イベントレポート

Internet Week 2018

知ってましたか? 来年2月1日は「DNS flag day」、名前解決の挙動を一部変更

~今年の「DNS DAY」の話題から

DNSブロッキングはインターネットを壊す

 今回取り上げる最後の話題は、DNSブロッキングに関するものである。一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の岡田雅之氏による「ブロッキングと回避の実態」では、ブロッキングによるインターネットへの影響に関する話題が扱われた。大雑把にここでのポイントを述べると、以下のようになる。

 ブロッキングの効果は少なく、回避策もすぐに出回る。ブロッキングを強硬に進めると、その回避策に対する対策が、オーバーブロッキング[*4]の発生や悪意のある第三者によるマルウェアの配布につながるかもしれない。そのようなことをいたちごっこ的に繰り返していくと、インターネットそのものが壊れてしまう(図31~図34)。

図31:ブロッキングによるインターネットへの影響
図32:いたちごっこの例
図33:さらに回避の例(2014年トルコ)
図34:ブロッキングと回避の本質

 つまり、インターネットが私たちにとって便利に使える基盤であり続けるためには、インターネットを構成している基本的な仕組みを壊してはいけないということである。

 今回のDNS DAYでは、ここで記した以外にもDNS関係者に向けたさまざまな話題が提供された。1年遅れで実施されたルートゾーンKSKロールオーバーや、来年に予定されているDNS flag dayといったDNSに直接関わる話ばかりでなく、IPv6の普及が大きく進んできたことで起きた動きや、ブロッキングに対する議論など、これほど多くの話題がある年は珍しいかもしれない。

 DNS DAYのあとに行われた「日本DNSオペレーターズグループ BoF」においても、さまざまな話題の提供と活発な議論が行われた。技術者向けの情報収集や議論の場として、多くの方にInternet Weekに参加してほしいと思う。

日本DNSオペレーターズグループBoF

[*4]……本来、ブロックされるべきでないサイトまでブロックされてしまうこと。

INTERNET Watchでこれまで掲載した「Internet Week」関連記事のバックナンバー(2009年以降)は、下記ページにまとめている。