急遽テレワーク導入!の顛末記

「余った外付けHDDを簡易NASにして、外出先からアクセスしてみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(183)

作業用データのバックアップデータにタブレット経由でアクセス

外付けHDDをルーターに接続して、簡易NASとして利用

 先日、古いデータの整理やバックアップをしていたところ、外付けHDDが1台余ったので、ルーターに接続しておくことにした。こうすればルーターの機能を使って、外付けHDDを簡易的なNASとして活用できるようになる

 ……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて340日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で今回は自宅の簡易NASに、会社からアクセスする方法を考えてみた。

【今回のハイライト】
余った外付けHDDをどう使うか…
仕事用のデータをツールでバックアップ
タブレット経由でアクセスできる

4月8日(月): 余ったHDDを簡易NASとして利用する

 ここ数年で8TB程度の大容量HDDに値ごろ感が出てきた。以前はファイルのバックアップを複数の外付けHDDに保存していたのだが、今回デスクトップPCに内蔵HDDを1台増設。ここに、バックアップを集約させることで、ファイルをキレイに整理できた。

 そこで、余った外付けHDDの使い道だが、ルーターに接続することで、簡易NASとして利用してみようと思う。この簡易NASにはPCだけでなく、スマホやタブレット、さらにはHDDレコーダーやプロジェクターといったネットワーク対応機器からアクセスできるので、保存した動画や音楽などが家中のどこにいても楽しめるようになる。

余った外付けHDDをルーターに接続。簡易NASとして利用する

 とはいえ、この外付けHDDは随分昔に購入したものなので、容量が2TBしかない。何のデータを保存するかを、厳選する必要がありそうだ。

4月9日(火): タブレット経由で外出先からデータにアクセス

 昨日作った簡易NASの使い方についてだが、仕事用ファイルのバックアップ先に使うことにした。筆者が使っているTP-Linkの「Archer AX73」というルーターでは、ルーターのIPアドレスを入力することで、Windowsのエクスプローラーから簡易NASへとアクセスできる。なので、バックアップ用のフリーソフトで、「¥¥192.168.0.2¥g¥My Backups¥#WORKS」などとバックアップ先を指定すれば、後は作業ファイルを自動で簡易NASへとコピーさせることが可能だ。

作業用ファイルのバックアップ先に簡易NASを指定。今回はいつも使っている「BunBackup」というバックアップツールを利用した

 これで、作業中のファイルが急にオフィスで必要になっても、ケーブルを引っこ抜いて外付けHDDごと持ち運べるようになった。……といっても、衝撃に弱いHDDをあまり持ち歩きたくないので、会社から自宅の簡易NASにリモートアクセスする方法はないか? と考えていたところ、Androidタブレットを利用することを思いついた。

 Androidタブレットに「AirDroid」というアプリを入れると、外出先から遠隔操作できるようになる。ここでポイントなのが、遠隔操作時にタブレット側で“接続を許可する”といった操作が一切不要ということ。このため、タブレットに電源が入り、ネットに繋がってさえいれば、自宅で誰かが端末を操作しなくても外出先から遠隔操作することが可能だ。

 そして、オフィスからタブレットを操作できるようになったら、ファイルマネージャーを使って、簡易NASにアクセスすればOK。今回は「ファイルマネージャー」というアプリを使ってみたが、リモートロケーションをSMBで登録することで、簡易NASにアクセスできるようになった。あとは、必要なファイルをGoogle Driveなどにアップロードすれば、それをオフィスのPCでダウンロードできる。

「ファイルマネージャー」で「リモート」→「リモートロケーションを追加する」と操作。「SMB」を選択する
「SMB」画面が表示されたら、ホストに簡易NASのIPアドレスを入力。ルーター側でアカウント制御を行っていないので、ユーザー名などは「匿名」を選択した
あとは、オフィスのPCから「AirDroid」経由で自宅のタブレットにアクセスして…
必要なファイルを「共有」機能を使って、Google DriveなどにアップロードすればOK

 これで、外出先から簡易NASにバックアップしたファイルにアクセスできるようになった。自宅のPCはMagic Packetを使って遠隔操作できるようにしてあるが、何らかの不具合でこの仕掛けが使えなくなった時のことを考えると、こうした保険があれば安心できる。

 あとは、スマートプラグが1台余っているので、ここにAndroidタブレットの充電ケーブルを接続。遠隔操作で適度にオンオフすれば、常時フル充電状態にしなくて済むので、バッテリーへの負荷を減らせるだろう。また、「Archer AX73」で簡易NAS機能を利用すると、接続した外付けHDDの電源が常にONになり、ファンがずっと鳴りっぱなしでうるさかったので、電源管理をスマートプラグで行うという手もありそうだ。

 ちなみに、筆者が以前に「AirDroid」を使った時は、“LANの外からタブレットをリモート操作”するには、有料のプレミアム会員への登録が必要だったのだが……。今回は無料会員のままでも、会社から自宅のAndroidタブレットをリモート操作できた。どうやら、通信量が200MBを超えない範囲であれば、無料会員でもLANの外からのリモート操作が可能なようだ。

無料プランでも1カ月の通信量が200MB以内であれば、外出先からリモート操作ができるようだ
筆者の環境では接続時になぜか1度失敗するようになったが、「基本モードを試す」の操作をすると、リモート操作が可能だった

4月10日(水): メール関係のバックアップでトラブルが……

 今日は自宅でテレワーク。会社の定時になると、それをトリガーに設定しておいたバックアップツールの「BunBackup」が動き出したようで、外付けHDDから動作音が鳴り始めた。

 ただ、作業終了後にレポートを確認すると、一部のファイルでエラーが出ていた。どうやら、Thunderbirdの「profiles」フォルダをバックアップする際に、いくつかのファイルがコピーできなかったらしい。

「profiles」フォルダをバックアップでエラーが発生した

 原因はどう考えても、起動しっぱなしだったThunderbirdだろう。どうやら、「profiles」フォルダをバックアップする際には、Thunderbirdを終了させておく必要があるらしい。同じエラーを繰り返さないために、「BunBackup」によるバックアップは、定時からある程度の時間を空けてから実行するように設定しておこう。

4月11日(木): レコーダーの録画も観られるように(?)

 オフィスで作業をしていると、資料用にと自宅のHDDレコーダーに録画しておいた動画が必要になった。我が家ではパナソニックの「DIGA」を利用しているが、有料アプリの「DiXiM Play for DIGA」を購入していないため、残念ながら外出先からのリモート視聴ができない。

 そこで、「AirDroid」経由で自宅のタブレットにアクセス。「どこでもDIGA」というLAN内にあるDIGAの録画コンテンツなどを視聴するアプリを開いたところ、録画した番組を再生することができた。ただし、音声は「AirDroid」経由では聴けなかったので、録画番組を万全な状態で視聴するには、やはり専用のサービスに契約する必要がありそうだ。

タブレットと同じネットワーク内にあるHDDレコーダーの録画を、簡易NAS内のコンテンツと同じように、映像のみ再生できた

 AirDroidなどのリモートデスクトップアプリを使い、外出先から自宅のデバイスにアクセスするには、基本的にはその電源が入っている必要があるが……。タブレットなら電源を入れたままにしておいても、デバイスの劣化や電気代をあまり気にする必要がない。Wake on LANのハードルが高い環境にあるファイルに遠隔アクセスしたいなら、今回のようにタブレットを利用するか、アレクサデバイスを利用するのもありだろう

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

飛田九十九