テレワークグッズ・ミニレビュー

番外編 現役大学生のデジタル事情1

メリットしかない!! 大学のオンライン授業がiPad&ノートアプリでめちゃ快適に

 テレワークが定着しているINTERNET Watch編集部だが、大学生のインターンスタッフもテレワークで業務に参加している。今回はテレワークグッズミニレビュー 番外編として、現役大学生の視点から、オンライン化された大学の授業と、それに対応した工夫を紹介する。


 昨年から始まったコロナ禍により、多くの大学ではオンライン授業がメジャーとなりました。もちろん、私が通っている大学も例外ではありません。私は現在大学3年生ですが、2年生の始めから授業はオンラインに切り替わりました。感染の流行が落ち着いてきた2021年の後半以降には対面授業も増えましたが、一部は継続してオンラインです。

 ニュースなどでは、「早く対面授業に戻してほしい」という学生の声がよく取り上げられています。確かに、直接友人と会えなかったり、サークル活動が制限されたりしていることから、「人生の夏休み」と比喩されるような、分かりやすく楽しい大学生活を謳歌できていないとは思います。

大学もオンライン化に、授業だけでなく課題提出もオンラインでやり取り

 とはいえ、私や周りの友人は、オンライン授業に不満はありません。なぜなら、いつでも・どこでも授業を受けられるという、大きな強みがあるからです。

 直前まで寝ていてもZoomを起動すればすぐに出席でき、仮に遅刻しても、PCやネットの調子が悪いということなら、ある程度は許されます。また、先生にもよりますが、動画や資料のアーカイブを残してくれるため、授業を受け損ねても後から追いつきやすいのです。対面授業のときは2時間以上かけて通学していた友人も「このままオンラインが継続してほしい」と言っています。

 「いつでもどこでも受けられる」という点のほかにも、大学の授業がオンライン化したことで変わった点が、いくつかありました。

 一番大きな変化は、授業における課題の提出や資料配布も全てオンラインで行われるようになったことです。授業に関するやり取りは「Google Classroom」という教育機関向けのツールで行っています。

Google Classroomの画面。先生が出した課題に関するファイルとそれに対する説明文が表示され、学生はこの画面から課題を提出しています。質問などがあれば、コメントすることもできます

 Google Classroomでは、授業ごとにZoomのIDや資料のファイルのほか、課題のリストもまとまって表示されます。課題に関しては提出期限まで24時間を切ると、提出を促す通知が行われます。この通知のおかげで、今まで何度となく救われました。

課題は日付順に並んだToDoリストとして確認できます。期限が近づくと自動的に通知してくれるのもありがたい機能です

オンライン化で課題提出や資料整理の手間が増えてしまった

 このように、オンライン授業のメリットは意外と大きいと感じていますが、新しい問題点も生まれました。大きくは2つ。課題を提出する手順が複雑になったことと、配布資料の扱いで手間が増えたことです。

 対面授業のとき、課題のレポートは紙に手書きして手渡しで提出していました。というのも、私は数学科に所属しており、普段から複雑な数式を扱っているため、デジタル文書化しにくい、という事情があるためです。数学科の先生もレポートは手書きを推奨しています(LaTexなどの利用は可能)。しかし、オンライン化によって、この方法も変えなければいけなくなりました。

 課題の提出は、PDF化してGoogle Classroomから行うようになりました。そのため、紙をスキャン(スマホのカメラで撮影)して「Adobe Scan」などのアプリでPDFに変換し、PCからGoogle Classroomにアップロード、といった手順を踏む必要があります。これだとスマホとPC、および複数のアプリを行き来するため、かなり複雑な作業となってしまうのが悩みでした。

 配布資料は、PDFで配布されたものを、学生がそれぞれ手元で印刷して授業に臨むようになりました。1台のPCでは、オンライン授業の画面を開きながら資料まで開くのは難しいのと、「Adobe Acrobat Reader DC」などの無料PDFビューアーでは資料への書き込みが自由に行えないため、紙の方が扱いやすいためです。ただ、印刷するたびに手間や費用がかかるようになってしまいました。

 また、従来から、資料の保存に関する問題もありました。書き込みした資料をそのまま保存していくと、紙が増えていく一方となります。データ化して保存するようにしたいのですが、全てをスキャンしていくのはかなりの手間です。

 これらの問題をいっぺんに解決するには、できるだけ「紙」を経由しない方法に変えればいい。そう考えて、とある物の購入に踏み切りました。

iPadとApple Pencilで「脱・紙ノート」へ

 オンライン授業のためということで、親に頼み込んでiPadとApple Pencilを買ってもらいました。選んだのは、iPad Airの3世代目(2019年3月発売のもの)。Apple Storeで再整備品を購入したため、価格はだいぶ抑えられました。

