テレワークグッズ・ミニレビュー

番外編 現役大学生のデジタル事情4

授業で書いたノート200枚をPDF化したい! 「ScanSnap iX1300」が速くてキレイでビックリ!!

 幸か不幸か、新型コロナウイルスは日常に溶け込みつつある印象で、数多くの大学はオンラインから対面授業中心に戻っています。私が通っている大学も例外ではなく、現在は「原則対面」という方針のもと、かつての活気が戻ってきました(オンライン授業の気楽さに慣れてしまった私にとって、少々辛いですが)。

 以前の記事『メリットしかない!! 大学のオンライン授業がiPad&ノートアプリでめちゃ快適に』では、授業のオンライン化に伴って資料などの扱いが変わってきたことから、iPadでノートを取るようにしたことを紹介しました。

 対面授業に戻ってからもiPadでノートを取っていますが、オンライン化以前に使っていた紙の資料やノートをどうするのかが、長く課題となっていました。今回はこの解決に挑戦して、紙の資料やノートをデジタルデータ化します。

テレワークが定着しているINTERNET Watch編集部だが、大学生のインターンスタッフもテレワークで業務に参加している。今回はテレワークグッズミニレビュー 番外編として、現役大学生の視点から、オンライン化された大学の授業と、それに対応した工夫を紹介する。

捨てようにも捨てられない、約200枚の資料やノート

 4月上旬、大学に入ってからの3年間分の資料の整理などをしました。私はこの春から大学4年生になっており、これまで受けた授業は60コマ以上になります。

 オンライン化以前に履修した授業で配布された紙の資料や、紙のルーズリーフに取ったノートが、200枚ほど溜まったままで、整理方法に悩んでいました。これらは古いものとはいえ、簡単に捨ててしまうわけにはいきません。

 理系の教科書は、証明や説明が省略されているものが多く、その部分の内容をノートに記録して補っています。また、教科書に演習問題の解答が載っていないことも多かったりするため、ノートを捨ててしまうと、今後の復習に支障が出ます。

 また、整理が苦手な私は「この箇所のノートはどこだっけ……」と探す手間を、何とか減らしたいとも考えていました。全ての紙をスキャンしてPDFファイルにし、検索できるようにすれば、簡単に探せるようになるはずです。

スマホアプリなどでスキャンを試みるも、うまく行かずに途方に暮れる

 そういうわけで、資料やノートをデータ化することに決めたのですが、なかなかいい方法が見つからず、試行錯誤していました。

 はじめに、スキャン機能が付いている多機能プリンター(1枚ずつスキャンする、フラットヘッドタイプのスキャナー)を使ってみました。ルーズリーフを1枚セットして、スキャンして、裏返して、スキャンして、次の1枚を……という作業の繰り返しで、1枚あたり裏表で2分以上はかかります。

 時間がかかるうえ、けっこう気を使う細かな作業でもあり、これで全部をスキャンするのは大変だと、途方に暮れました。

 撮影した写真をPDF化できる、スマートフォンのスキャナーアプリも試してみました。こちらは、1枚撮るごとにサイズ調整などしなければならず、さらに時間と手間がかかります。また、薄く書いた箇所が見えなかったり、光を反射して文字がよく見えない部分があったりして、画質面でもかなり問題がありました。

プリンターでスキャンしたもの。1枚スキャンするのに時間がかかります。裏面の内容が透けて見えてしまうのも、少し気になりました
iPadのスキャンアプリを使ったもの。かなり時間がかかるうえ、シャープペンで書いた部分が光を反射して、文字の一部が見えなくなったりしています

 このような状況で困っている、という話を編集部でしたところ、それならば複数の原稿をまとめてスキャンできるドキュメントスキャナーがいいだろうということで話が進み、今回、株式会社PFUさんから製品を提供していただけることになりました。

やってきたScanSnap iX1300、小さい! 速い!

ScanSnap iX1300

 今回、ご提供いただいたドキュメントスキャナーは、ScanSnapシリーズのエントリーモデル「ScanSnap iX1300」です。

 本体上部に複数枚の原稿をまとめてセットすると、連続して、しかも両面をスキャン可能です。大きさは2Lのペットボトルくらいなので、机のまわりに置いても、それほど場所をとりません。

 しかも、スキャンした原稿は本体上部に排出されるということで、排出された紙を受けるためにスペースを用意する必要もありません。毎分30枚(両面)スキャン可能、原稿は最大20枚までまとめてセット可能ということで、テストで原稿を1枚スキャンしてみると、あっという間に完了してしまいました。

 手始めに、特に板書が多かった授業の、半年分のノート(ルーズリーフ70枚以上)をスキャンしてみることにしました。この授業の先生は板書の量がすごく多いことで有名で、ほかの授業では多くて1回の授業で3枚ほどルーズリーフを使いますが、この授業では1回につき常に5枚以上使いました。この授業の分がスキャンできたら、ひと安心できそうです。

200枚の原稿が、わずか20分ほどでスキャン完了!

