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光るLANポートが美しくて実用的! Ubiquitiの24ポートPoEスイッチ「Switch Pro Max 24 PoE」

Switch Pro Max 24 PoEのポート、青が「Default」、紫が「Server」、橙が「IoT」と、接続先のVLANごとに別々の色でLEDが点滅している

 UbiquitiのUniFiブランドから、24ポートPoEスイッチの新製品「Switch Pro Max 24 PoE」が発売された。10GbE SFP+×2、2.5GbE PoE++×8、GbE×16(PoE+×8、PoE++×8)のレイヤー3スイッチで、中小規模の環境を1台でまかなえるオールインワンの製品だ。

 最大の特徴は、ポートに内蔵されたLEDを、カスタマイズした内容に従って発光できる機能「Etherlighting」だ。光の3原色(赤、青、緑)を使って、利用中の通信速度や接続中のVLANを視覚的に識別できるようにできる。ポートを見るだけで接続先のネットワークがわかる優れものだ。

◆UniFi Expressのイチ押し!
LEDの光で「このポートの接続先は?」問題をスマートに解消!

Etherlighting抜きでもお買い得な性能と価格

 Switch Pro Max 24 PoEは、そもそも、お買い得なスイッチだ。

 レイヤー3対応、24ポート、10GbE+2.5GbE+GbEのマルチギガ対応、合計400W給電可能なPoE+/PoE++対応と、中小規模環境の多様なニーズに対応できる機能を持ちながら、実売価格は14万9000円と、法人向けとしては比較的安い。

UbiquitiのSwitch Pro Max 24 PoE

 特に2.5GbpsのPoE++に対応しているのは優秀で、Wi-Fi 6以上のアクセスポイントや4K対応のカメラをPoE++で接続するのに適している。多ポートの1GbEスイッチ、基幹やサーバー接続用2.5GbE/10GbEスイッチ、Wi-Fiやカメラ接続用のPoEスイッチと、用途別にスイッチを用意するのに比べ、設置スペースも費用も削減できる。

 しかも、UniFiの製品は、コントローラーも無料で利用でき、ゲートウェイ(ルーター)やアクセスポイントとの統合管理も簡単で、グラフィカルで情報が見やすい。

 10GbEによる基幹接続も、2.5GbpsによるNASやサーバーの接続も、PoE++による監視カメラの収容も、「これ1台あれば、だいたいの用途に困らない」という機能の充実ぶりで、中小規模の環境で中核を担える存在となっている。

 もちろん、個人の環境には過剰だが、それでも、UniFiならではの「Etherlighting」機能によって、本製品は、配線に魅了された人たちの心を惑わせる存在となっている。

コントローラーからのスイッチの設定画面。接続されている機器や速度などを把握しやすい
トポロジー画面から全体の接続状況も確認できる

無駄に電源オン/オフしたくなる

 おそらく、Switch Pro Max 24 PoEを使っていて一番テンションが上がるのは、電源をオンにした直後だ。以下の動画をみてほしい。

UniFi Switch Pro Max 24 PoE 電源オン時のLEDの点滅

 24あるポートが1から順番に点灯し、輝度を変えながら2、3、4と移動し、右端で折り返して戻ってくる。これが、徐々に色を変えながら、起動するまで繰り返される。まるで映画「ナイトライダー」に登場した「ナイト2000」のような演出だ。

 この、各ポートに搭載されたLEDをコントロールする機能が「Etherlighting」だ。残念ながら、この演出が見られるのは起動時のみとなる。さすがに運用中に無駄に電源オン/オフするわけにもいかないので、ぜひ設定画面やアプリに「デモモード」などを搭載してほしい。

 通常使用時は基本的に色分け表示となるが、標準では、「速度」で色分けされる設定となっており、2.5Gbpsの場合は青、10Gbpsの場合は白といったように、リンク速度によって色分け表示される。

 一般的なスイッチでは、各ポートの上に緑とオレンジのLEDがあって速度を表現するものが多い。対して、本製品ではより多彩な色の表現が可能なため、多くの速度の違いを判断可能になる。赤・青・緑のほか、3原色を組み合わせて橙、水色、紫といった中間的な色も出せる。

