イベントレポート

Internet Week 2019

DoT/DoHでDNSのプライバシーは守られるのか? ほか

~今年の「DNS DAY」の話題から

ドメイン名の登録数は増えているが、新gTLDでは大きな波も

 JPRSの宇井隆晴氏による「DNS Update~ドメイン名全般~」では、TLDの推移データと解説、次回のgTLD募集に向けた動きなどに関する報告が行われた。これまでと同様、全TLDでのドメイン名数は伸びている(図11)こと、「.com」が相変わらず強く(図12)、「.net」「.org」「.info」「.biz」はいずれも横ばいか下げている(図13)ことがグラフで示された。これについて宇井氏は、「良くない使い方をされているドメイン名の登録を積極的に取り消しているからではないか」と述べている。

図11:全TLDでのドメイン名数
図12:登録数の推移(gTLD)
図13:登録数の推移(gTLD/.com以外)

 続いて示された新gTLD(2012年募集によるもの)の状況では、登録数の伸びに当初ほどの勢いがない(図14)こと、TLDにより非常に大きな変動がある(図15)ことなどが示された。これは、「.loan」や「.win」といった登録数が多かったTLDの経営権が移り、安売りをやめたことでドメイン名の更新がなされなかったことが大きな原因のようである(図16)。

図14:新gTLD登録数の推移
図15:新gTLD登録数の推移(TLD別)。グラフの点線は、去年トップ5にいたTLDである
図16:何が起こったのか

 しかし、それにしても、「.loan」や「.win」に関して見ればゼロに近いぐらいまで登録数が落ちている。図16のスライドの参考記事内に「spammers」の文字が見えるが、スパマーのような人たちが、登録料が安いという点にメリットを見出だして使っていたのであろう。それが、登録料金の値上げによって出て行った。それらスパマーな人々は、次にどのTLDに向かうのであろうか。

 次の新gTLDの募集については、「最早で、2022年4月から6月実施の見通し」であるようだ(図17)。

図17:次回のgTLD募集に向けた動き

 発表後、会場からは良くないドメイン名の使い方への質問や発言が続いた。詐欺サイトが多い印象があるという意見に対して宇井氏は、「実際に数が多いのは、スパムやマルウェアの配布のようです」と説明した。詐欺を目的とするサイトは話題になりやすく目立つが、スパムやマルウェアの配布サイトは多くの場合、稼働時間が短い。「.loan」や「.win」の事例からも分かるように、格安なドメイン名がスパマーにとっての格好の足場となっている状況がうかがえる。