テレワークグッズ・ミニレビュー

第36回

外出先でのWeb会議に! 小さいのにノイズリダクションがよく効くケンウッド片耳ヘッドセット「KH-M500」が優秀!!

外出が増えて気になる「Web会議中に近くの人の声を拾ってしまう」問題

 最近では取材などで外に出る機会も増えてきたが、そこで気になるのが「Web会議時の音環境」だ。自分ではうるさくない場所を確保して参加したつもりが、マイクが思いのほか周囲のノイズを大きく拾っていて、ほかの参加者に迷惑をかけてしまうことがある。

 2020年にテレワークをするようになった直後は、以前から持っていたJabraの片耳ヘッドセット「Jabra Classic」(2014年発売)を使っていた。この製品のマイクは全指向性(無指向性)で、Web会議では意外にしっかりと周囲の音を拾ってしまうことがあり、会議の参加者から指摘を受けたことがある。これは、ちょっとオープンスペースなどでは使えないなと思った。

 同様の状況で、自分が聞かされる立場になったこともあった。ノートPC本体に付属のマイクを使っているらしき参加者がいて、周囲にいる人の話し声までが、かなりクリアかつ大きな音で聞こえてきて戸惑った。皆がテレワークに慣れていなかったころの「あるある」ネタだと言えるだろうか。

 指向性があるマイク、またはノイズリダクションを搭載したマイクならば、こうした問題は回避できるだろう。外出する機会も増えたところで、ノイズリダクション付きの持ち運びやすいヘッドセットを買おうと考えた。

テレワークが定着した昨今、INTERNET Watchの編集部スタッフやライター陣も、それぞれの仕事環境を改善すべく日々工夫を凝らしている。この連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介していく。今回は、テレワーク中にコロナの症状が現れた編集部員が、自宅療養になった時のために備えておいたほうがいいと思ったグッズを紹介する。

コンパクトな片耳ヘッドセット「KH-M500」を選ぶ

 今回も片耳ヘッドセットを買おう、ならばブランドはJabraだろう、と思って製品を調べてみたが、発売元のGNオーディオジャパンでは、最近だと物流(宅配便の配達員など)向けのBlue Parrottブランドの新製品を多く出しているようだ。

 Blue Parrottの最新片耳ヘッドセット「Blue Parrot M300-XT」は、性能的には申し分なく、連続使用時間が14時間と長いことが特長だ。が、少々オーバースペックなのと、わりと重いのが気になった。Blue Parrot M300-XTは20gだが、Jabra Classicは、カタログスペックだと「10g未満」とされている。

 そこで、他社製品も検討し、ケンウッドの「KH-M500」を選んだ。2つの高性能MEMSマイクを搭載し、Qualcomm cVcテクノロジーにより周囲のノイズを抑えたクリアな音声を伝えるという、ノイズリダクション機能を備えた製品だ。重さは約10.1g。Amazon.co.jpでの販売価格は7000円前後。

 同じシリーズで、イヤホン側のノイズキャンセル機能も備えた上位モデルの「KH-M700」(1万円前後)もある。しかし、そこまでは今回必要ないと判断した。

 なお、筆者がKH-M500を購入したあとでJabraから「Jabra Talk 65」という新製品が発表されたが、これは先述のBlue Parrott M300-XTと同等品だと思われる。

Jabra Talk 65はこちら(公式サイトより)。Blue Parrott M300-XTと同じ外見。KH-M500と比べて少々高いのと、オーバースペックに感じられたので見送ってしまったが、シンプルなデザインで悪くないと思う。重さの差がどのように使用感に影響するか、試してみたくもある

イヤーピース6種類とイヤーフックで着け方をカスタマイズ

 KH-M500のパッケージには本体のほかに、イヤーピースが6個、イヤーフックが2個、あと充電用のUSBケーブル(Type-AーType-C)が付属している。イヤーピースの内訳は、ガイド(耳の軟骨に引っかけて安定させるもの)が左耳用/右耳用/ガイドなしの3種×サイズがS/Mの2種で、全6種類。イヤーフック2個は同じものだ。

本体と付属のイヤーピース、イヤーフック
本体には4つのボタンがある。電源ボタンのほか、マイクにつながる白い部分の本体側がファンクションボタンで、後述するマルチポイントの切り替えなどの操作に使う
電源ボタンの反対側には音量ボタン2つがある

 筆者は右耳用でガイドあり、サイズMのイヤーピースを使うことにした。歩きながら使うなどする場合はイヤーフックが必要だが、Web会議に使うだけならば、イヤーフックなしでも問題ないだろう。

右耳用ガイドあり、サイズMのイヤーピースを付けたところ。耳の穴に差し込む部分の上に小さな突起があり、耳の穴の上の軟骨に引っかけて固定する
イヤーフックを付けたところ。歩きながら使う場合にはこちらが安定する。イヤーフックを使うときは、ガイドなしのイヤーピースがいいだろう

 電源ボタン長押しでペアリング。昔のBluetooth製品は製品ごとにペアリングの操作がまちまちで苦労したが、最近の製品は筆者が知る限り「電源ボタン長押し」で統一されており、使いやすくていい。

 2台の端末とのマルチポイントに対応していて、本体のファンクションボタンで接続先を切り替えたりもできる。Web会議用のPCと通話用のスマートフォンなど、複数台とペアリングできるのは便利だが、切り替え操作が煩雑だったり、意図しない端末と接続してしまうことがあったりと面倒なところもある。今のところは外出時用のPC(MacBookだが)専用としている。

テレビを付けっぱなしの部屋でノイズリダクションを試してみた

 簡単にノイズリダクションのテストをしてみよう。自宅で、テレビを付けた部屋(音量は特別大きくはしていない)に置いたPCと作業部屋のPCの間で、Web会議を立ち上げ、家人と話してみる。テレビを付けた部屋でPC本体のマイクを利用していると、作業部屋にいる筆者の側では、家人の声のほかにテレビの音声もかなりハッキリと聞こえる。

 しかし、マイクをKH-M500に切り替えると、テレビの音声は全く聞こえなくなった。もちろん、マイクを付けた家人の声はクリアに聞こえる。ノイズリダクションがいい仕事をしてくれているようだ。

Google Meetの設定画面で、マイクをKH-M500に切り替えると、テレビの音がスッと消え、家人の声だけが聞こえるようになった

騒がしい駅のテレワークブースでもほかの参加者に迷惑をかけない

 ノイズの大きいところとして、JRの駅にあるテレワークブース「STATION BOOTH」でWeb会議に参加してみた。たまたま利用した駅では、改札のすぐ近くの人通りの多いところ、かつホームの真上にブースがあり、加えて、ちょうど構内で工事が行われていた。

 STATION BOOTHには天井もあり、外部から完全に遮断されてはいるが、特に防音設備はないと思われる。中にいても、外にいる人の話し声や、電車の走行音、駅のベルやアナウンスなどが聞こえてきて、「ずいぶん賑やかな場所にいますね」などとも言われかねない。

 しかし、KH-M500を使っていると、会議の参加者にそうした音はまったく聞こえていないとのことだった。同じ場所で別のマイクと比較する余裕がなかったのだが、こちらでも、ノイズリダクションが十分に機能しているなという感触を得た。

 自分のマイクがノイズを拾ってほかのWeb会議参加者に迷惑をかけていることは、自分自身で気付くことが意外と難しいと思う。KH-M500は、周囲の多少のノイズは気にせずWeb会議に参加できて、頼りになる製品だと思う。