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ニュースキュレーション

いま知っておくべき5つのニュース[2019/4/13~2019/4/19]

1. ドコモの新料金プランが消費者の意向動向に与える影響は?

 NTTドコモがいわゆる「分離プラン」といわれる新料金プランを発表した。分離プランとは端末の購入価格と月々の通信料金をより明確に分離した価格付けを目指したものだ。これまでもはさまざまな付帯する割引施策が行われたことから、行政当局からも携帯電話料金の難解さや長期利用者に対する不公平さ、そして高額化などが指摘されてきているところだ。ウェブメディア上では新プランによるさまざまなシミュレーションをした記事がいくつも投稿されていて、どのような利用方法をするのかによって結果は違うものの、施行とともに突然「オトクになる」というものではないように見受けられる。

 一方、消費者も携帯電話の乗り換えには慎重になりつつあるようだ。端末に盛り込まれる技術のジャンプの幅に対し、端末の価格が高価になりすぎ、いくらなんでも経済的な限界を超えたと感じているのではないだろうか。また、端末のSIMロック解除がかんたんにできるようになったこともあり、データ通信を積極的に利用する人も、利用しない人もそれぞれが相当数いることから、より適切な通信サービスを選択しやすくなったという背景もありそうだ。

 今後、ドコモのみならず、KDDI、ソフトバンク(ワイモバイル)なども追従すると見込まれ、秋の新型端末発表に向けて、消費者が再検討をしたうえで「大移動」が起きる可能性もある。ただし、これらを報じる一般ニュースを見ていても、料金体系はいまだ複雑に感じられ、消費者が別のサービスへ乗り換えを検討しようにも、それすら断念してしまう層もまだまだそれなりに多いだろう。これも事業者にとってはロックイン戦略のひとつか。

ニュースソース

  • ドコモの新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」発表、6月から提供[ケータイWatch
  • 「ギガホ」「ギガライト」向け「docomo Wi-Fi無料キャンペーン」開始 2020年6月30日まで[ITmedia
  • au「魅力的なプランを検討」、ドコモ新料金プランに対抗へ[ケータイWatch
  • 携帯電話の買い替えは消極的、端末費用の自己負担額1位は「1万円程度」 携帯市場の意識調査[ITmedia

2. 新たなビジネスモデルを模索する出版業界

 2018年1月に出版社である幻冬舎とクラウドファウンディグプラットフォーム事業者であるCAMPFIREにより、クラウドパブリッシング事業を営むエクソダス社が設立され、当時、メディアでも大きく報じられた。そして、さきごろ、同社の第1期決算が報じられている。残念ながら数字を見る限りでは、いまだ事業としての本格的スタートはできていないようだ。一方、講談社とKickstarterの両社はパートナーシップを結んだとを発表した。「日本のクリエイターの発掘やクラウドファンディングプロジェクトの立ち上げ、プロジェクトの運用を支援」をするということを趣旨としていると報じられている。クラウドファウンディングをてこにしたコンテンツやクリエイターの発掘・育成という事業展開へのクリエイター・事業者・読者からの期待は潜在的に高いと思われるものの、明らかな成功事例が見られないのも現実だ。

 また、「LINEノベル」「ノベマ!」という小説プラットフォームが相次いで発表された。インターネット上での電子コミック市場が飽和しつつあるなか、小説がつぎの主戦場となりそう。

 そして、「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会」が総務省の主催よって開催されることが発表され、すでに第1回が開催されている。昨年、内閣府の主催による「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」では、インターネットサービスプロバイダーがDNSを操作することにより、違法サイトへのアクセスを抑制する「サイトブロッキング」案に対し、賛否の激しくぶつかりあい、中間報告書も採択されないという異例の事態となったことは記憶に新しい。今回の総務省による「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会」では、昨年も案として提示されていたアクセス制限方式、つまりユーザーの同意のもと、ISPや専用ソフトウェアにより、違法サイトへのフィルタリングする手法などが検討されるようだ。今後の展開には注目しておきたい。

 さらに、インターネットメディアの健全な発展や課題の共有と解消などを目的とする業界団体「インターネットメディア協会(JIMA)」が2019年4月16日に設立が発表された。活動としては「知見や課題の共有、メディアリテラシーの促進などを通じて、ネットメディアの健全な発展をめざす」としていることから、世界的にも課題となっているメディアをとりまくもろもろの問題が議論される場となりそう。