 ここで「ScanSnap iX1300」を使ったスキャンの手順と、私の失敗に基づく注意点を紹介しましょう。まず、本体に原稿をセットしますが、このとき、セットする枚数と原稿の向きに注意が必要です。

 一度にセットできる枚数は「20枚まで」なので、面倒くさがって適当にセットしてはいけません。私は一度、30枚近くを適当につかんでセットしたことがありましたが、うまく給紙できずに失敗しました……。

 また、原稿をセットするときには、上下を逆さまに。順番は、1ページ目が重なりの一番上、セットしたときに本体前面から見て一番手前になるようにします。原稿の向きなどは、スキャン後のPDFファイルを修正することも簡単にできますが、原稿を正しくセットしておくのが、結局は一番手間がかかりません。

原稿は、はじめにスキャンするページを上にし、そして原稿の方向に注意します。

 原稿をセットしたら、iPadの専用アプリ「ScanSnap Connect Application」で「Scan」をタップすると、スキャンが始まります。20枚のスキャンに1分もかからず、あっという間に完了です。

 もしも、20枚以上の原稿をスキャンして1本のPDFファイルにしたいときは、スキャン完了時に「次の原稿をセットしてください」と表示されるので、それに従って、続きの原稿をセットして「継続」をタップすれば、まとめて1本のPDFファイルにできます。続けてスキャンしたい原稿がない場合は、「中止」で、スキャンを完了してPDFファイルを保存できます。

右下の「Scan」をタップします
「次の原稿をセットしてください」と表示されたら、続きの原稿をセットし、右下の「継続」で再びスキャンします

 スキャンが完了すると、PDFファイルになったノートのデータがアプリ内に保存されます。私はストレージにiCloudを使用しているので、このデータをiCloudに転送します。このようにして、70枚のルーズリーフのスキャンが5分ほど完了してしまいました!

アプリ内で保存されたデータを共有できます。私はiCloudでデータを保存しているので、「”ファイル”に保存」で、転送します

 PCでも、iPadのノートアプリでも、PDFファイルは(当然ながら)問題なく開けます。画質も問題ありません。薄く書いた文字もしっかりと読めるのはもちろん、フラットヘッドタイプのスキャナーで少し気になっていた、裏面の内容が見えてしまうこともなくて、とても満足しました。

ScanSnap iX1300でスキャンしたノートのPDFファイル

 嬉しくなって、ほかのノートも続けてスキャンしていきました。そして、PDFファイルを見返していると、1年生のときに受けた「微分積分学」のノートに、地震のマグニチュード表示も対数云々が関わる……といったことを書いている箇所を見つけました。内容は問題ありませんが、文字が変に崩れてしまっています。このときは眠くて、ウトウトしながらノートを取っていたのかもしれません。意外なところで「思い出」を見つけてしまいました。

微分積分学のノートを見返しました。ちょうど眠かったのか、文字が崩れています

 結局、200枚以上あった資料・ノートのスキャンにかかった時間は全部で20分ほど。これらのデータは、iCloudのストレージに「授業関係」フォルダを作り、さらに科目ごとにフォルダ分けをしました。

後で検索できるように、PDFファイルにキーワードを追加

 スキャンしたPDFファイルを検索できるようにしたい、と考えていましたが、ノートに手書きした内容は、残念ながらOCRで自動的に文字認識させることはできません。手ごろな日本語手書きOCRソフトがないかと探してみましたが、個人で手を出せそうなものは見つけられませんでした。

 そこで、PDFファイルに重要なキーワードを手入力していくことにしました。PDFファイルをMacの「Adobe Acrobat Readers DC」で開いて、図形を挿入し、中にテキストを入力していきます。試しに「テイラー展開」とキーワードを入力し、検索してみたら、該当するページがヒットしました。

「Adobe Acrobat Readers DC」を使い、付箋に重要な用語を書くイメージで、青い枠を作り、文字を追加しました
「テイラー展開」と検索したら、キーワードを入力していたページがヒットしました

 Macの「Finder」では、PDFファイルの全文検索が可能なため、複数のファイルから該当箇所を探すことも簡単です。これで、今後何か調べたいことがあったらすぐに過去のノートの該当箇所を開いて、振り返ることができます。

 ちなみに、前回の記事で紹介したノートアプリ「GoodNotes 5」では、手書きした内容を文字認識し、検索可能にできることを知りました。GoodNotes 5には、手書き文字認識によりテキストを入力できる機能もありますが、その機能を使うのでなく、ノート上では手書きした「線」である部分も、テキストとして認識してくれるのです。

 この手書き内容のテキスト認識は、日本語ではひらがな、カタカナ、漢字に対応しています。ただし、認識は完璧ではなく、カタカナの認識では意外と思い通りに認識してくれないケースがありました。例えば「メタン」と書いた箇所が「オゾン」と認識されていたりもするので、重要なところはテキストも追加しておいた方が安心できそうです。

Goodnotes 5で手書きした「電離層」を、Adobe Acrobat Readers DCで検索することもできます
試しに「オゾン」と検索したら、手書きの「メタン」もヒットしたところ。字形が似ているため誤認識されたようです

積み上がった「紙」をスッキリときれいに整理できる、救いの神のような存在!

 今回はScanSnap iX1300を使い、授業資料およびノートをデータ化しました。何枚にもおよぶ原稿(文書)のスキャンに特化した製品だけあって、非常に速く、しかもきれいにスキャンでき、救いの神に出会ったかのようなありがたさでした。クラウドへの直接保存、レシートや写真のスキャンなど、まだ使っていない機能もあり、今後試してみたいと思います。

 加えて今回、スキャンしたPDFファイルに、用語検索できるようテキストを追加してみました。手書きOCRが使えたらもっと楽だったと思いますが、手間をかけた価値はあると満足しています。