生まれ変わったWindows Live

第9回:独自ドメイン名でHotmailを運用する


 Hotmailでは、日本国内向けには「hotmail.co.jp」「live.jp」という2つのドメイン名を用意しており、どちらでも新規にメールアドレスが取得できる。しかし、ドメインが2つ用意されていても、すでに非常に多くの既存ユーザーがいるため、希望するIDが取れないことの方が多いだろう。たとえば、苗字だけといったIDは、よほど変わった姓でもない限り取得は難しい。

 そこでおすすめしたいのが、自分が取得したドメイン名で、Windows Liveを使おうということだ。これなら、自分の好きなメールアドレスを利用することができる。メールには、Hotmailがそのまま利用できるため、Hotmailの多彩な機能が利用できる。さらに、作成したメールアドレスを使って、SkyDriveやMessengerなど、Windows Liveが提供しているさまざまなサービスにアクセス可能だ。

 そのほか、今回はこれまでにご紹介していない「Windows Live Writer 2011」および「Windows Live ファミリー セーフティ」についてもご紹介する。

自分のドメイン名でHotmailを運用する

 Windows Live Admin Center(以下Live Admin Center)では、ユーザーが取得したドメイン名を使って、Windows Liveのサービスをカスタマイズできる。ユーザー数としては、500アカウントとなっている。この500アカウントすべてで、容量無制限のHotmailがサポートされている。もちろん、25GBのSkyDriveなども、アカウント毎に利用可能だ。

 つまり、Windows Liveのシステムそのままを、自分のWebサイトとして利用することができる(500アカウント以上必要な場合は、リクエストベースで追加が可能)。

 まずは、自分のドメイン名を事前に取得しておく必要がある。Live Admin Centerでは、ドメイン名を管理する機能は持っていないため、ドメイン名の管理やDNSの構成は、他社のドメイン取得サービスやドメイン管理サービスを使用する必要があるのだ。

 また、Live Admin Centerで独自ドメインを使用するには、ドメイン管理サービスなどで、DNSのMXレコード、CNAMEレコード、TXTレコードなどの設定が必要になる。一部のドメイン管理サービスなどでは、DNSの各種レコードが設定できない場合もあるので注意が必要だ。

 今回筆者は、ちょうどムームードメインで取得した独自ドメイン名があったので、これを利用した。なお、ムームードメインなら、.comのドメインを1年980円ほどで新規取得できる。

 まず、Live Admin Centerを利用するには、「カスタムドメインの登録」を選択して、利用する独自ドメイン名を入力する。この時、メール システムとしてHotmailを使用するなら、「ドメイン用にWindows Live Hotmailを設定する」を選択する。

 ドメイン管理者として、Windows Live IDが必要になる。すでに、Windows Live IDを持っているなら、それを利用すればいい。もし、Windows Live IDが無いなら、これから設定する独自ドメインでWindows Live IDを新規作成する。

 独自ドメインを設定すれば、「ドメイン設定」という項目が表示される。ここでは、DNSサーバーに設定するレコードの情報が表示される。

 Windows Liveで独自ドメインを利用するには、メールサーバーの設定を行うMXレコード、サーバーの信頼を行うTXTレコードなどを行う。後は、Windows Liveのサービスの中で、自分の独自ドメインでアクセスできるようにしたい場合は、Live Admin Centerの「カスタムドメイン」で利用するサービスを選択して、サブドメインを設定する。もちろん、ムームードメイン側でもCNAMEの設定を行っておく。

 ちなみに、ムームードメインでは、Messengerの連携を行うために利用するSRVレコードの設定が行えない。通常、個人ユーザーが、独自ドメインの内部でMessengerを運用するためにサーバーなどを構成していないため、この項目は設定しなくてもOKだ。設定しない場合は、独自ドメイン名のWindows Live IDを使って、Windows LiveのMessengerサーバーを利用することになる。

 ムームードメインとWL Admin Centerの設定が終了し、新しいDNSのレコードがインターネットに反映されれば、WL Admin Centerのドメイン設定で、「サービスが有効です」という表示に変わる。

 後は、WL Admin Centerの「アカウントの管理」で、独自ドメイン名のアカウントを作成する。このメールアドレスは、Hotmailサーバーで管理されている。さらに、Windows Live IDとしても利用できる。

 実際に設定をしてみると、それほど難しいわけではないのだが、Live Admin Centerの設定に関しては情報が少なすぎる。このため、インターネットをよく知っている上級者しか利用できないのが現状だろう。

 わかりやすい設定マニュアルを用意したり、ドメイン取得サービスとLive Admin Centerで連携する形で設定まで自動で行われるようになれば、多くのユーザーが独自ドメインでWindows Liveを利用するようになると思われる。