 レポートの作成や資料への書き込み、および管理には、手書きできるiPad用のノートアプリ(詳しくは後述)を使うことにしました。PCで授業を受けながら、iPadで白紙のデータまたはPDFファイルを開いて、そこに手書きしていきます。Apple Pencilを使えば、複雑な数式も紙と同じ感覚で書けて便利です。

 iPad Airの3世代目が対応するApple Pencilは1世代目だけのため、充電は本体のLightningコネクタにぶっ刺します。ただ、どうもこの状態だとカッコ悪いのと、うっかり手がすべったりしたときに端子を折ってしまいそうで、若干の心配があります。

iPad(第3世代)とApple Pencil(第1世代)
充電している様子は、まるで「カブトガニ」のよう。なお、2世代目のApple Pencilは、iPadの側面に磁石でくっ付けて充電できます

課題提出の面倒な手順がなくなった

 iPadのおかげで、課題の作成から提出の流れは、劇的に改善できました。これまでは、オンライン提出ために手間が増えただけでなく、複数のアプリを立ち上げたまま作業をしているとアプリの動作がおかしくなって作業が中断してしまうなど、思わぬトラブルに悩まされることもよくありました。

 ところがiPadとノートアプリを使えば、レポートを作成して、そのまま「共有」機能からGoogle Classroomを選択するだけで提出できます。共有先を選択すると自動的にPDFに変換されるので、スキャン・ファイル変換・アップロードといった手順も不要で、時間も手間もぐっと短縮できるようになりました。

資料は印刷不要になり、保存の問題も解決!

 資料の印刷と整理の問題も、iPadとノートアプリによって解決できました。

 配布資料をiPadに保存し、ノートアプリで開けば、印刷の必要がない上に、保存する場所も取りません。もちろん書き込みも自由です。そして、検索機能があるので、資料を探すのも簡単になりました。

 何十枚もある資料は持ち運ぶのも大変でしたが、iPadなら、いくら持ってもかさばりません。カフェや図書館で勉強したいと思ったときに、iPad1台ですべての資料を持っていけるようになったのも大きな利点です。

ノートアプリ「Notechelf」の画面
配布された資料をダウンロードし、ノートアプリ(この画面は「Noteshelf」)で開き、直接書き込むことができます

授業のノートも全てiPadで取る

 授業中のノートもすべてノートアプリで取っているので、紙のノートは使わなくなりました。

 私は有料のノートアプリを使用しています。メインで使用しているのは「Noteshelf」で、価格は1220円。最初はちょっと高いかな? とも思いましたが、購入すれば無限にノートを取れるため、紙のノートを何冊も買うよりもコスパは優れていると感じています。

 ペンは普通のペンと蛍光ペンから選べ、消しゴムも蛍光ペンだけ消す機能もあります。また、録音機能がついているため、1回聴いただけでは理解しづらい解説も、録音して何度も聴き返すことができます。

ノートアプリ「Notechelf」の画面
Noteshelfで取ったノート。ペン色の色は1タップで替えられるため、ペンを持ち替えるよりも速く、効率的です
ノートアプリ「Notechelf」の画面と教科書を撮影した画像を並べたところ
教科書を撮影した画像と、Noteshelfの画面を2画面で表示したところ。このようにすることで、外出先には教科書を持ち歩かなくてもよくなりました
ノートアプリ「Notechelf」の背景選択画面画面
Noteshelfでは、ノートのフォーマット(背景)を選択できます。一般的な罫線だけでなく、コーネル式ノートやスケジュール帳なども用意されています

 もう1つ購入したのは、「GoodNotes 5」。価格は980円。こちらもほとんど機能は一緒ですが、使用感の違いとしては、画面とペン先が吸いついている感覚で書くことができ、純正メモアプリに近い気がします。このほかのNoteshelfにない機能としては、フォルダの中にフォルダを作って、細かなファイルの整理ができます。

ノートアプリ「GoodNote 5」の画面
GoodNotes 5で取ったノート。紙のノートではできない、画像の貼り付けも簡単に行えます(なお、Noteshelfでも同様に画像を扱えます)。画像によって、勉強した内容を具体的に捉えられるのもいい点です
「GoodNote 5」のフォルダ画面
GoodNotes 5のフォルダ内の様子

 NoteShelfも、GoodNotes 5も、手書き機能や資料(ファイル)の整理に関する機能に大きな違いはありません。私は、録音機能が非常に重宝しているのと、GoodNotes 5のフォルダの中にフォルダを作る機能が特に必要とは感じないことから、Noteshelfを主に使い続けています。

iPadでの勉強は、メリットしかない

 iPadをノート代わりに使用することでオンライン授業での悩みだけでなく、資料の保存などの対面授業のときから感じていた問題点も解消できました。

 現在気になっているのは、ペン先が消耗品であることと、iPadの充電が切れると何もできなくなってしまうことです。また、資料のファイルサイズはそこそこ大きいため、保存のためのiCloudのサブスク購入などでランニングコストがかかってしまいます。しかし、これらを上回るくらい利便性が高いと感じています。テキストを大量に使用する医学部の友人も、テキストをPDF化してiPadで持ち歩き、勉強しているそうです。

 iPadをはじめとしたタブレット端末が、大学生にとって非常に頼もしい相棒になることは間違いありません。これからも、脱・紙ノート生活を続けていこうと思います。

iPadとノートアプリ
もし全ての授業が対面に戻っても、iPadを愛用しているでしょう