第446回:レグザで録画した番組をネットワーク経由でブルーレイに保存 アイ・オー・データ機器「BRD-U8DM」


 アイ・オー・データ機器から、ネットワークダビングに対応した外付ブルーレイドライブ「BRD-U8DM」が発売された。レグザなどで録画した番組のダビングが手軽にできる製品だ。その実力を試してみた。

どうしてもダビングしたいときに

 東芝のレグザシリーズで録画した番組をブルーレイにダビングしたい……。そんなときに便利なのが、今回、取り上げるアイ・オー・データ機器の「BRD-U8DM」だ。

 筆者宅でも、リビングに設置したレグザ(46ZH500)にUSB HDDやアイ・オー・データ機器の「RECBOX(HVL-AVR)」を接続し、普段の番組録画に利用しているが、たまにブルーレイにダビングしたいという場合があった。

 普段、保管しておきたい番組は、ハードディスクに保存したままにしておくか、RECBOXのカセットHDD「REC-iN」にムーブして保存しておくのだが、HDDの場合、やはり故障の心配があるうえ、別の機器で再生したい場合に、これらの方法では対応できなかった。

 もちろん、東芝製のブルーレイレコーダーを利用して、テレビで録画した番組をムーブし、そこからブルーレイに書き込むという方法もあるが、この場合、ブルーレイレコーダーを購入するための費用がかかる。

 また、同じく東芝製の「D-BR1」を利用することで、テレビで録画した番組をブルーレイに直接ムーブすることができるが、この製品は3万円弱と若干高い上、本稿執筆時点ではまだ発売されていなかった。

アイ・オー・データ機器のネットワークダビング対応ブルーレイドライブ「BRD-U8DM」

 そこで白羽の矢が立ったのが、アイ・オー・データ機器の「BRD-U8DM」だ。PCでも利用可能なBD-R/BD-RE/DVD-R/DVD-RW/DVD-RAM対応のUSB外付けドライブとして利用可能ながら、DTCP-IPネットワークダビングに対応しており、東芝レグザや日立Woooで録画した番組、RECBOXに録画したスカパー!HDコンテンツをネットワーク経由でダビングすることができるようになっている。

 利用環境は限られるが、どうしてもブルーレイに保管したい映像がある場合に、低コスト、かつ手軽な方法として利用する価値がある製品というわけだ。

 

PCをDTCP-IPダビングサーバーとして稼働

 それでは、製品について見ていこう。本製品は、見た目は普通のUSB2.0接続のブルーレイドライブだ。

 LG製の「DH10NS30」が採用されており、BD-R(1/2層)で8倍速、BD-RE(1/2層)で2倍速、DVD-R/+R(1層)で16倍速、DVD-RWで12倍速、DVD-R/+R(2層)とDVD+RWで8倍速、CD-Rで48倍速、CD-RWで24倍速の書き込みに対応している。

 縦置き、横置き両対応で、背面もUSBポートと電源コネクタ、スイッチとシンプルで、特徴的な部分もほとんどない。

正面背面縦置きも可能

 実は本製品で特徴的と言えるのは、付属のソフトウェアだ。Corel「WinDVD BD3D」、「DVD Movie Writer 7 BD Version」、Nero「Nero9 Express Essentials」などに加えて、オリジナルソフトの「DTCP-IP Disc Recorder」が同梱されている。

 この「DTCP-IP Disc Recorder」が、ネットワークダビングを実現するソフトウェアだ。ソフトウェア自体はシンプルで、基本的には外部の機器からの接続を待ち受けて、受信した映像をブルーレイディスクに書き込むというしくみになっている。言わば、PCをDTCP-IPダビング用サーバーとして稼働させるためのソフトとなる。

 そのため、インストールしても、基本的には通知領域に常駐するだけで、特に設定などは必要ない。ドライブの選択や書き込み設定(DVD書き込み時のビットレート)などは可能だが、通常は標準設定のままでかまわない。唯一、このソフトウェアから操作することがあるとすれば、書き込み用のブルーレイディスクをセットした後に、必要に応じてフォーマットを実行するだけとなる。

 つまり、実質的に、つないで、ソフトをインストールするだけと、非常に手軽な使い方となる。若干、拍子抜けの感はあるが、操作が単純であることは良いことだ。これなら、PCの操作に慣れていない人でも、問題なく利用できるだろう。

「DTCP-IP Disc Recorder」。サーバーとして動作することでDTCP-IPネットワークダビングを実現する

 

実時間以下でダビング可能

 実際にダビングしてみたが、実用性も問題なさそうだ。

 空のBD-Rディスクをセットした「BRD-U8DM」をPCに接続し、「DTCP-IP Disc Recorder」を起動した状態でPCを待機。

 続いて、レグザ(46ZH500)で、ネットワーク上のRECBOXに録画したBSデジタルの60分番組を選択。ダビングを選択すると、ネットワーク上のPCが「LAN-S:test-PC [DTCP-IP Disc Recorder]」と認識されるので、ダビング先として選択すると、実際の書き込みが開始される。

 PCを起動しておくのが手間と言えば手間だが、使い方としてはシンプルでわかりやすい印象だ。

レグザからネットワーク上のPCを指定してダビングを実行BSデジタルの60分番組で40分前後でダビング可能

 実際のダビング時間だが、前述したようにBSデジタルの60分番組で、書き込み終了までの時間は約40分だった(Pentium G620 2.6GHz/RAM 8GB/Windows 7 Professional 64bit/1000BASE-T接続)。同社のホームページでは54分の地デジ放送を30分でダビングできると紹介されているが、今回のテストではBSデジタルの番組を指定している点、録画番組がネットワーク上のRECBOXにある点が、ボトルネックになっていると考えられる。

 とは言え、録画時間以下でダビングできるので、待ち時間としてもさほどストレスのたまるものではない。ちょっとした空き時間や外出前などに実行しておけば、いつのまにか終わっているという印象だ。

 なお、アイ・オー・データ製のUSBデバイスサーバー「ETG-DS/US」を利用して利用することも可能だ。通常のドライブとして利用する場合、転送速度がかなり低下するので、あまりおすすめはできないが、ダビングの場合、転送速度よりも暗号処理などのボトルネックの方が大きいため、ETG-DS/US経由でもダビング時間はさほど変わりはない。実際、筆者宅でテストしてみたところ、同じくBSデジタルの60分番組で48分ほどだった。USB接続に比べると遅いが、これならガマンできる範囲だろう。

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ニッチだが確実にニーズのある製品

 以上、アイ・オー・データ機器のDTCP-IPネットワークダビング対応ブルーレイドライブ「BRD-U8DM」を実際に使ってみたが、手軽さといい、値頃感といい、なかなかところを狙った製品という印象だ。

 レグザやWoooで録画しているユーザー層で、かつブルーレイにダビングしたい人というのは、決して広くはないが、確実に存在するニーズであり、ここに向けて、手頃な製品を投入してくるというあたりは、非常にアイ・オー・データ機器らしい攻め方と言える。

 もちろん、ネットワークダビングを使わなくても、通常のブルーレイドライブとして利用できるので、持っておいても損のない製品と言える。ドライブの購入を検討している場合は一考の価値ありと言えそうだ。

 


関連情報

2011/6/28 06:00


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。