清水理史の「イニシャルB」

2.5GbpsにSFP+、PoEも付いて脅威の実売6980円! 話題の爆安スイッチに落とし穴はないか、実際に買って試してみた

2.5Gbps×4(PoE+対応)+10Gbps SFP+×2で実売6980円という爆安価格

 Amazon.co.jpで販売されている低価格のスイッチが一部で話題になっている。

 シンプルな2.5Gbpsのみのスイッチは一般的な製品より1~2割安、2.5Gbps+10Gbpsの6ポートモデルではなんと1/4ほどの価格、PoEモデルに関しては2.5Gbps対応のインジェクターより安いという、格安を超えた爆安価格となっている。価格破壊と言ってもいいFOXNEOの「FNS-1200P」を、今回は実際に試してみた。

5~8千円の爆安スイッチがチラホラ

 Amazon.co.jpに、既存製品の価格レベルを大きく下回るスイッチが出回っている。

 異なるブランド名ながら、販売元はほぼ中国で、スペックも見た目はほぼ一緒なので、おそらく中身は同じ製品だと思われる。2.5Gbps×4ポートに10G SFP+×2ポートという構成で5000~8000円前後という価格帯で、複数の製品が販売されている。

Amazon.co.jpでの2.5Gbps、10Gbpsスイッチの検索結果。似たような低価格製品がズラリと並ぶ

 今回、筆者はFOXNEOというブランドの製品を購入したが、PoE対応の「FNS-1200P」は2.5Gbps×4に10Gbps SFP+×2という構成で、実売6980円と爆安だった。

 2.5Gbps×4と10Gbps SFP+×2と同じポート構成で、PoE非対応の「FNS-1200」も実売4999円。2.5Gbps×8で10Gbps SFP+×1という構成(こちらもPoE非対応)の「FNS-3200」は実売8980円と、いずれも、かなり魅力的な価格となっている。

 ちなみに、10GbpsがSFP+ではなく、RJ-45になっているバッファローのLXW-10G2/2G4(2.5Gbps×4+10Gbps×2)の実売価格は2万円前後。PoE非対応のFS-1200は、それに比べて1/4ほどという驚異の価格設定となる。

 SFP+なので、別途、RJ-45用のモジュールを購入すると価格差は縮まるが、ダイレクトアタッチケーブルなら安く購入できるので、十分に安い製品だ。

外観チェック

 まずは、外観をチェックしていこう。

 パッケージには、本体、電源ケーブル、ラックマウント用の金具とネジ、そして日本語マニュアルも同梱されている。タイトルが「2.5G “PEO”スイッチングハブ ユーザーマニュアル」となっていたり、ところどころ誤訳っぽい表記も見かけたりするが、この価格で日本語マニュアルを同梱しているのは、ひとまず評価できる。

 本体はスチール製の筐体となっており、作りはしっかりしている印象だ。底面にゴム足がないのが残念だが、安いので仕方がないだろう。

前面
側面
背面
内部の様子

 インターフェースは、前面に2.5GbpsのPoEポートが4ポートあり、その隣に10Gbps対応のSFP+ポートが2つ搭載されている(カバーあり)。インジケーターは、2.5Gbps側はポートの左上と右上に配置されており、オレンジが2.5Gbps、グリーンが100/1000Mbps接続時を表す仕様となっている。

2.5Gbpsを4ポートと10Gbps SFP+を2ポート搭載
10Gbps対応ポートに一般的なLANケーブルをつなぐにはRJ-45用のモジュールが必要

 PoEの仕様は、各ポート最大30W対応のPoE+で、合計で75Wの給電が可能となっている。2.5Gbps接続のWi-Fi 6対応PoEアクセスポイントや、監視カメラなどを接続するのに適していると言える。

 1万円以上する2.5Gbps対応のPoEインジェクターよりも安価で、1Gbps対応のPoE+スイッチと互角なので、PoE給電機器として見てもかなり安いと言えるだろう。

 なお、管理機能などは搭載しておらず、設定用のインターフェースなどもない。機器をつなぐだけのシンプルなスイッチとなる。

本当に10Gbps出るか? 2.5Gbps PoEでつながるか?

 さて、気になるのはその実力だ。

 まずは10Gbpsの実力から検証してみた。本製品のSFP+ポートに10GtekのRJ45 SFP+モジュールを取り付け、2台のPCを接続してiPerf3の速度を計測したのが以下の結果だ。

PCの接続画面。問題なく10Gbpsでリンクしている
10Gbps有線テスト
PC1→PC2PC2→PC1
SFP+ 10Gbps6.139.49

※PC1:Ryzen3900X/RAM32GB/1TB NVMeSSD/AQtion 10Gbps/Windows11 Pro
※PC2:Core i3/RAM32GB/1TB NVMeSSD/ASUS XC-C100/Windows 11 Pro

 PCも10Gbpsでリンクしており、iPerf3の速度も問題ない印象だ。ベンチ環境の影響で片側だけ速度が落ちているが、これはNICの性能が影響していると考えられる。

 なお、PoE非対応のFS-1200の方について、Amazon.co.jpのレビューで、SFP+接続時のiPerf3の速度が2.5Gbpsほどで内部速度が遅いのではないかという投稿があった。今回、FS-1200Pで試した結果を見る限りでは、内部的にも10Gbpsで通信できている印象だ。

 実は、「遅い方がネタ的には面白そう」という目論見で購入したのだが、ある意味、裏切られた格好になる。

 続いて、2.5GbpsのPoEを検証してみた。

 Ubiquitiの「U6 Enterprise」というWi-Fi 6対応、2.5Gbps PoE接続のアクセスポイントをFS-1200Pに接続し、10Gbpsの有線で接続したPCに対して、3m前後の距離でiPerf3を実行した結果となる。

2.5Gbps PoEテスト
PC1→PC2PC2→PC1
2.5Gbps PoE1.291.03

※PC1:Ryzen3900X/RAM32GB/1TB NVMeSSD/AQtion 10Gbps/Windows11 Pro
※PC1:Core Ultra 7 155H/RAM32GB/1TB NVMeSSD/Intel BE200/Windows11 Home

 2.5Gbps PoEの部分の速度が遅いと、実効速度が1Gbps以下になるはずだが、しっかりと実効速度が1Gpbsを超えている。2.5GbpsのPoEとしても問題ない印象だ。

安定性は継続調査が必要だが、現時点では問題ない

 以上、Amazon.co.jpで買った目新しいスイッチを検証してみたが、思った以上に普通に使える印象だ。

 当初は、疑いの目で見ていたのだが、性能的にも問題なく、トラブルなく使えている。この価格で、2.5Gbps PoEと10Gbpsの有線環境が手に入るのは、かなりお得と言える。

 課題をあえて挙げるとすれば発熱だろうか。連続で使用していると、それなりに熱くなる。

 ファンレスなので、本体で放熱するのは当然と言えるが、長時間稼働させるとなると本体はかなり熱くなる。特に、10GbpsのSFP+モジュールは、それ自体が、そもそも発熱量がかなりあるため、これを組み合わせて利用すると、設置場所によっては熱が課題になりそうだ。

 また、長期間の利用に耐えられるかという心配もある。とりあえず、購入から1週間ほど、PoE機器2台(アクセスポイントとカメラ)を接続して利用したところでは、特に問題は起きていない。しかし、このあたりはさらに継続して使ってみないと判断できないだろう。

 とはいえ、この爆安価格は魅力的だ。2.5Gbpsのインジェクターとして考えても、かなり安い。国内メーカー製品のような手厚いサポートと保障がなくても気にならないのなら、かなりお買い得な製品と言えるだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。