ニュースソース

  • 株式会社エクソダス 第1期決算公告[ベンチャー企業やスタートアップ企業の決算を調べるブログ
  • 講談社がKickstarterと協業 「出版の枠を超え世界のクリエイターを支援」[ITmedia
  • “読むほど無料”の小説サービス「LINEノベル」--出版9社が垣根を越えて才能発掘[CNET Japan
  • 小説投稿サイト「ノベマ!」が新オープン ~ 「スターツ出版文庫大賞」「短編小説コンテスト」も開催[hon.jp
  • メディアドゥ、ビリビリへ日本原作マンガの本格供給を開始[hon.jp
  • 「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会」の開催[総務省
  • JIMA : JIMA設立に関するプレスリリース[ニュースリリース

3. デジタルデータが決め手となるか? ノートルダム大聖堂の再建

 世界遺産として広く知られるノートルダム大聖堂の火災事故は衝撃的だった。永く保存されてきた歴史的建築物も火災という事故のもとでは一瞬で失われてしまう。日本においても、火災事故はもちろんのこと、震災や水害などの天災によって、重要な遺産が失われた例は枚挙にいとまがない。いずれにしても、人工的なものに永遠ということはないのだと思い知らされた。

 そのようななか、CNNが報じたところによると、ノートルダム大聖堂は4年前にレーザーを使った3Dスキャンが行われていたという。もちろん、これだけの歴史的建造物なので、これまでも研究者らによって図面による書き起こし、細部の写真なども保存されているのではないかとは期待されるが、3Dスキャンのデータがあるということは再建に向けた作業見通しのなかでは不幸中の幸いともいえるのではないか。もちろん、素材のデータや過去の修復歴などの情報も必要になるので、世界遺産としての再建はそう簡単なことではないことは想像に難くない。

 こうした3Dスキャン技術は日進月歩であり、レーザーによる点群データだけでなく、光学的な認識、高度な画像処理、モデリング技術も発達しつつあるようだ。こうした大規模事故をきっかけとして、さまざまな歴史的建造物において、デジタル化を積極的に推進して、現物とともに精緻なデータとしても保存されることを期待したい。

ニュースソース

  • ノートルダム大聖堂の建築データ、4年前にデジタル化済み 再建に光[CNN

4. 仮想通貨関連事業の大きな節目か?

 ここのところ、ビットコインの値上がりなどが報じられ、第二次ビットコインブームがやってきそうな気配もあるなか、マネーフォワード社は仮想通貨間事業への参入延期を発表し、仮想通貨交換業者登録に向けた手続きや関連するシステムの開発を中止すると発表した。同社の子会社であるマネーフォワードフィナンシャル社では仮想通貨交換業登録に向け、日銀や金融庁での業務経験がある人材の確保を進めてきたところだが、市況の冷え込みが今後の市場見通しに、大きく影響をしたとみられる。ただし、ブロックチェーンの技術開発は続けるということで、「仮想通貨交換業」以外の分野での技術開発力には期待をしたいところだ。

 一方、電通・メガバンク・JR東日本など大手19社が出資するディーカレット社は仮想通貨取引サービスを開始した。また、三菱UFJとAkamaiは新会社Global Open Network Japanを設立し、新型ブロックチェーンの高速な小額決済サービスを2020年上期に提供したいと発表をしている。

 このように撤退する事業、推進する事業とみていくと、仮想通貨交換事業は大きな節目にあるのかもしれない。すでに登録されている事業者も含め、この産業の動向には注目をしていきたい。

ニュースソース

  • マネーフォワード、仮想通貨関連事業への参入延期を発表し特別損失6139万5000円を計上 ~仮想通貨交換業者登録に向けた手続きや関連するシステムの開発を中止[仮想通貨Watch
  • 電通・メガバンク・JR東日本など大手19社出資のディーカレット、仮想通貨取引サービスを開始 ~BTC・BCH・LTC・XRPの現物取引に対応。ETHは今夏対応予定[仮想通貨Watch
  • 三菱UFJとAkamai、新型ブロックチェーンの高速な小額決済サービスを2020年上期提供へ ~新会社Global Open Network Japanを設立[仮想通貨Watch

5. 今後の注目点:日本の10連休明けすぐ、米国ではグーグルとマイクロソフトのプライベートイベントが開催予定

 日本ではこれから天皇陛下退位、および新天皇陛下即位にともなう10連休に入るが、それが明けてすぐにグーグルマイクロソフトのプライベートコンファレンスが開催される。いずれもなんらかの技術や製品の発表があると見込まれることから、発表内容には要注目である。

 さらに、東京ビッグサイトでは「第28回 Japan IT Week【春】後期」も予定されている。

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