裕の無線中継路で伝送できる。

有線バックホール

 もしも、宅内に有線LANの配線があるのであれば、2.5Gbpsの有線をバックホールにして、2402Mbps対応のPCの無線通信をエンドツーエンドで、ほぼ損失させることなく、伝送することも可能だ。

 4ストリーム4804Mbpsという余裕のある無線帯域と2.5Gbps対応有線のおかげで、さまざまな形態で利用してもワンランク上の速度を実現可能になるのは優秀だ。

パフォーマンスも超優秀

 気になるパフォーマンスも優秀だ。

 まずは、一般的な無線中継機としてのテストが以下のとおりだ。木造3階建ての筆者宅の1階にArcher AX80のみを設置したケースと、3階にRE900XDを設置したケースでiPerf3による速度を計測した。

iPerf3テスト結果
1F2F3F入り口3F窓際
Archer AX80単体上り15801070436380
下り15001350764402
RE900XD+Archer AX80上り15201030638650
下り14801320749728

※サーバー CPU:Ryzen 3900X、メモリ:32GB、ストレージ:1TB NVMe SSD、LAN:Realtekオンボード2.5GBASE-T、OS:Windows 11 Pro
※クライアント Lenovo ThinkBook 13s(AMD RZ616)、Windows 11 Pro

 Archer AX80は高性能なので、単体の結果も3階端で400Mbpsとかなり高速だが、RE900XDを併用することで700Mbps前後とさらに高速化できている。体感としては、同じ階で通信しているような印象で、とても離れた3階で通信しているとは思えない。RE900XDによって、高速な親機の性能が、そのままさらにエリア拡大された印象だ。

 次は、有線を無線で中継した場合の結果だ。1階の構成はArcher AX80に2.5Gbpsの有線接続サーバーと同じ構成だが、3階のRE900XDには無線ではなく有線(USB接続の2.5Gbpsアダプター)でPCを接続している。

iPerf3テスト結果
1F-3F無線中継
RE900XD+Archer AX80上り1210
下り1400

※サーバー CPU:Ryzen 3900X、メモリ:32GB、ストレージ:1TB NVMe SSD、LAN:Realtekオンボード2.5GBASE-T、OS:Windows 11 Pro
※クライアント Lenovo ThinkBook 13s(AMD RZ616)、Windows 11 Pro
※サーバーをArcher AX80に2.5Gbpsで接続し、クライアントを2.5Gbps有線でRE900XDに接続して計測

 結果は下りで1.4Gbpsとかなり高速だ。無線中継で、しかも1階と3階と離れた場所の測定結果とは思えない。1Gbpsの有線の直結であっても900Mbps前後となるので、3階という離れた場所なのに、確実に1Gbpsの有線より速いことになる。

 ここまで無線で実現できるのであれば、もう離れた階まで有線を引き回す必要もなさそうだ。

投資する価値のある中継機

 以上、TP-LinkのWi-Fi 6対応中継機 RE900XDを検証した。据え置き型でサイズもそこそこ大きな製品となっており、価格も実売で1万8000円前後と安くはないが、投資に見合った価値を手に入れることができる製品と言える。

 今までの中継機の概念とは異なる性能重視となるため、単にWi-Fiエリアを広げるだけでなく、高速なWi-Fiを広い範囲で使いたいユーザーにおすすめだ。たとえば、離れた自分の部屋でゲームをするときのために高速なWi-Fiが欲しいといったユーザーには最適だ。中途半端なゲーミングルーターを1台購入するよりは、Archer AX80+RE900XDという組み合わせの方が快適になる可能性が高い。

 広さも速さも、どちらも捨てたくないユーザー向けの製品と言えるだろう。

(協力:ティーピーリンクジャパン株式会社)

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。