標準では速度によって色分けされる

 「速度」による色分けも悪くないが、より実用的なのは「ネットワーク」で色分けする方法だろう。

 例えば、標準の「Default(192.168.50.0/24)」に加え、「Server(192.168.51.0/24)」や「IoT(192.168.52.0/24)」のような仮想ネットワークを作成しておき、これをSwitch Pro Max 24 PoEのネイティブVLAN設定で、ポートに割り当てておく(今回の例ではポート14をServer、ポート13をIoTに割り当て)。

 この状態で、Etherlightingの設定で「ネットワーク」を選択すると、「Default」「Server」「IoT」という各ネットワークに対して、ポートの色を設定できる。

接続先のネットワークで色分け

 つまり、ポートの色を見るだけで、どのポートがどのネットワークに接続されているかをひと目で判断できるのだ。

 本製品はポート1~8がGbEのPoE+、9~16がGbEのPoE++、17~24が2.5GbE(PoE++)、25と26のSFP+が10GbEというマルチギガ/PoE構成かつPoE規格になっている。このため、VLANを構成する際に、「1~4」と「9~12」「17~20」が「Default」といったように、1つのネットワークがポートをまたいで構成される可能性がある。

 こうしたケースでも、色分けされていれば一目瞭然。どのネットワークにつなぐ機器なのかによって接続先のポートをすぐに判断できる。

VLANの設定でポートにネットワークを割り当てておく
実際のポートの様子

 ちなみに、UniFiのスイッチには、以前からARモードが搭載されており、スマートフォン向けのUniFiアプリを利用することで、以下のようにカメラの映像にポートに接続されている機器の情報を表示することもできる。

 詳細な情報を得たい場合は、こちらが便利だが、Etherlightingは手っ取り早く接続先のネットワークがわかるのがメリットだ。

ARでポートの接続先を確認することも可能

ゆっくり深呼吸するような「ブリージングモード」

 また、個人的にとても気に入っているのが「ブリージングモード」だ。

 通常、スイッチのLEDは、リンクアップで光、データがやり取りされるとチカチカと点滅する。

 サーバールームや扉付きのラックに設置されていれば、このチカチカも気にならないかもしれないが、オフィスや個人宅に設置されていると、このチカチカは結構気になる。

 Switch Pro Max 24 PoEでは、このチカチカがない。LEDは、リンクアップ中に常に点灯するか、約3秒のゆっくりとした周期で点滅を繰り返す「ブリージングモード」のみが利用できる。

 ゆっくり深呼吸するように点滅する様子は、眺めているだけでも落ち着く雰囲気で、通信機器ならではの「せわしなさ」がない。セオリーにとらわれないUniFiらしい発想だ。

UniFi Switch Pro Max 24 PoE ブリージングモード

 以上、UniFiのSwitch Pro Max 24 PoEを試してみたが、さすがはホームネットワーク文化を支えるブランド製品だ。機能や性能が高く、実用性も高いが、それと「面白さ」をうまく融合させている。

 なお、注意点として、きれいに光らせるには接続するLANケーブルも重要になる。以下は、手元にあるいくつかのケーブルで試した結果だが、ブーツやツメ折れ防止カバーがついているもの、コネクタが透明でないものは、光がさえぎられてしまう。コネクタが透明のものを利用するのがおすすめだ。

接続するケーブルのコネクタにより、光の見え方が違ってくる

 日本ではまだ発売されていないが、「UniFi Etherlighting Patch Cable」という、きれいに光らせるための専用ケーブルもラインアップしているので、おすすめしたい。

 持っていると友人(特定分野に限る)にとても自慢できる製品であることは間違いないので、予算が許せば、ぜひ手に入れたい製品と言えるだろう。

「"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室」は、今気になるハードウェアやソフトウェアをピックアップして、その製品の「イチ押しのポイント」に注目し、魅力をレポートします。バックナンバーはこちら

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。