インタビュー

新社会人へ、鍵アカも見直して「過去の“やらかし”を消そう」――SNS炎上の対策・傾向をセキュリティ企業担当者が解説

イー・ガーディアン株式会社の池田威一郎氏(アカウントリレーション部立川センター ソーシャルメディアチームリーダー )

 社会通念上、不適切な行為をTwitterで自慢する「バカッター」によってアカウントが炎上し、企業が対応に追われるといったことが多々発生してきた。個人にとどまらず、企業公式のSNSアカウントが炎上する事例も多く、改めてネットリテラシーが問われる時代になっている。

 この春から新社会人になる人たちへのアドバイスとして、SNSにおける炎上の傾向と対策に関して、セキュリティ企業であるイー・ガーディアン株式会社の池田威一郎氏(アカウントリレーション部立川センター ソーシャルメディアチームリーダー)に話を伺った。

個人アカウントの何気ない発言が炎上、学生時代の“やらかし”は消しておいた方が無難

――本日はよろしくお願いします。過去と現在の炎上に関して傾向と対策をお伺いしたいと思います。

 よろしくお願いします。古くは2013年ごろでしょうか。個人によるやらかしツイート、いわゆるバカッターと呼ばれる投稿が世間をにぎわせました。

――「なんでこんなに話題が出るの?」と思うぐらいありましたね。

 宅配ピザ屋やコンビニ、飲食店での問題投稿で、店舗を閉鎖したところもありました。ネットリテラシー教育を受けていない学生のアルバイトがおふざけで投稿したものが注目を浴びるというものが多いです。最近ですと、就職内定先を明らかにしたうえで「はっちゃけたい」などとツイートした学生を研修担当者が特定し、Twitter上で「公開説教」をしたことが波紋を広げました。

 また、数年前の投稿内容が掘り起こされて処分された――つまり、過去のおふざけが数年経ってから問題となるケースもありました。

 第三者は見ることができない、グループ内のみ閲覧可能な投稿が世間に知られてしまうというケースがあります。仲間内で嫌われた結果、晒されるという感じでしょう。

――「リベンジポルノ」みたいな話ですね。投稿に対しての注意事項は?

 鍵付きアカウント(非公開設定)でも安心はできません。「仲間内の投稿であっても世界中で見られる可能性がある」と思った方が良いでしょう。

 また、何かのきっかけで過去の投稿が掘り起こされることもあります。過去のやらかしに関しては消しておくのが無難です。自分では判断しにくい、過去の精査をしている時間がなければアカウントを消して作り直すという方法もあります。

――Twitterばかりが取り上げられますが、他のSNSはどうでしょうか?

 基本的には友達のグループであるLINEの場合「仲間外れ・イジメ」はありますが、直接的な炎上はないでしょう。しかし、LINEやInstagramの書き込みや画像が別のSNSに転載されて炎上するケースがあります。

企業公式アカウントの炎上が最近の事例にも謝罪をする際は「言い訳をしない」「煽らない」

 最近問題になっているのは、企業公式アカウントのツイートが炎上するという事例です。ただし、炎上を分析すると企業側には明確な非がないけど賛否両論の「炎上」と、企業側に明確な非のある「不祥事」の2つを区別して対応・対策する必要があります。

 後者の不祥事は速やかに謝罪することです。ここで重要なのは「事実を認めて申し訳なさを伝える」であって、「言い訳をする」「議論しだす」などは逆効果になります。私たちは「謝罪をする際に行ってはいけない5カ条」を以下のようにまとめています。

謝罪をする際にやってはいけないこと5カ条

一、「言い訳をする」
一、「人のせいにする」
一、「討論しだす」
一、「反省するそぶりがない」
一、「煽りだす」

不祥事にならないように努めるのはもちろん、誤解を生む発言やテーマは避けるべきだ

 一方、非があるとは言い切れない「炎上」に関してですが、調査してみるとおおむね72時間で話題から消え、拡散されなくなる傾向があります。

――「人の噂も七十五日」どころか72時間とは、意外と短いですね。

 Twitter上ではいくつもの発言があるのでかき消されてしまうわけです。ですから炎上の場合、早期に発見して消して謝罪するか、無視するかどちらかの対応を選択することになります。中途半端な対応になると、その発言が「火に油を注ぐ」ことになり、長期化する可能性が出てきます。

 この手の「ネタ」をまとめているウェブサイトやアカウントもありますし、さらに話題になると Twitterにトレンド入りしたり、Yahoo!ニュースのトピックになることも あります。騒動が非常に大きくなると、「不買運動」などという直接的な被害も出てくるので注意が必要です。

池田氏によると炎上はおおむね72時間後には拡散されなくなる傾向があるという。しかし、そのときの対応・行動によっては長期化する可能性もある

問題行動はすぐにネットで拡散、誰もが高画質な写真を撮影・投稿できる時代

――企業公式アカウントで他に配慮すべきポイントは?

 担当者の個人アカウントと企業公式アカウントの切り替えを間違えたであろうツイートはそれなりに目にします。アカウントの切り替え時にミスが発生しますから、同じ端末で両方のアカウントを使わないように心掛ければ、個人ツイートのつもりで公的なアカウントに載せることはないでしょう。

――担当者のツイート以外で炎上する事例はありますか?

 最近は皆がスマートフォンを持ち、高画質の写真や動画を撮影できます。問題行動をした人を告発する動画や画像が投稿されて映像から氏名と所属企業が判明してしまい、企業がお詫びを出すことになった事例があります(注:このケースは会社役員で減給処分に加え、テレビニュースでも取り上げられた)。

 さらに犯罪行為の告発の場合、晒し上げだと非難することが難しいケースもあります。会社役員でなくても「あれ、〇〇の××さんじゃない?」という特定があれば誰でも同じような状況になりかねません。

嘘は嘘であると見抜ける人でないと(SNSを使うのは)難しい

 あと、新型コロナウイルスに関しても「嘘情報とその拡散」に注意が必要です。

――「お湯を飲むことでウイルス感染を防げる」とかありましたね。現在は削除されましたが、K-1ジム総本部のウェブサイトにも掲載され、批判が集まりました。

 人に知らせるときに尾ひれがつくのもよくあるパターンですね。嘘を信じてしまって周りに拡散すると、その人も加害者になる恐れがあるので吟味が必要でしょう。

 懐かしいセリフですが「嘘は嘘であると見抜ける人でないと難しい」ということになります。

――2000年の2ちゃんねる(当時)管理人のテレビコメントですね、懐かしい(笑)。

 あと、バズったSNSアカウントはフォロワーが増えます。フォロワー数稼ぎのための嘘もよくありますので、フォロワー数稼ぎや目立ちたがりの情報には注意した方が良いでしょう。

――新社会人向けの話だけでなく、企業炎上の傾向と対策もあり大変参考になりました。