ムームードメインのネームサーバーを利用する。Windows Live Admin Centerで表示されるレコード データを参考にして、ムームードメインに入力する。Windows Live Admin Centerを使うには、ここに表示されているデータをムームードメインに入力するだけでOK。
Windows Liveの様々なサービスを設定するには、カスタムアドレスを設定する。ここで、ユーザーを追加する。Windows Live Admin Centerは、500ユーザー作成可能。独自ドメイン名でも、Hotmailが利用できる。

WYSIWYGなブログ編集ソフト「Windows Live Writer 2011」

 Windows Live Writer 2011(以下Live Writer)は、ワープロ感覚でブログを編集・投稿する機能を持つソフトだ。Live Writerで書き上げて、複数のブログに投稿できるため、ブログをいくつも管理しているユーザーなら重宝するだろう。将来的にブログサービスを移転するようなことになっても、Live Writerの中にすべて記事が保存されていれば安心だ。

 Live Writerは、microsoftが運営するサービス「Windows Liveスペース」はもちろん、Movable Type、TypePad、WordPress、Bloggerなどに対応する。また、Movable Type API、Metaweblog APIなどをサポートしている。

 一般的に利用されているブログサービスは、ニフティが運用するTypePadベースのココログなど、多くがTypePadやWordPress、Movable Typeなどをベースとしており、国内の多くのブログサービスの更新に利用可能だ。

 Live Writerの最大の特徴は、ブログの作成画面がWYSIWYG(What You See Is What You Get)になっており、実際にブログでの表示を確認しながらブログの記事が作成できる点だ。写真、地図(Bing Map)、ビデオなどのコンテンツは、ドラッグ&ドロップするだけで、記事に貼り付けできる。HTMLに関する知識は不要だ。

 また、Live Writer 2011版では、他のWindows Live Essentials 2011に含まれるソフトウェアと同様、ユーザーインターフェイスがリボンUIに変更されている。Live Messenger 2011などで採用されているオリジナルの絵文字も本文で利用可能だ。

 また、Windows Live Mail 2011のフォトメールのテンプレートが、Live Writer 2011にも導入されている。テンプレートを使って、フォトアルバムをいくつかのデザインで表示できる。もちろん、写真自体は、無料で25GBものストレージが提供されているSkyDriveが利用可能だ。

 Live Writer 2011には簡単なレタッチ機能も搭載されており、写真修正もできる。ただし、Windows Live Photo Gallery 2011で搭載された複数の写真を1枚に合成するような複雑な画像処理機能は持たないので、そうした高度な修正処理には、Live Photo Galleryや、専門の写真レタッチソフトが必要になるだろう。

 Live Writerは、プラグインによって機能を拡張することができる点も大きな特徴だ。たとえば、Amazonから商品を検索して、サムネイル画像付きで、ブログに商品を紹介できるプラグイン、YouTubeの動画リンクを挿入するプラグイン、ニコニコ動画のリンクを挿入するプラグインなどをダウンロードして追加できる。マイクロソフトの開発者サイトには、Live Writer 2011のプラグインを開発するためのSDKが提供されており、自由にプラグインを開発することも可能だ。

WL Writer 2011を最初に起動すると、どのブログサービスを利用するのか設定を行う。ここでは、Windows Live Spacesをブログとして使用するため、Windows Live IDを入力する。WL Writer 2011でブログを書いてみる。写真を貼り付けてみた。
WL Writer 2011で地図を貼り付けるときは、Bing Mapを使うことになる。自分のブログに投稿してみる。ブラウザーで自分のブログを確認してみる。WL Writer 2011は、ローカルでブログの編集出来るので便利。

子供のインターネットアクセスを安全に~Windows Live ファミリー セーフティ

 Windows Live Essentials 2011には、Windows Live Family Safety(以下WL Family Safety)というソフトがバンドルされている。WL Family Safetyは、他のソフトと異なり、子どもがインターネットを安全に利用するためのソフトだ。

 従って、子どもがいない家庭や単身者では、インストールする必要はないだろう。Live ファミリー セーフティは、家庭内で子どもがPCを利用する場合に、子どもが使用するマシンで利用するソフトウェアだ。

 Live ファミリー セーフティは、ウェブフィルタリング機能により、子供に見せたくないオンライン コンテンツにアクセスできなくなるようにする(これらのコンテンツリストは、自動的にアップデートされる)。さらに、MessengerやHotmailなどで登録されているアドレス帳を管理する機能により、子どもがコミュニケーションする相手を制限することもできる。

 もちろん、子供がどのようなWebサイトを見たか、どのようなプログラムを起動したか、何時間パソコンを使っていたのか――など、ログを記録することもできる。このログを確認することで、子供がPCを使ってどんなことをしているのか把握することも可能だ。

ファミリーセーフティの設定。Windows Live上に、ログが作成されている。クラウド上にログがあるので、どこからでも確認できる。

関連情報

(山本 雅史)

2010/9/9 06:00